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『Scarlet Coal』-殴り魔は自らの欲を満たす  作者: 栗木下
2:第二坑道・ケンカラシ
22/619

22:頭の違い

「さて、第二坑道・ケンカラシに向かう……うん?」

 ラボに戻ってきた俺はゴーレムに意識を移した。

 勿論だが、意識を移す前に既に第一坑道・レンウハクで得た設計図に基づいた新パーツの作成と構成の変更は終えている。

 そしてだからこそ、とっとと第二坑道・ケンカラシに向かおうと思ったのだ。

 で、そうして意識を移し、ティガに呼びかけようとして……気づいた。


『気づかれましたか。トビィ』

「ああ、うん。気づいた。なるほど、頭部パーツの変更にはこういう変化が伴うのか」

 第一坑道・レンウハク攻略中はビギナーヘッドだった俺の頭は、今はハウンドヘッドに変更されている。

 結果、ビギナーヘッドの時とは微妙に視界の範囲や音の聞こえ方が変わっているのだが、それ以上の変化が生じていた。


「口があるから喋る事が出来るんだな」

『ブン。その通りです』

 一つは口から声を発することが出来るようになっている事。

 ビギナーヘッドに口は無かったので、俺の意識上に存在しているティガとしか話せない状態だったのだが、ハウンドヘッドならば口があるので、俺の外にまで音を伝えられるようになっているのだ。

 これはうん、色々と利用できるな。

 対魔物ではなく、対人の場合になるだろうが。


「そして、嗅覚が思っていた以上に鋭い」

『ブン。それはハウンドの頭を模しているからでしょう』

 もう一つは臭いだ。

 ラボの壁や床に使われている金属の臭いを嗅ぎ取れるようになっている。

 頭部パーツ次第では嗅覚が生えるというのはティガに聞いた覚えがあるが、これもまた、色々と利用出来そうな仕様だ。


「なるほど面白いな」

 ついでなので俺は少し体を動かして、調子を確かめる。

 併せて、背中の背負子……モロトフラックから火炎瓶を取り出す動作についても確かめる。

 うん、これならば必要な時にスムーズに火炎瓶を投げつけることが可能だろう。


『ところでトビィ。一つお知らせがあるのですが、いいですか?』

「なんだ?」

『街坑道・ヒイズルガに移動したことによって、ゴーレムのカラーリングを変える機能が解放されてます。トビィの趣味嗜好を考えると、特徴的なカラーパターンにすると今後のためになると思うのですが、どうでしょうか?』

「へぇっ……」

 と、ここでティガから提案があった。

 確認をしてみれば、確かにゴーレムの各パーツへと好きに色を塗れる機能が解放されている。

 そして、この機能は確かに俺にとって有用なものだろう。


「ティガ」

『ブン。文章なら用意してあります』

 俺はカラー変更の詳細も確認。

 なるほど、魔物は何かしらの方法によってこちらを認識しているが、その方法はこちらの体表の色とは無関係であるため、ゴーレムの色を変えたところでカモフラージュ効果は勿論のこと、警戒色の類も意味を成さないらしい。

 なので、ゴーレムの色を変える事に意味を見出すのであれば、他のプレイヤーが関わる場面という事になる。


「マルチで自分が何処に居るのかを仲間目線で分かり易くする。バーサスやカオスで自分の存在を隠して不意打ちを狙いやすくする。特徴的なカラーリングによって自分の存在を知らしめる。使い方は色々とあるな」

『ブン。ただし、宣伝目的で使用する場合は、宣伝先からの許可をきちんと得なければいけません。脳波で判定していますから、勝手に使うのも、これぐらいなら大丈夫だろうも通じません。これは先に伝えておきます』

「むしろ、許可さえ貰えれば、宣伝を入れていい事に驚きだよ俺は」

 まあ、使い方は幾らでもある。

 ゴーレムを操っている人間と言う生き物は、視覚情報にかなり頼っている生物だからな。

 はっきり言って、上位層になればなるほど、カラーリングもまた装備の一つとして適切なものを選ぶことになるのではないだろうか。

 宣伝は……俺のような殴る事しか考えていない女にそんなものを頼む奴は居ないので、気にしなくていいだろう。


『さてトビィ。どのような色と柄にしますか?』

「そんなもの虎柄に決まっている。真っ黄色にした後に黒い線を入れていくぞ」

 では、情報が出揃ったところでカラー変更。

 俺は全身を虎柄に塗っていく。

 なお、腹側はちゃんと白くしてあるし、モロトフラックはデフォルトカラーのままにして、そこまで見た目がおかしくならないようにしておく。


「んー、犬の頭と手で虎柄ってのも悪くはないが……やっぱりまずはパーツ集めだな」

『ブン。そうですね。自分にとって都合のいいゴーレムを作り上げるためにも、まずは選べるパーツの数自体を増やすべきだと思います』

 塗り終わった。

 当然だが動きに異常が生じるような事はない。


「それじゃあ第二坑道・ケンカラシに向かうぞ。ティガ」

『ブン。分かりました。トビィ』

 そうして俺はエレベーターに移動し、第二坑道・ケンカラシをバーサスモードにした上で選択。

 移動を開始した。



△△△△△

第二坑道・ケンカラシ

階層:6


駆け出しのゴーレム使いが挑む坑道。

慣れた者にとっては肩慣らしにしかならないだろうが、不慣れなものには厳しい坑道だろう。

この坑道の探索によって、君は異常な空間と言う言葉の意味を知るに違いない。

▽▽▽▽▽



△△△△△

トビィ

称号:『ヒヨッコ』

燃料:100/100


頭部:ハウンドヘッド(岩)

└物理-生物-外部-ダメージ

胴体:ビギナーボディ(岩)

右腕:コボルトアームR(岩)

左腕:コボルトアームL(岩)

脚部:ビギナーレッグ(岩)


武装:モロトフラック(岩)

▽▽▽▽▽

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― 新着の感想 ―
[一言] え? 『女』だったの?
[一言] 宣伝が可能…か 各社から宣伝料をこのゲームに払う必要がある…? だとしたら出費しかしてないだろうと思われてたゲームの収支収入源に言い訳が…つくわけないわ。
[一言] とりあえず、目鼻口耳がついていない頭パーツは使い難そうですな 色変更は完全に対人と趣味用ですねえ。 許可を取れば宣伝しても良いというのもまたきな臭いきな臭い。 フレーバーからしてダンジ…
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