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『Scarlet Coal』-殴り魔は自らの欲を満たす  作者: 栗木下
10:第五坑道・ネラカーン

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573/619

573:増殖した黒

「ふんっ!」

「ブギュッ!?」

 俺の一撃によってブラックフライの頭部が打ち砕かれて倒れる。


「せいっ!」

「ギャイン!?」

 続く攻撃によってブラックハウンドの心臓が貫かれて力尽きる。


≪生物系マテリアル:甲殻・浸食を1個回収しました≫

≪生物系マテリアル:甲殻・浸食を1個回収しました≫

≪生物系マテリアル:甲殻・浸食を1個回収しました≫

≪生物系マテリアル:骨・浸食を1個回収しました≫

≪生物系マテリアル:肉・魔力を1個回収しました≫

「これで戦闘終了だな」

『ブン。そうですね』

 そして、俺が倒した魔物たちの死体が消え去り、報酬が手に入って戦闘終了である。


「しかしまあ、やっぱりフライ種は大量増殖してそうだな」

『ブーン。そうですね。痕跡を見る限り、もう止められない程に広がっていると思います。しかし、それはブラックオニとの戦闘で時間を取られた事もありますし、仕方がないと思います』

「それはそうなんだが、こう……痕跡を見せられるとな」

 さて現状についてである。

 黒鬼との戦闘を終えた俺は通路を移動し続け次の部屋に着いた。

 そこにはブラックフライ三体とブラックハウンド二体が居たので、こいつらについてはサクッと始末した。

 どちらも戦闘能力に限れば、黒の魔物としては弱めの部類なので、撃破についてはどうとでもなった感じだ。


 だが、戦闘終了後に部屋の中を見渡した俺は、部屋の中にマテリアルタワーの根元部分と思しき痕跡が複数あるのを見つけてしまった。

 何があったのかは……まあ、直ぐに分かった。

 ブラックフライがその能力によってマテリアルタワーに干渉、増殖し、その対価としてマテリアルタワーが消費されたという事だろう。

 で、痕跡が複数、一回の増殖で三体に増える、この部屋から他の部屋に通じる通路も複数、この部屋に居たブラックフライが三体だけ、これまでに経過した時間と言った要素を考えると……まあ、ちょっと考えたくない数字のブラックフライがフロアのそこら中に湧いているのが確定したと言える。


「やっぱり急いで次のフロアに向かうしかないな。次のフロアの坑道予測を見ている暇もあるとは思いづらい」

『ブン。そうですね』

 ブラックフライは弱い。

 が、それは一体一体の話であり、数が集まれば、黒の魔物として持っている質も合わさって俺を圧殺する事くらいは出来るはずだ。

 やはり、ブラックフライの集団に襲われる前に次のフロアへ向かうべき状況だな。

 だから俺は次の部屋へ向かうべく通路に向かって駆け出し……。


「っ!?」

 そこで独特の音と共に転移エフェクトが発生。

 俺に向かって予告線が伸びてくる。

 それは……まあいい。

 出現するのが赤以上の魔物だけである以上、射程フロアの特殊能力持ちが少なからず混ざっている事は不思議な事ではない。

 問題はその数。

 俺の目が確かならば……。


 転移エフェクトの穴と予告線の数は九個ずつ存在している。


「うおおおおいっ!?」

『ブブブブブ!?』

 俺は即座に二重推進でその場を後にする。

 だけでは足りず、跳んだ先の空中でヴァンパイアマントの機能を利用して空中で曲がり、逆に切って即座に着地したり、そこから更に二重推進で通路の先に向かって跳ぶ。

 直後、九つの穴から紫色のレーザーのような何かが放たれ、予告線に沿って飛び、進路上にあるものを切り裂きつつ突き進み、壁や床と言った破壊できないものにぶつかったところで小規模な爆発を起こして、毒々しい紫色の煙を漂わせる。


「あ、あぶな……これ、絶対にヒュドラ種だろ。ハンネに見せられた資料で覚えがあるぞ……」

『ブ、ブブ。ティガには情報がないです……』

 当たっていたらどうなっていたかは……まあ、考えるまでもないだろう。

 大ダメージの上に大量のDoTを浴びて、良くてシールド全損、下手をしなくても即死まで見えたに違いない。


 そして、今の攻撃の下手人はほぼ間違いなくヒュドラ種だ。

 ヒュドラ種は九つの頭を持つ巨大な蛇竜であり、その口からはDoT効果付きのウォーターカッターのようなブレスを吐いてくると聞いている。

 転移ブレスは赤以上のランクの竜系の魔物がよく持つ能力であるし、ヒュドラ種が持っているのはおかしなことではない。


『ブブ、トビィ、今の状況についての感想をどうぞと言われているみたいですが……』

「一刻も早くフロア11に向かいたい。このフロアは長居していいところじゃない……」

『ブン。そうですよね……』

 なお、ヒュドラ種は竜系の魔物である。

 よって、その身体能力は同ランクの他の魔物よりもだいたい2ランクほど上になる。

 その上、高い再生能力を持っていて、頭がもげても数分で回復するらしく、仮にシールドを剥ぐことが出来ても倒すことが出来ないと遭遇した多くのプレイヤーから言われるほど。

 つまり、戦っていいような相手ではない。

 現状の俺の武装的にも戦う気はちょっと起きない。


「幸いなのは……ブレスの頻度が控えめっぽいのと、現状では一体しか湧いていなさそうなことくらいしかないか。もう一体湧く前にどうにかしてエレベーターを見つけたいところだな」

『ブン』

 早くエレベーターが見つかってほしい。

 俺はそう思いつつ通路を駆けて、次の部屋へと向かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヒュドラかぁ……なんか、ちょくちょく竜種と遭遇してないか?
[一言] 〉ヒュドラ 犬、ネコ、蛙、箱、豚、鮫「「無限肉キター」」
[一言] そういやいくらいいもの手に入れてもリタイヤしたら全てがご破算… まだ脱出する気はなしですかトビィさん
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