383:フロア9.5 マテリアル
本日は二話更新になっております。
こちらは一話目です。
「じゃ、玉鋼から見ていくか」
『ブン』
では早速回収物の一部を見ていこう。
まずは玉鋼・氷結だ。
△△△△△
玉鋼・氷結
種別:マテリアル
分類:鉱石系
特殊な製法によって生み出される鋼であり、現代にも伝わる金属。
不純物が少なく、非常に優れた武装の素材になり得る。
だが、『Scarlet Coal-Meterra082』内に存在している玉鋼は現実の物よりもさらに高い強度を有し、幻想の領域に片足を踏み入れてもいる。
氷結属性を有しており、攻撃に用いれば氷の氷結による追加ダメージを与えられ、防御に用いれば氷の氷結に対する防御を高める事が出来る。
▽▽▽▽▽
「まあ、見たところで使う事はたぶんないんだけどな」
『ブ、ブブ。まあ、それは仕方がないですね』
うん、普通。
ダマスカス鋼・氷結の上位互換ではあるけど、今更乗り換えるかと言われたらなぁ……。
あ、幻想の領域に片足を踏み入れているのは、長い年月続いてきたという伝統があるが故にだと思う。
では続けて隕鉄・拒絶。
△△△△△
隕鉄・拒絶
種別:マテリアル
分類:幻想系
空にある星が隕石となって地上に落ちてくる。
隕鉄とは、その隕石に含まれている鉄であり、現実にも存在しているものである。
だが、『Scarlet Coal-Meterra082』内に存在している隕鉄は、星々の力を強く秘めており、現実のものよりもはるかに高い性能を有している。
拒絶属性を有しており、攻撃に用いれば光の拒絶による追加ダメージを与えられ、防御に用いれば光の拒絶に対する防御を高める事が出来る。
▽▽▽▽▽
「こっちは……拒絶属性なのが俺とは合わないんだよな。特殊弾『シールド発生』に使うくらいしか使い道はないか」
『ブン。そうなると思います。ですが、竜命金に次ぐであろうマテリアルですから、ミスリル以上のシールドには確実になると思います』
こちらは拒絶属性なせいでヴァンパイアアーム、ヴァンパイアボディとの相性が悪い。
だが、特殊弾『シールド発生』に使ってしまえば拒絶属性の影響を消し、ティガの言うとおり、今よりも多くのシールドを得ることが出来る。
なので、後で入れ替えておこう。
これまでの傾向からしてフロア10はたぶん、アレが来るだろうから、少しでも戦闘能力を上げておきたい。
『ところでトビィ。玉鋼も隕鉄も現実にあるものですよね? それなのにどうして幻想が混じっているのでしょうか? 隕鉄に至っては分類すら幻想系ですし』
「んー……」
おっと、ティガを介した視聴者からの質問っぽいな。
どうしてなのかと言われても、俺に分かる事なんて何もないんだが……ああいや、これくらいは言えるかもな。
「ある種の信仰や伝統と言ったものの積み重ね、それから出自の影響なのかもな」
『ブーン?』
「実際のところは開発にでも聞かなければ分からない。けれど、ミスリルの出自まで考えると、無関係ではないと思うぞ。長い歴史や伝統を積み重ね、それが今に至るまで生きていて、根本の出自が人の手かそうでないか、と言うのは、スコ82の世界ではたぶん大きな影響があるんだと思う」
『ブ、ブーン……よく分かりませんが、納得はしておきます』
「まあ、俺も半ば……いや、九割がた適当に言っているだけだからな。実際のところはやっぱり開発に聞かないと分からない話だ」
詳しくは述べないが、ミスリルとは一人の作者によって生み出された幻想だ。
ヒノカグツチノカミ様たちがいらっしゃる神々の世界や俺が知らない裏側や幻想の世界ではどうなのかは知らないが、少なくともこの世界の歴史ではそうなっている。
そんなミスリルの上にあるのはダマスカス鋼、玉鋼、隕鉄はいずれも現存している。
現存しているが、ダマスカス鋼は製法が今に伝わっていないから、何処かで失伝したとされ、それが性能にマイナスの影響を出した。
玉鋼は現存し、今も製法が伝わっているから、その積み重ねによって今の強さに。
隕鉄は現存している上に天上の世界と言う、今の人間の手が届いているとは言い難い場所に由来しているのが神話的な意味でプラスの影響。
と言うところで、ミスリル<ダマスカス鋼<玉鋼<隕鉄の序列になっているのだろう。
「そう考えると、完全にオリジナルである竜命金が隕鉄のさらに上にあると言うのは……」
では竜命金は?
まあ、あの強さにはほぼ間違いなく開発の思惑が関わっているんだろうな。
となれば、開発は竜に関わりがあるのか? あるいは憧れているのか?
他者からの継続的干渉への強い抵抗も開発の能力か? あるいは望みか?
開発はゲーム内における最上位であり、現実に対しても影響力を行使してきている存在である。
では、そんな開発の象徴であろう竜命金は何故最上位の一歩手前止まりなのか、虹の魔物と言う更なる上が居るのに黒の魔物に使われているのか?
ま、本当に最上位であるとしたら、明らかに開発と敵対しているヒノカグツチノカミ様は何なのだという事になる。
それに、黒鬼が発したあれほどの開発を毛嫌いする発言の意味も合わせれば、自ずと答えが出るな。
つまるところ……。
開発は最上位には程遠い、ただの侵略者に過ぎない。
そういう事なのだろう。
「ま、この件についてはあまり深く考えない方が吉だろうし、残りのものを見ていくぞ」
『ブン。分かりました』
とは言え、『第二次防衛戦』の事を考えれば、口に出せるような話ではない。
そして、第四坑道・ミクヒィカの攻略に寄与するものでもない。
この件についてはこれくらいにしておくとしよう。
12/28誤字訂正




