208:レッドキーパー・アルメコウ・虹蜂-3
本日は四話更新になります。
こちらは三話目です。
「ふふふ、まあいい。5割を切って、次の制約も外れた」
白と黒の三角錐か……。
そもそも虹蜂の三角錐は光を放つ事で攻撃。
攻撃が命中すれば、色に応じた状態異常を与えてくる。
そして、色に応じてどんな状態異常を与えて来るかは、これまでの戦闘で分かっている。
つまりだ。
赤ならば燃焼、可燃物の焼却を伴うDoT。
橙ならば腐食、酸に接触したかのようなDoT。
黄ならば帯電、痺れを伴い動きの鈍化を伴うDoT。
黄緑ならば漏洩、シールドへのダメージだけでなく、燃料へもダメージを与えてくるDoT。
緑ならば毒、シンプルなダメージだけのDoT。
青ならば凍結、体の動きそのものを鈍らせるDoT。
紫ならば老化、進行に伴ってステータスを少しずつ下げていくDoT。
となっていた。
「そうかい。ま、だから白と黒か」
なお、直撃すれば相応の時間、状態異常は続くが、掠った程度ならば解除までの時間はそう長くはない。
それと、ゴーレムには生物原理の毒は効かないはずだが、虹蜂の状態異常は魔術、物理、化学原理のものも含むため、完全に防ぐことは難しいようだ。
では白と黒の三角錐の攻撃に伴う状態異常は?
ぶっちゃけ分からない。
分からないが、白が拒絶属性に関係が深く、黒が侵食属性に関係が深いDoTではありそうではある。
そして、シールドゲージが50%を切るまで使えないようになっていた点からして、他の七つよりも強力である可能性は高い。
受けないようにするべきだな。
そしてだ。
「はははっ! 来るか! 来るよなぁ! 様子見をしている暇など貴様には無いよなぁ!」
こうして考察をしている間にも虹蜂のシールドゲージは自然回復をしている。
なので俺は態勢を整え終えると同時に、虹蜂に向かって飛び出す。
対する虹蜂は七つの三角錐を横並びにして俺の方へと向け、光を放とうとする。
「ふんっ!」
「ほうっ……」
だから光が放たれるよりも一瞬早く『昴』を投擲。
俺の真正面にあった赤の三角錐を破壊して、攻撃に隙間を作る。
そうして俺の左右に光が放たれ……気づいた。
「だが甘いな」
白と黒の三角錐から光が放たれておらず、しかも三角錐の先が今まさに俺の方へと向けられている事に。
「っ!?」
俺は反射的にパンプキンアームによって胴体をガードしつつ、少しだけ拍子をずらした二重推進で前に向かって飛び込んだ。
直後に俺の体が感じ取ったのは、シールドの存在を無視する形で、パンプキンアームの一部が爆発して破壊されるのと、左脚に深い切り傷が刻まれた事だった。
そして、この時点でも、白と黒の三角錐からは光が放たれているようには見えなかったが……見えないだけだった。
「赤外線と紫外線だからシールドを無視しますってかぁ!?」
「はははっ! あっさり行き着くか! そうでなくてはなぁ!」
自分の中の知識とすり合わせれば、何をされたかは直ぐに分かった。
黒の三角錐からは赤外線が放たれ、急速加熱による爆発が発生したのだ。
白の三角錐からは紫外線が放たれ、レーザーのような光によって斬られたのだ。
この二つの光を虹蜂が扱うのは不自然でも何でもない。
虹とは空気中の水分によって太陽光が分散した結果であり、人間の目には見えないだけで赤外線と紫外線だって含まれているはずなのだから。
「ふんっ!」
また、白と黒の三角錐の攻撃が、シールドを貫通するだけなのは幸いだと断言できた。
それならば、受けた後に余っているマテリアルで修復すればいいだけの話。
なので俺は『昴』を回収し、虹蜂に肉薄し、殴りかかる。
「くくくくく、またこの距離か!」
「おらおらおらぁっ!」
殴る、殴る、殴りまくる。
虹蜂の四本腕と両脚を使った格闘技をいなし、尾部の薙ぎ払いを避け、三角錐による攻撃を回避と迎撃と煙幕によって対処しつつ、虹蜂の堅い鎧に覆われた体を殴り、鎧の下にある甲殻へ、そしてその先にある肉にまで衝撃を通し、虹蜂のシールドゲージを削り取っていく。
45%……40%……35%……順調に減らしていく。
「だが、貴様の得意なこの距離は拒否させて……っ!?」
「拒否させる気はない!」
当然こうして一方的に攻撃すれば、虹蜂は自分にとって有利な距離に逃げ出そうとする。
が、此処で俺は特殊弾『影縄縛り』を発動して一瞬ではあるが、虹蜂の動きを阻害。
続けて特殊弾『睡眠』付きのサーディンダートを口の中に突っ込んで眠らせ、動きを阻害出来る時間を延長。
そうして動きを鈍らせている間に更に攻撃を加えつつパンプキンアームを絡ませ、シャープネイルを突き刺し、『昴』も突き刺して、拘束する。
この時点で虹蜂のシールドゲージの残りは約30%。
ここから、一気に削り取って、シールドゲージ25%と消滅に伴う更なる制約の解除を無視して一気に攻め切る。
「仕掛けてきたのはいいが、少し早かったのではないか?」
「うるせぇよ。黙って殴られろ」
勿論リスクはある。
こうしてパンプキンアームを相手に絡ませているという事は、相手の体に絡ませている部分については攻撃を回避するという行動とは無縁になってしまうという事だ。
おまけに虹蜂の筋力相手では、全身を拘束していても動きを阻害しきることは出来ないし、そもそも虹蜂の攻撃の主力である三角錐は虹蜂の状態に依存せずに動く事が出来る。
となれば、パンプキンアームに三角錐の攻撃を撃ち込むことで、多重DoTが成立してしまう事になるわけだが……それは覚悟の上だ。
煙幕の中、外から攻撃を刺せないようにした上で、俺は殴り続ける。
「くくく、仕掛けたのが早かった代償は大きいという話なのだがな?」
「何を言って……っ!?」
虹蜂が三角錐を操り、放った光ではなく、三角錐そのものでパンプキンアームを突き刺してくる。
三角錐の色は黄色だが、他の色も混ざっているようだった。
俺は帯電の状態異常と他に幾つかの状態異常が発生したのを確認し……その直後に突如としてパンプキンアームが爆発。
「ふははははっ」
「まさか……」
この爆発によってパンプキンアームは半壊し、拘束は解除。
だが、エクステンドアイビーと合わせる事でギリギリ修復可能な範囲で残ってはくれた。
シャープネイルは無事。
無事だったが、『昴』が中ほどから折れ、消滅し、琥珀・電撃を材料に再生を始めた事で、ナックルダスター共々に消滅する。
いや、それよりも問題なのは今の攻撃。
俺の想像が正しいならば……。
「さあ次はもっと派手に損壊する事になるぞ。七つの毒をその左腕は覚えてしまったのだからな」
「毒のカクテルにアナフィラキシーショックか……!」
次は確実に致命傷になる。
俺はそう認識すると、痺れる左腕からは力を抜き、右手だけで『昴』を握り、格闘の構えではなく剣の構えを取った。
07/11誤字訂正




