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能力アフター  作者: 佐藤同じ
23/55

能力アフター3話07

エンディングの

and forever、、、が、またいーのよ。

ピピ、ピピ、ピピピピピ、

枕元に置いた携帯がアラームを鳴らす。

「むにゃ、」

寝ぐせの少年が、のそのそと動き出す。

彼の携帯が小さな、少女の立体映像を浮かび上がらす。


「しん、、、、しん。起きて。おはよう。」

鈴を転がすような澄んだ美しい声だ。


「イブか、、、、、そういや、いよいよ、きょうだな、、、、楽しみ、、、だ、、、むにゃ、、、、」

また寝てしまう、少年。

立体映像の少女は、少し困ったような顔をして、少年を見つめている。

窓のカーテンから溢れる朝日は、暖かく部屋を照らしていく。



七号土手駅は、東京の最南端の駅らしい。

白衣の少年の家は、そのすぐ近くなのだが、23区内ではなく、川崎に位置している。


駅から、商店街、住宅地へ。

ゴロゴロと、キャリーケース、大きな荷物を抱えた少女二人が早朝の町を行く。

まばらな住人たちが、思わず振り向く、美少女たちだ。


ブラウンのフワリとしたセミロングの少女は、ダメージ入りのジーンズに、ダップリとしたクリーム色のニット。


プラチナのショートボブの少女は、ブラウンのベイカーパンツにトップスの黒ニットをインしたシャープなスタイルである。


不粋な大荷物を抱えてなかったら、ファッション誌から抜け出した、モデルそのものだろう。


天気は快晴。

汗ばむ季節に入ろうとしていた。


ピンポーーーーーン、

ブラウンのセミロングの少女が、インターホンを押す。反応がない。


ピンポン、ピンポン、ピンポン、ピンポン、、、、、

、、、ピピピピピピピピピピピ、


連打する。


「うるさいよ!!」

ガチャリ、

と玄関が開き、白衣の少年が出てくる。Tシャツ、ジャージなのに、なぜか白衣は着ている。

「お前ら、本当に来たのか?」

若干眠そうである。


「あっったり前じゃん!」

ドカドカと荷物を置き、リビングを占拠する野川那智。

「、、、、、」

リンは無言で、大砲のような、一眼レフと、望遠鏡をセットしている。

目標は、隣のみず希家だ。


「しずくに、リンが異常を感じたんだ!絶対何かあるに決まってんじゃん!しばらく、張らしてもらうから!!」

腕を組んで宣言する、那智。テンションMAXの美少女だ。


風紀の警務から、張り込みセットまで、借り出して来ている。

昨日の今日でよく、手続きができたものだ。


「ほれ。」

ローテーブルにトントンと、ビン牛乳と、銀座、木O屋のアンパンを置く。

「張り込みなら、これだろう。」


サムズアップする少年。


「昭和かっ!」


文句を言いながら、モグモグと食べ出す少女。朝食はまだだったらしい。


那智は、三人掛け、リンは一人掛けソファーに座りパクパクとパンを食べている。

冗談で出したのだが、意外と好評らしい。

さすが、銀座、木O屋。

リクエストに答えて、パックのサラダとインスタントスープも用意する。


「あ!モゴモック!モモモグ!」


「食いながら喋んなー!」

リンのとい面のソファーで今時珍しい、紙の新聞を読み出す、少年。


「タマゴッチ、忘れた!」

ゴクゴクと牛乳を飲みながら、那智。


「なんだそりゃ。」

何世紀前のゲームだろう。久しぶりに聞いた。


「風紀の伝統だって。張り込み中に育てるの。歴代の先輩たちが育てたタマゴッチがデータベースに残ってるよ。」


張り込みセットのひとつだそうだ。

最近のはバックアップも、できるらしい。どうでもいいけど。


閑話休題、


「しずく、そういや様子が変だったな。那智、、、お前さあ、見舞いなら、直に行けよ。」

バッサバッサと、新聞をめくる少年。とても読んでるとは思えない。


「あんた、バカなの?ああ、バカだったよ!」

「なんやと!」

「どこに、菓子折りもって挨拶に行く、張り込みのデカがいるの!」


「う〜〜〜ん。」

どうも、本気で見張りをするつもりらしい。最近のJKはヒマなのだろうか。


まあ、確かに私服の彼女たちは、かなりレアだし、眼福ではあるのだが、盗撮などしたら殺されるだろうし、リターンよりリスクが高そうな二人なのだ。


