表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力アフター  作者: 佐藤同じ
21/55

能力アフター3話05

モ、、、モOンジャ、可愛いよモモンOャ!

いつものように、部室練3階の部室に戻るのかと思いきや、白衣の少年は、天文部と階段を挟んだコンピュータ研究部に向かう。


彼からすると、当たり前のようについて来る、野川那智の行動がわからない。

「おい那智。なんでついて来る?」


もちろん、鼻の下をのばして喜びたいところだが、彼女の立場上、彼にとって命取りになりかねないのは事実だ。


「犯人、捕まえるんでしょ。一応、手を貸してあげるわよ。風紀委員だし!」

腕を組んで、自信満々に顔を寄せてくる。

フワリといい匂いがする。


「お、おう。」

どうにも最近、彼女の距離が近い。ドギマギを誤魔化すのが大変だ。

フランクすぎる美少女というのも、結構、困りものだ。


コンピ研のドアをノックすると、入り口が少し開き、巨大な影が現れ、小声でブツブツと話す。


「ん〜?」

何だとばかりに、また、顔を寄せて来る、那智。

コイツは、、、チューでもしてやろうか。


パチン、

とデコピンを喰らわす。

「あた!」

「ちょっと待ってろ。那智!」


スルリと室内に消えていく、白衣の少年。

「う〜〜〜。」

額を押さえて、リンと友樹をにらむ。

友樹は、肩をすくめて、手を開く。

リンは関心、無さそうに、ポツンと立っている。


しばらくすると、全員、室内に招かれる。

反対に、ゾロゾロと5〜6人の部員達が退出していく。念のための人ばらいだろう。


普通の教室を、半分にした広さの室内に、3列の机が並べられ、ズラリとノーパソ、デスクトップパソコン、モニターが並んでいる。


机は壁に一列、中央に二列がくっ付きその先頭に部長の席がある。


「げ、、、、」

思わずたじろぐ、那智。

その机の上に置いてある、デカい2台のディスクトップパソコンの表面には所せましと、半裸の美少女アニメキャラが貼られている。

いわゆる、痛パソというヤツだろう。とくに、偏見のない彼女だが、近づくのをためらわす、イヤな迫力がある。


机二つ分のスペース両側に、痛パソが鎮座し、モニターが二つ、アームにより、その上に二つ、合計四つのモニターが並ぶ。

その影に隠れて、ゴソゴソと何かやっていた大男が、姿を見せる。


「な、なんであんたが、ここにいる!」


ドン、ゴオオッ、

渦巻く熱波、ガタガタと机のパソコンが揺れる。今にも吹き飛びそうだ。


いきなり、戦闘モードに突入する那智。


「まて!まて!まて!違う!人違いだ!!」

こんな所で、ぶっ放されたら、たまったもんじゃない。必死で止める、しん。


「何が!!二高の変態、玄岳正夫でしょ!!」

「違うって!玄岳 良夫!アイツの兄貴だ!」


かつて、白衣の少年が手がけていた、アイドルJK能力者データ販売において、仲間だったひとりが、玄岳正夫。

天宮二高のビヤ樽のように太った、変態紳士だ。

天宮一〜四校の風紀は情報を共有している。犯行グループのトップは、要注意人物として、いまだ、目をつけられている。


その兄が、彼である。同じくビア樽のように太った巨漢。くろ兄だ。容姿もソックリ。那智が間違えるのも無理もない話だ。


「兄って、、、、あいつ、三年でしょ!」

「ダブってんだ。去年、脳梗塞で倒れて、生死をさまよってな。」

体型を見れば、さもありなんだ。暴飲暴食の当然の末路だろう。


「そう、、、、なんだ。紛らわしい!」

やっと落ち着く那智。能力の集中が解ける。どんだけ、ぶちのめす気満々だったのやら。


怯えきった巨漢が、冷や汗を拭う。

「コレだから、、、3次元の糞ビッチは、、、ゼイゼイ。」

ボソリとこぼす。

聞こえるか聞こえないかの小声だが、少女の聴覚は並みではない。


「あんだってぇ!!」

腕まくりする那智。もっとも、夏服に変わって、半袖なのだが。

まったく話が進まない。

間に入る白衣の少年。

「クロ兄氏!那智もやめろって!」


玄岳良夫は、見ての通りのアニメオタクだ。二次元嫁をこよなく愛し。3次元女子を徹底的に敵視する。過去に色々あったのかもしれない。そこら辺は推して知るべしだ。


「3次元の女はみんな、ダメなんだ。察してやれ!デリケートとなんだ。あれで。」

