526:暗中乱戦
「コココココ」
「せいっ!」
グリーンゴーストが床から出てきたので、『昴』の位置を直すついでに切り裂いた後、素早くその場で踏み込みついでに踏みつけて始末する。
「ホウホホウ!」
「おらぁ!」
イエローオウルが遠くから拒絶属性の光の玉を放ってきたので、それを貫くように『昴』を投擲し、光の玉をかき消しつつイエローオウルを貫いてシールドを剥がす。
「ヴァンピイイィィ!」
「武器のデリバリーありがとう!」
ライムヴァンパイアが剣を振り下ろしてきたので、俺はそれを素早く奪い取ると、ライムヴァンパイアの体をバラバラにして始末した上で、剣が消える前にさっきシールドを剥がしたイエローオウルに剣を投げつけてトドメを刺す。
「バナーナ!」
「……」
「デリバリーありがとう第二弾!」
イエローバナナとライムニンジャがそれぞれに武器を投げつけて来たら、俺はその全てを空中でキャッチし、また新たにやってきたヴァンパイア種に向かって連投。
そのまま倒す。
「そして返礼の拳だ。受け取れ」
「バニャアッ!?」
で、イエローバナナには接近して殴る事でシールドを削り、剥がし、撃破だけはグレネードを置いてから逃げる事で十分な距離を取った上で倒す。
「「……」」
「当たり前のように二体に増えるな。いや、乱入してきただけだろうけど」
そうして倒したところで前衛が居なくなったためだろう、いつの間にか二体になっていたライムニンジャがこちらを挟み込むように同時に襲い掛かってきた。
さて、既にバナナの匂いに誘われた魔物たちと戦い始めてから十数分、いい加減に休憩を挟みたいところではある。
と言うわけで、俺は『昴』の射出も二重推進もフル活用して速攻。
ライムニンジャ二体を一気に倒し……ついでにライムニンジャと機を合わせて襲い掛かってきていたゴーストたちも斬り飛ばして始末する。
≪幻想系マテリアル:エーテル・拒絶を10個回収しました≫
≪生物系マテリアル:肉・拒絶を4個回収しました≫
≪生物系マテリアル:骨・拒絶を3個回収しました≫
≪生物系マテリアル:草・拒絶を2個回収しました≫
≪設計図:バナナブーメランを回収しました≫
≪設計図:ニンジャレッグを回収しました≫
「ふぅ」
『ブーン。ようやくですね』
「まったくだ」
と、ここで報酬のアナウンスが入ってきた。
どうやらようやく戦闘終了らしい。
どれだけの数を倒したのかは……報酬の数から察していただきたい。
正直、フロア中の黄色と黄緑の魔物を始末したような気もする。
「さて、とっととこの場を離れるぞ。俺の体には付いていないが、この場にはバナナの匂いが立ち込めているし、急がないとまた集まってきそうだ」
『ブン。そうですね』
俺は走ってこの場から離れていく。
で、二つほど部屋を通り過ぎて……マテリアルタワーを発見。
緋炭石と鉄・拒絶か。
どちらも3回、30秒、回収しておこう。
≪特定物質:緋炭石を80個回収しました≫
≪鉱石系マテリアル:鉄・拒絶を57個回収しました≫
「よし」
無事に回収完了。
「次は……おっ」
そしてさらに次の部屋へ行き、今度はダマスカス鋼・拒絶のマテリアルタワーを発見する。
接触回数は5回、10秒、あー、流石に時間が短すぎるな。
回収出来る量は下がってしまうが、普通の採掘だけでなく、タイミングを合わせたグレネードの爆破とを混ぜるしかないな。
それとだ。
「ここで回収したダマスカス鋼・拒絶は『昴』が食べていいぞ。今後素材を何に乗り換えるにしろ、今目の前の状況を乗り切るための強化は別にやっていく必要があるからな」
俺は『昴』に許可を出しておく。
『昴』は……まあ、喜んでいるな。
だが、これで簡易ラボを使わずに『昴』の強化が出来るので、俺としては非常に美味しい。
と言うわけで回収。
俺はグレネードとフググレネードを時間調整をした上で投げ、それが爆発する直前に二重推進からの掌底、『昴』射出、反動を生かした裏拳と叩き込んでいき、可能な限りの衝撃をダマスカス鋼・拒絶のマテリアルタワーに与え、砕いた。
≪鉱石系マテリアル:ダマスカス鋼・拒絶を42個回収しました≫
『ブブ。インベントリに入った事すら認識できませんでした』
「即座に食ったな。コイツ……いや、許可を出したから何も問題は無いわけだが」
そして『昴』は即座に砕かれたダマスカス鋼・拒絶を取り込んだ。
あまりにも早くて、インベントリに入ったのを確認できなかったぐらいである。
が、これで『昴』はダマスカス鋼・火炎41個製から、ダマスカス鋼83個製になった。
火炎属性は無くなってしまったが、その代わりに性能はダマスカス鋼の一つ上……玉鋼に少し劣る程度にまでなったはずだ。
強化としては十分すぎるぐらいだろう。
「さて、そろそろエレベーターを見つけると共に、簡易ラボを展開して補給と確認をしたいところなんだが……」
『ブン。ストレジェット・虚無、インダルジェンス・拒絶と確認しておきたいものが有りますからね。隕鉄・拒絶をどう使うかも考えなければいけませんし』
「と、噂をすれば陰って奴か」
その後も少し探索。
そこで辿り着いた部屋で、俺はようやくエレベーターを見つけた。
敵影はないし、灯篭のストロボも無かった。
暫くは安全そうな状況なので、簡易ラボでの作業を素早く終えれば、安全に次のフロアに向かえそうだ。
「じゃ、簡易ラボを使うぞ」
『ブン』
俺はエレベーター上で簡易ラボを発動した。
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