それに今日は、別件の用事もある。


ピンポーン、

インターホンが鳴る。

「あ、しずくだ。」


「わああああああ!!」

カメラと望遠鏡を抱えて、右往左往する那智。とても、面白い。


「ウッソ〜〜〜友樹たちだよ〜〜。」

両手を鼻に持っていって、ヒラヒラする少年。

彼も、大抵、こりないタチらしい。


「何やってんだ?しん、、、、」

あきれる、友樹。

リビングでは、しんが、新聞のハリセンで、バシバシ、那智に叩かれている所だった。


「ほむ〜〜〜わかりますぞ〜〜〜変態紳士のご褒美プレイですな〜〜〜でゅふふふふ〜〜」

巨体をゆらす、玄岳兄もいる。


「なんなの?あんた達!」

ハアハア息を切らしている那智。激おこである。


「ほら、ハドリア統括理事が、言ってたろ。次のイブの日にバイオコンピュータのクローン少女の起動実験をやるって。それが今日なんだ。」

友樹が説明する。

「簡単に言やあ、それの見学に行ってくる!」

嫁のDVから復活する少年。


「え、、、、ちょっと、、、、」

少女を無視して、ヒョイと隣の洗面所に消えるしん。

「まあ、しっかり、張り込みやっててくれ。しずく、体調不良で今日は一日、寝てるって言ってたけどさ。」

あの後、何がしら彼女と連絡を取ったのだろう。

制服のワイシャツとズボンに着替えてくる少年。洗面所に着替えが、置いてあったらしい。


「アンバー、、、、ね。」

てきめん、不機嫌になる野川那智。頭をクシャりと掻く。

ポスン、

と一人掛けソファーに座り込む。


「帰り、、、、いつ?」

いつの間にか眼前にリンが立っている。ネクタイを整えてくれる。

「お、、、おおう!昼には戻るまする!」

キョドりながら、変な日本語を返すしん。いつの間にかエプロン姿のリン。とても可愛い。


「早く帰ってね、、、、あなた。」

この子の場合、冗談か本気かわからないトコがある。とりあえず、流れに乗ってみる。

「んじゃ、お出かけのちゅ〜〜〜〜」


スパーーーーーーーン!バシ、バシ、バシ!

那智のブーストハリセンが乱舞する。とても痛い。

「は、な、れ、ろ!!このバカ!!」


ピンクのエプロン姿のリンは壊滅的に、キュートだ。

クロ兄を引きずって、車に放り込まなければならなかった。


「いってらっしゃい、、、、、」

玄関で見送る初々しい新妻の風情だ。いや、たまりませんな。

那智は引っ込んで出てこない。


「リ、、、リン様〜〜〜〜〜〜〜!!」

クロ兄、泣きながらの出発。

白いワゴン車は一路、環八に乗り、京葉線と並行する、アルカゲートブリッジへ。


流れる街並み。風が気持ちいい、ドライブ日和だ。


「そういや、しん、お前のイブちゃんもシミュレートしてもらえるんだって?」

助手席のしんのすぐ後ろの席から、友樹がたずねる。


「おう!苦節4年!我が集大成が、ついに日の目を見るのだ!ウハハハハハハハハハ!」

大喜びの白衣の少年。


「なんでござるか?それは?」

カーナビをいじりながら、クロ兄が聞く。

「これだよ!これ!」

自慢したくてしょうがなさそうな、白衣の少年。


彼の携帯が、立体映像の少女を映し出す。

「こん、、、、に、、、ちは、、、、、」

自宅ではないので、圧倒的にマシンパワーがたりず、フリーズ気味だ。


「おお!また、懐かしい!AI彼女でござるか!」

一発でわかるのだから、クロ兄も相当な猛者だ。


AI彼女。

10年ほど前に発売された、ど、マイナーな、恋愛シミュレーションゲームだ。

ヒロインのイブの初期設定を無限に構築、作り込む事ができ、自分だけの理想の彼女がつくれるという、オタク少年、待望の夢のギャルゲーだった。


が、しかし。


「その初期設定のおかげで、ゲームが重くなり、不具合も出て、あっという間に廃盤なったゲームでござるな。まさに、知る人は知る、でござる。」

感慨深く語るクロ兄。彼もユーザーの1人だったのかも知れない。


「そう!!あのゲームこそが!我が師匠が、全、すべてのユーザーの、夢と希望をすくい取って、実現させる!奇跡の結晶だったのっだ!!」

ビシ、

と、変なポーズを決める、しん。


「師匠でござるか?」

「ハドリア理事長だよ。」

友樹が補足する。

「な、なんと!あの、御大、ゲームも作った事があったでござるか!恐るべき多才っぷり!

