210:第三坑道・アルメコウからの脱出
「ふぅ。助かったな。割と本気で」
『ブン。そうですね』
煙幕と共に逃げ出した俺は、当然ながら脱出ポッドの方へと逃げ出した。
背後にはオレンジデイムビー、オレンジホーネット、オレンジミュルミドン、それにオレンジの葉っぱを付けた生垣のような魔物が居た。
そして、脱出ポッドの部屋に入ったところで通路を塞ぐようにフェイクウォールを発動。
幸いにして……いや、よくよく考えると強制的に虹蜂と戦う事になるので微妙だが、それでも今の状況的には幸いにして、脱出ポッドの部屋には他の通路がなかったため、これで部屋は完全に閉鎖できた。
「まあ、ミュルミドンも居るから、とっとと脱出だな」
『ブン。急ぎましょう』
が、オレンジミュルミドンは壁を掘る能力を持っているので、とっとと脱出ポッドを起動してしまう。
≪第三坑道・アルメコウからの脱出をします。カウントダウン開始……30……29……≫
「しかし、ギリギリだったな……状態異常対策のシールドももうギリギリだし、体の損壊も多いしでだ」
『ブブ。むしろよくギリギリとは言え勝利したと思います。普通ならアチラが一方的に勝利するだけかと。ちなみにもう一度同じことをやれと言われたらできますか?』
「出来なくはないが……出来ればやりたくはないな」
『ブン。なるほど』
俺は脱出ポッド上に腰を下ろし、脱力する。
うん、流石に疲れた。
虹蜂の体の状況を殴る事で把握し、把握した状況から次の三角錐の生成位置を把握して攻撃すると言うのは、出来る事ではあったが、細心の注意と多大な集中力を要求されるため、普段やっている事の延長ではあったが、それでも疲れる事だったのだ。
≪10……9……8……≫
「……。間に合いそうだな」
『ブン。間に合いそうです』
さて、この状況で脱出失敗に繋がりそうなのはオレンジミュルミドンが壁を掘って部屋に突入し、その攻撃によって俺か脱出ポッドが破壊されるというパターンだが……耳を澄ましても壁を掘る音は僅かにしか聞こえないし、これなら大丈夫そうか。
≪3……2……1……脱出≫
「よし」
『ブン。お疲れさまでしたトビィ』
そうして俺は無事に第三坑道・アルメコウから脱出した。
「はー……なんと言うか、久しぶりな気もするな」
で、ラボにも到着。
俺はゆっくりとした足取りでラボに移動し、再び腰を下ろす。
≪第三坑道・アルメコウからの脱出に成功しました≫
≪インベントリのアイテムをラボの倉庫に移送します≫
『インベントリの中身はだいぶ減っていますね』
「まあ、それについては仕方がないだろ」
さて、どういうインフォが来るかだが……まずはいつもの。
≪第三坑道・アルメコウの踏破を確認≫
≪初回踏破報酬として白紙の設計図が与えられます≫
≪初回踏破報酬として称号『ベテラン』が与えられます≫
「おっ、来たか」
『ブン。使いどころを考える必要がありますね』
次に踏破報酬。
一枚だけとはいえ、白紙の設計図が手に入ったのは嬉しいな。
何に使うかは……ログアウトしてからゆっくり考えよう。
≪第三坑道・アルメコウの番人、レッドキーパー・アルメコウαの撃破を確認≫
≪称号『スペクトル』が与えられます≫
「スペクトル……スペクトル?」
『貴重な称号ではありますよ』
スペクトル……分光関係だったか?
それならまあ、虹蜂だしな。
光を分光する事で多彩な状態異常を作り出していたと考えれば不思議ではないな。
≪第三坑道・アルメコウの単独制覇を確認≫
≪称号『デレゲイト』が与えられます≫
「デレゲイト……delegateか? だったら、使節や代表者と言うところか?」
『キャンディデート』の第三坑道・アルメコウ版と言う感じだろうか?
ただ、『マレディクタス』の方がレアな気がしなくもない。
≪一定値以上の貢献が認められました≫
≪第四坑道・ミクヒィカへの進入許可が与えられます≫
「第四坑道か……」
『ブン。第四坑道です』
そして次の坑道か。
漏れ聞こえてきたところによれば、得られるマテリアルや緋炭石は第三坑道・アルメコウ以上らしいが、厄介さについても質と言うより幅の面で第三坑道・アルメコウ以上らしい。
まあ、挑むのは明日以降だな。
「これで全部か?」
『ブン。全部なようです』
ちなみにだが、第三坑道踏破に伴う報酬には、アナウンスはされていないが、アドオンを付けられる枠が一つ増えたと言うのもある。
これは非常に重要な報酬であり、今後の坑道探索にも大きく関わってくる部分なので、後できちんと考えるべきだろう。
「さて後やるべき事は……」
『ブン。リツとハンネからメッセージが届いています』
「じゃあまずはそこだな」
後は細々とした後処理になるのだろうが、その辺はリツとハンネのメッセージを見てからだな。
この二人なら、その辺に関係するメッセージを送ってきている可能性はある。
で、確認したところ、本当に後処理に関係するメッセージだったので、俺は二人からのメッセージに素直に従って処理を進める。
「えーと、今回の坑道探索中に手に入れた設計図を全部10枚ずつコピーしてリツに送る。ただし、ナマコノワタ、ポケットアリーナについては1000枚。特殊弾『緊急離脱』は50枚。アドオン『致命被弾時緊急離脱』は100枚、と。俺はコピーして送るだけだから構わないが、こんなに送って大丈夫なのか?」
『ブーン。恐らく大丈夫だと思います。どれも有用な設計図であることは確かなので』
「それもそうか」
まずリツにコピーした設計図を大量に送る。
ちなみに販売は明日の12時からにするとの事だったので、その点についても宣伝しておく。
「で、ハンネ提案の質問会は……まあ、明日の夜でいいか」
『ブン。分かりました』
そしてハンネから今回の探索について気になっているプレイヤーが多いだろうからと提案された質問会については明日に回す。
流石に此処から質問を受ける気力は湧かない。
「じゃ、とりあえずログアウトするな。流石に疲れたから休みたい」
『ブン。お疲れさまでした。トビィ』
そうして、とりあえずの処理を終えた俺は、ログアウトして休むことにした。