ヒソヒソと説得する。

「う〜〜〜〜〜。」

うなる少女。彼女からしたら、身に覚えのないヘイトだ。当然頭にくる。


「おでゅでゅ!リン様!!」

ここで、奇声を上げて、存在の薄かった、プラチナショートボブの少女に気がつく、クロ兄。

「さあさあ!ここに、お座りください!すぐにお飲み物をお持ちします!ゼイゼイ。」

巨体を揺らしながら、嬉々として、冬木リンを歓待する。


「おい。なんだ、あれ。」

殺意をダダ漏れにする、ブラウンのセミロングの少女。

那智とリンはどちらも、甲乙つけがたい、美少女だ。

しかし、両名の間には大きな隔たりがある。


「3次元がどーのこーの、どこ行った!」

那智が怖い。

「さっきな、協力のお礼に、リンのネコ耳データを渡したんだ。

クロ兄、狂喜してな、リンは、アイツの中では、 2•5次元の存在になったんだ。」


まあ、一般人にはよくわからない話しだろう。

依然、納得のいかなそうな那智。


これはヒソヒソ話しだが、冬木リンも聴覚はいい。

こちらに、グリンと顔を向ける。


「つまり、アイツはロリコンって訳だ!」

リンにサムズアップする、しん。本人は、誉めているつもりらし。


「いたい、いたい、いててててて!」

コマ落としのように、隣に立つリン。無言で少年の耳を引っ張っている。

まったく無表情なのが、かなり怖い。


「でゅふ、でゅふふ、山下氏!うらやまけしからんですぞ〜〜〜!リン様!!わ、私にも〜〜!」

地団駄ふむビヤ樽。

まったくもって、話が進まない。


閑話休題。


「で!なんだって、ここに来たの!」

腕を組んで仁王立ちの野川那智。

とりあえず、気を取り直した、輝くようなエネルギーを放つ少女。


「なにか、偉そうですな、、、ゼイゼイ。」

ブツブツ言うクロ兄を、那智の隣に座るリンが、にらむ。


「リ、リン様の、ご学友ですからね!わ、わかっておりまする!」

たじろぐ、ビア樽。

しかたなく、那智を許容する気になったらしいい。


後方に立つ、那智を避けて、机の右端の方に座るクロ兄。

リンに近寄ろうとするのを那智が、牽制しているせいでもあるが。

その隣に友樹が引っ張って来た、椅子に座っている。


「超研部のオレのパソコンだが、現在、証拠品として、警察に押収されている。」


かくゆう、白衣の少年は、現在、コンピ研、クロ兄部長の机のど真ん中を占拠している。

真後ろに、うさんくさそうに監視する、那智がいるわけだ。


「まあ、警察やNISCごときに、犯人が追えるとは思えねーけどな。」

繋がれたばかりの、足元のパソコンを立ち上げる少年。


「あ、、、れ?なんか見た事あるような、、、、」

つぶやく那智。4画面一杯、ゴチャゴチャとアイコンだらけの画面が現れる。


「そう、オレの部室のパソコンだよ。これ。」

画面を4分割し左上をワールドマップ、隣を近接データ

下2面を複数のプログラム、および、ソースコードが一面を埋める。


「おー4面、便利だな。」

ご満悦の少年。

「なんで?警察に偽物でも渡したの?」

当然の問いをする那智。

「クローンコンピュータだよ。定期的にクロ兄にオレのパソコンのクローンを作ってもらってたんだ。まあ、コピー、バックアップみたいなもんだ。」

キーボードをカタカタと作業に入る、しん。


「ふーん。」

なんとなく、納得する少女。

「以前、リンにパソコンぶっ壊されて、悲惨な事になったからな。その対策だ。」


「、、、、、、ごめんなさい、、、、」

後ろでリンが身を縮める。

「あんたね、いつまでもネチネチと!」

からむ那智

「言葉のアヤだって。むしろそのおかげで、こうして犯人を辿れんだ。感謝感激、雨あられ、だ。見つけた!」

どうやら、真犯人が彼のパソコンに仕掛けた細工が見つかったらしい。


「でゅふふ。中々の裏口ですな。これは、気が付かない。」

感心するビヤ樽。

「クソったれが!」

足跡を追う少年だが、予想通り、海外サーバー経由で遮断される。

「大体、なんで、いつ、誰がこんなバックドアを仕掛けられたんだよ!」


悩むしん。そういえば、以前、しずくにデータを抜かれた事があったが、これは難易度が違いすぎる。


「諦めた方がいいね。山下氏。これは、どうにもならないでござる、、、ムシャムシャ。」

