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『Scarlet Coal』-殴り魔は自らの欲を満たす  作者: 栗木下
2:第二坑道・ケンカラシ
73/619

73:素材坑道・デイマイリ

本日は二話更新になります。

こちらは二話目です。

「これまでで一番整った坑道が来た感じだな」

『ブン。そうかもしれませんね』

 俺は素材坑道・デイマイリに入ると同時に、周囲を確認する。

 どうやら今居る此処は通路の行き止まりであり、通路をまっすぐ進めば直ぐに部屋に出るようだ。

 既に岩のマテリアルタワーが見えている。

 だがそれよりも注目するべきは、下は平行に削り取られてタイルのように見え、横はコンクリートを流して固めたように綺麗な垂直で、上は見事なアーチを描いているという、明らかに整えられている通路の状態だろう。

 どうやら素材坑道・デイマイリは本当に多くのゴーレムが入ってくるために、ここまで整えられているようだ。


「部屋もまた綺麗な……ここまで綺麗だと、坑道と言うよりはそういうトレーニング施設的なものを思い浮かべたくなるな」

『ブン。まあ、魔物が出ませんしね』

 部屋もまた綺麗に整えられていて、腕のいい業者が作り上げたドームのようになっている。

 で、部屋の中心に岩のマテリアルタワーがあって、俺が入ってきた場所の真反対に通路があり、通路の先には既に銅のマテリアルタワーが見えている。

 探索もない、魔物もいない、マテリアルタワーがあるだけの坑道か……自分で言っておいてなんだが、本当にトレーニングの類に使えるかもしれない。


「さて、攻撃の制限は……」

 俺は岩のマテリアルタワーに手をかざす。

 表示された制限は、回数は5回まで、時間は60:00と表示されている。

 60秒以内に5回まで攻撃可能となると、自分の理想ムーヴも容易に決められそうだし……。

 やっぱり素材坑道・デイマイリはトレーニング施設も兼任してるな。


「じゃ、軽くやってみるか。ふっ!」

 では掘ろう。

 俺はまず三発のジャブを左で、別々の場所に撃ち込む。

 岩のマテリアルタワーを砕く感覚が、左手を通して伝わってくると同時に、返ってきた衝撃によって岩のマテリアルタワー全体の構造が頭の中に思い浮かんでいく。


「せいっ!」

 そうして思い浮かんだ……俺が思い描いた構造が正しいならば、脆弱なポイントになっていて、此処を壊されると岩のマテリアルタワーにとって致命的な場所へ向けて、右のナックルダスターを理想的な動きで叩きつける。

 すると稲妻のエフェクトが飛び散り、これまでに見たことがない量の岩のマテリアルが飛び散っていく。


「これで……終わり!」

 で、流れるままに右の肘を叩き込んで、岩のマテリアルタワーの破壊を致命的なものにする。


「さて、結果はどんなものだ?」

『ブーン、少し待ってください。アドオン『オートコレクター』が機能して、回収が進みますので』

 攻撃回数制限に達した岩のマテリアルタワーが消える。

 と同時に飛び散った岩のマテリアルが光に変換され、俺の方へと向かってくる。

 どうやらアドオン『オートコレクター』は問題なく機能しているようだ。


≪鉱石系マテリアル:岩を127個回収しました≫

「随分と手に入ったな」

『ブン。本当ですね』

 で、しばらく待つと回収が終わった。

 うん、かなり数が多い。

 真鍮・電撃のナックルダスターの存在や、時間と回数に余裕があるという事でやった構造解析の影響もあるだろうが、素材坑道・デイマイリ自体がマテリアルを大量に回収できるように補正をかけているのかもしれないな。


「じゃ、次行くぞ」

『ブン。分かりました』

≪鉱石系マテリアル:銅を82個回収しました≫

≪鉱石系マテリアル:金を14個回収しました≫

 では次。

 と言っても、回数と時間の制限は同じであったので、銅と金については岩の時と同じように動いて、サクサクっと回収してしまう。

 そして、回収出来た量から、素材坑道・デイマイリでは回収できるマテリアルの数に補正がかかっているのは確信した。

 明らかに第二坑道・ケンカラシより掘れている。


「さて、青銅と真鍮・電撃はデイムビーボディも使っていくか。でないと流石に必要量が手に入らない」

『ブン。確かにそうかもしれませんね』

 俺は続けて青銅のマテリアルタワーに挑む。

 軽いジャブ三発から構造を割り出して、右のストレートで破壊するまでは同じだ。

 が、その後は素早くデイムビーボディの針を向け、発射。

 一気に破壊する。


「ふぅ。相変わらず凄い火力をしてるな」

『ブン、そうですね。ブブ、トビィは吹っ飛ぶのにだいぶ慣れてますね』

「そりゃあ何度もやったし、いい加減にな」

≪鉱石系マテリアル:青銅を98個回収しました≫

 なお、デイムビーボディの針を使ったという事は、当然ながら針を発射する勢いによって俺の体も勢いよく吹き飛ぶことになる。

 が、何度も同じ行動を自発的にやっているおかげで、今回は吹き飛びつつも転びはせず、地上で何回転か横に回りつつも、手足をまっすぐに伸ばした、見た目に美しい感じの吹き飛び方になり、デイムビーボディのデメリットを感じさせないような立ち方も出来た。

 うん、これは成長だな。


「さ、真鍮・電撃も回収だ」

『ブン』

≪鉱石系マテリアル:真鍮・電撃を47個回収しました≫

 そんなわけで無事にマテリアルの回収を完了。

 最後の部屋には脱出ポッドだけが置かれていたので、それに乗って俺は支障なく脱出する。


≪素材坑道・デイマイリからの脱出に成功しました≫

≪インベントリのアイテムをラボの倉庫に移送します≫

「さて、今日のところはこれぐらいにしておくか。第二坑道・ケンカラシの攻略以外にもいろいろとあって疲れているしな」

『ブン。分かりました。では配信を終了しますね』

「ああ、そうしてくれ」

『ブン。お疲れさまでした、トビィ』

 そしてラボに戻ってきた俺は、配信を終了させた後、ログアウトした。

 さて、ログアウトしたらハンネに一度釘を刺しておかないとな……。

03/16誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[一言] これパンチ連打後の残り入力時間を考えると第三者視点的に3回ジャブしたあとストレートを放った直後振り向いてヒップアタックしたら突如大爆発したようにみえるのでは?
[気になる点] なお、デイムビーボディの針を使ったという事は、当然ながら針を発射する勢いによって俺のからも勢いよく吹き飛ぶことになる。 俺の身体も ですか? 殻?
[一言] >表示された制限は、回数は5回まで、時間は60:00と表示されている。 ゆるゆるだなぁ…… >が、その後は素早くデイムビーボディの針を向け、発射。 例の格好が視聴者に晒されたw >が、何…
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