感服するでござる!」


『500メートル先を右だよ。お兄ちゃん。』

カーナビがロリッ子の声で告げる。


「ほむ、それをシミュレーションするとは?」

首をかしげる、巨漢。

「こいつ、その初期設定を、地球シミュレータばりのデーター量でつくったんだよ。3台のスパコン見たけど、あれでも動かせないんだと。」

肩をすくめる、友樹。

「、、、、、、、ほむ、、、、、何を言ってるのか、わからないでござるな。」

「だろ?ハハハ。」

クロ兄が思考停止を起こす。気持ちは分かる友樹だった。


スルスル、と白いワゴン車は、アルカ研究学区内、第二理科学研究所の、地下駐車場に到着する。

よっこらせ、と車から降りるクロ兄。

「では、理事長のいる、G棟、ターミナル実験室に行くのでは、無いのでござるな?」

ふうふう、と広い地下を行く巨漢。


「後で行くけどな、とりあえず、D棟のハイ、コンピューティング部門だな。アダムが正式運用のあかつきには、用済みになるだろうけど、現状、国内最高のスパコンが使える。」

スキップしそうな、白衣の少年。


「なんせイブの日だからな!どーせなら、アメリカ ウォーム ブート アプローチと師匠のイブ起動とあわせて、オレのイブも起動すんだ!」

ルンルンの少年。


「ところで、、、、、イブの日ってなんだ?」

プラプラと二人について来る、茶髪メガネが聞く。


「でゅふ、、、?」

「友樹、、、」

いまさら、何を言ってんだコイツと、二人ににらまれる友樹。



「イブの日?」

かなりのスピードのルームランナーで軽快に走る、黒髪ショートボブのエイダがたずねる。


時刻は少しさかのぼった早朝、


巨大な体育館といったスポーツジムだ。

各種の運動器具がズラリと並んでいる。

アルカのオフィス区域と商業リゾート地区の境の駅の近くある。

こんな時間でも、ソコソコ人が入っている。


「クク、アメリカさんの月の量子コンピュータ開発研究実験の日、だろ。失敗続きの。」


クロストレーナーで、ギッタンバッタンしている、黒い禿頭のジノ。

タンクトップが筋肉で、はち切れそうだ。

日本語が大分、上手くなってきている。


不知火あらたは、二人に背をむけ、ラットプルダウンを使用している。

ヒョロヒョロの腕で、かなりの負荷をこなしている。


「月のあれは、利用可能と言っても、1パーセントにも満たないお粗末な、稼働率だ。」

淡々と続けるあらた。

「なんとかしたいのも、わからなくもないが、ね。」

冷ややかな口調だ。


「厄介なのは、同時期にここのアルカのターミナルコアのテストもある。ハドリアはそれを利用して、アンバーを調べるつもりだ。」


「それ、マズくない。」

ストン、

とルームランナーから降りる、エイダ。赤いブラトップ、黒いロングタイツ、抜群のスタイルを余す事なくあらわにしている。


「問題はないさ。どちらにせよ、アンバーを調べてもらわないと困るわけだしな。それに、擬似人格は発見されても、それで、起動できるものではない。」

スムーズに器具をコントロールしながら、ジノ。


「我々は7月の式典を待つだけさ。なあ、あらた。」


ゴキン、

運動機器のプルダウンのバーが、唐突に、へし折れる。

なんの感慨もなく、立ち上がるあらた。


「あらあら、」

タオルで汗を拭きながら、苦笑するエイダ。


「楽しみですね。」

ガラス玉のような瞳の長身の痩せた青年は、笑ったような顔をした。


再び現時刻、川崎、七号土手、山下しん宅。


ポリポリと持参したお菓子を食べながら、三人掛けソファーでゴロゴロしながら、ファッション誌を読んでいる、那智。

もう機嫌は、直ったらしい。すっかり、リラックスモードに入っている。


「でも、、、、、」

1人掛けソファーの小柄な少女を見る。