おもむろに、コンビニ袋から取り出した、チョコパンケーキを食べだす大男。


クロ兄も容疑者として考えられるが、彼はクロ弟、同様、自分とは、同じ穴のムジナなのだ。色々と。

捜査協力もしてくれているし。


「う、、、、、」

確か、肥満のため、脳梗塞で倒れたって言ってなかったっけ。

ドン引きする那智。

バームクーヘンやら、マドレーヌを次々と平らげていくビヤ樽。

食事制限とか無いのだろうか。


「しゃーない。別ルートで行ってみよう。」

スルスルと、ワールドマップで追跡が始まる。

ブホッ、

とマドレーヌが吹き出る。


「だぁっ!汚な!」

飛びずさる那智。

「な、、な!ゲホッ、ゲホッ!なんでござか!山下氏!それは!!ゼイゼイ、」

激しくむせりながら、身を乗り出すクロ兄。


「汚いって!クロ兄氏!」

なんかの菓子片が飛んでくる。点々と液晶にツブが付く。


「学園のグローバルキャンパスネットに侵入して、アダムにアクセスしてんだよ。信頼度満点のネットワークだからな。かなり無理がきくんだ。って!落ち着け!」


誤嚥でチアノーゼを起こしてるビア樽の背中をバンバン叩いてやる。


天宮のグローバルキャンパスネットは、各国アルカをネットワークする専用のラインだ。あらゆる、学術機関や研究施設に繋がり、セキュリティーも、通信速度も通信量も全ての面で優遇されている専用ラインだ。


準加盟国の東アルカは、今年、7月のターミナルタワーによる、正式のアダム接続まで、そのネットワークは使用できない。

白衣の少年がやっているのは、不正アクセスという訳だ。


「デイ、デイ、ディィ、」

奇怪な呼吸音を立てながら、イスにもたれかかっているクロ兄部長。

「ありえない、、、表層どころか、アダム2層のセキュリティーを突破しなければならないはずでござる、、、、ゼイゼイ、」

冷たい汗が流れていく。こんな事はあってはならないのだ。目の前の現実を受け入れられない、玄岳兄。


「ホントに、、、、、アダムのセキュリティーを?」

立ち尽くす那智。

「だって、、、イクエちゃんだって無理だって、、、、」

思わずつぶやく。


「制定部隊のオペレーターごときと一緒にすんなって。那智。」

ニヤニヤと振り返るしん。

「な、、、、、、」

何を言って、、、、いや、なんでコイツが彼女を知っている?PMCナーブの情報を一般人が知るわけはないのだ。


「あんた、、、、ね、、、」

改めてこの少年の危険性を認識する那智。本当に野放しにして、いいのだろうか。真剣に悩んでしまう。


「イオタチームの高坂ヒロミとは同期だな。最年少隊員同士で仲が良い。どちらも優秀なオペレーターだ。」

なにやら、補足説明をしている少年。

個人情報もなにもあったものではない。


「凄い、、、、あってる、、、」

素直に肯定してしまうリン。

「リンーーーーー!!感心しないーーーーー!!」

嘆く那智。頼りの相棒がこれでは、将来を悲観してしまう。


てな事をやっているうちに、犯人の追跡はワールドマップをアチコチと巡り地球を一周しようとしていた。

のんきに、世間話をしながら、忙しくプログラムをいじっていた少年がつぶやく。

「そろそろだ。近いぞ〜〜。」


「ぼホホホ、」

なんとか気を取り直したクロ兄が身を乗り出す。


「日本じゃない?これ。」

つぶやく那智。見慣れた、弓なりの形の列島が、ズームされて行く。

「関東だな、、、」

久しぶりに会話に加わる影の薄い友樹。伊豆半島と房総半島が大きくなっていく。

「ホントに近いな。」

続けるしん。東京湾の人工島が拡大されていく。


「それた、、、、」

ポツリとつぶやくリン。

アルカから、少し外れ、川崎の多摩川沿いに。


「んーーー?」

うなるしん。

七号土手の住宅地。見覚えのある屋根の家屋がポイントされる。


「あれ、、、、オレん家だ。これ。」

アングリと口を開けるしん。


「はん!」

パンと手を打つ那智。


「なーーーんだ!やっぱ、犯人あんたじゃん!」

なぜか勝ち誇る少女。


「ははは、、、、そーーだなぁ、、、って、、、

なんだそりゃああーーーーーーーーーーーーー!!」


少年のノリツッコミが冴え渡る、放課後の天宮学園第一高。

事態は迷走を続ける。

また来週。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