「フフ、リンも中々やるわね。見張りを口実に、押しかけるなんて、、、女の戦いをわかってるわ。うん!」

どうも、彼女はしずくの様子とかは、あまり本気にしていないようだ。


「、、、、、、」

無表情なリンが、困ったように眉をしかめる。

「那智、、、、本当に油断しないで、、、、、、彼女、、、、何かある、、、」


「へいへーい。あ!そーだ!後で、アイツの部屋、ガサ入れしなきゃ!」

とんでもなく、迷惑な事を言いながら、鼻歌まじりに、雑誌をめくる。


ため息する、リン

とりあえず、ここに居れば、もしもの時の対応もできるだろうし、何もなければ、それはそれでいい。

那智の事は放っておこうと思う。


彼女は小さなタブレットで、読書をしていた。

眠くなりそうな、暖かな午前の日。静かに文字列に視線を、戻す。


カチャ、

唐突にドアが開く。


「はーーーーい♡」

ポニテのみず希しずくが、明るく笑う。


これは、異常事態だ。冬木リンはここに来てから、一瞬たりとも、警戒を解いてはいない。

彼女のテレパス網に、なんらかの妨害をしつつ、彼女は、高速移動で、室内に入って来た事になる。


しかし、しずくは、能力によるブーストムーブは苦手としている。

では、コレは誰か。


「し、、、、しず、、、、」

那智が、何か言いかけた時、


グワラガアアアアアアアッ、


凄まじい放電が、リビングルームを包む。

100万ボルトの電圧、

電流は、致死量ギリギリに抑えられている。

何かがこげる嫌な匂いが立ち込める。


「う、、、、、、」

苦しげにうめく、リン。

いつに間にか、しずくの首に、彼女の手が、掛かっている。

それを乱暴に引き剥がし、元のソファーに投げ捨てるしずく。


しずくを押さえようとしたリンだが、寸前で電撃に阻止されたのだ。一瞬の出来事である。


「おっどろいた。なんて反応速度よ。ギリギリだったじゃん。さすが、風紀委員。」


パチパチと放電を続ける少女。

緑のリボンがちぎれ、ポニテがほどけ、黒髪が生き物の様に逆立つ。

首を振って、髪を広げ、それを、静電気除去のヘアバンドで、サイドでそれぞれ結ぶ。


ああ、それは、その顔は、白衣の少年が知る優しい少女ではない。

つりあがった、凶悪な瞳、全てを嘲笑する、歪んだ笑い。


「はじめまして。最強の炎姫。野川那智。神の目を持つテレパス、冬木リン。

私は、みず希しずくのもう一つの別人格。電気使いのAクラス。そして電脳の王、

みず希 紫煙だよ。よろしく。」


「し、、、、紫煙、、、、、」

つぶやくリン

「へーーー、驚いた!」

ジロリとソファーでグッタリしているリンを覗き込む紫煙。


「まだ、しゃべれるんだ。さすがリン。」

動けない彼女のアゴを掴み、乱暴に、観察する電気使い。


(う、、、、動け、、、ない、、、、、、?)

うめく那智。

コレは普通の電撃ではない。

彼女の能力が、一切発動しないのだ。麻痺ではない。身体の支配を奪われたような、経験した事がない状態だった。

指一本動かせず、長ソファーにうつ伏せる那智。


「ま、ちょっと待ってて。お二人さん。アダムをぶっ壊して来るから!」

鼻歌交じりに地下に消えていく紫煙。


ゴウン、

と起動する、3台の青いスーパーコンピュータ。

少年の仕掛けたさまざまな、トラップを簡単に解除して、あざ笑う紫煙。


「さあ!今日こそ、世界をもらう!」


ブレイン マシン インターフェースのヘッドギアを装着し、両手に電子機器に接続された、アームレストを装着する。

しんも、こんなデバイスが父の研究室に、あるのは知らないだろう。

機械と一体化したかのような少女。


カウントダウンが始まる。

また来週。

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