206:レッドキーパー・アルメコウ・虹蜂-1
本日は四話更新になります。
こちらは一話目です。
「ふははははっ!」
俺の背後、ついさっきまで居た場所に五色の光が突き刺さる。
認識加速は発動しなかった。
そういう攻撃であるか、速過ぎて発動する意味がないのか、そのどちらかだろう。
「本当にいい想像力をしている!」
新たな三角錐が二つ、虹蜂の背後から現れる。
これで赤、橙、黄、黄緑、緑、青、紫の七つになった。
そして、新たに現れた三角錐が二度明滅するのが見えた時点で、俺は反射的に右へ二重推進で跳躍。
直後に俺が居た場所を二色の光が突き抜けていく。
「そしてそれ以上によく分かっている!」
光が突き抜けていく瞬間に胴体であるヴァンパイアボディの肌にビリビリとする感覚が走る辺り、恐らくだがあの光は見た目通りに拒絶属性の攻撃になるのだろう。
となれば、胴体直撃は一撃でシールドが消し飛ぶし、シールド無しなら核まで容易に貫かれると想定しておいていいだろう。
「私に貴様と手を止めて話し合うつもりなどないという事が本当によくなぁ!!」
だが、虹蜂本体よりもまず先に対処するべきものがある。
それは大量の蜜を吹き出しているハチの巣の塔だ。
これをまずは止めないと、戦うどころではなくなってしまう。
と言う訳で、七つの三角錐の内、赤、緑、青の三つが俺を取り囲むように飛んでくる中でグレネードを四つ投擲し、ハチの巣の塔を爆破……したかったが、一つは虹蜂を挟んだ先にあったため、黄の三角錐によって貫かれて迎撃されてしまった。
「いやそもそも、貴様にも話す気などなかったか!」
しかし、グレネードの爆発一つで黄の三角錐は破壊された。
つまり、三角錐にはシールドがなく、耐久力もそこまでではないという事だ。
それはそれとして、『昴』を投擲。
『昴』の質量を防ぐ気は無いらしく、虹蜂は軽く横に動いて回避し、『昴』は虹蜂の向こう側にあったハチの巣の塔に突き刺さって破壊した。
これによってハチの巣の塔は全て破壊され、部屋の床が蜂蜜だらけになるのは防がれた。
が、この間に三色の三角錐は俺の間近までやってきているし、包囲状態かつ俺の動きに合わせて発射先を動かせるようにしていて、しかも既に発射直前の状態。
おまけに命中率を考えてか、きっちり胴体狙いで構えている。
「どちらにせよ死ねぇ!」
詰みか?
いいや、この程度で詰みには程遠い。
俺は特殊弾『煙幕発生』を発動したグレネードを握り潰し、即時発動。
俺の周囲が煙幕に包み込まれると同時に三角錐から光が放たれて……。
「ほう、煙幕か」
何も起きない。
煙幕に阻まれてその中心に居る俺には光が届かなかった。
「だが、守って……おっと……っ!?」
そして即座に反撃開始。
特殊弾『睡眠』込みのサーディンダートを二本投擲しつつ、二重推進で煙幕の外へと飛び出す。
「なるほど。この三角錐は針が巨大化した蜂なのか」
煙幕の外に出た俺の視界に入ってきたのは、一本目を黄緑の三角錐で撃ち落すも、全くの同一軌道で飛んできていた二本目のサーディンダートを避けるべく身を反らす虹蜂の姿。
そして、煙幕から飛び出てきた俺に反応することなく、煙幕へと針の先を向け続ける三色の三角錐。
ついでに、赤の三角錐を裏側から覗いたことで、三角錐が針を巨大化させ、体本体が内側に入ってしまうようになった蜂であることを確認。
「そして、オートではなくマニュアル。と言うか、お前の指示待ちみたいだな」
「ははっ、本当に流石の観察力だ。看破するのが早い!」
俺は手刀で赤の三角錐を叩いて破壊。
すると赤の三角錐は爆発し、多少のダメージを俺に与えて来るが、この程度ならばヒールバンテージで回復すればいい判断。
直ぐに俺は虹蜂に向かって駆け出す。
「射程もあるみたいだな」
「ふふふ、大気と言うのは、存外光を散乱させるものなのでな!」
すると直ぐに緑と青の三角錐が俺を背後から襲い掛かろうとする。
が、これは読めていた動きなので、独特の羽音を頼りにパンプキンアームを振るい、三角錐の先端を横から叩き、先端部分の向きを修正する事で、別の方向へ撃たせる。
だが破壊はしない。
理由は簡単だ。
「敢えて倒さない辺り、私のようなものへの対処もよく知っている。いや、ネタバレでも踏んだか?」
虹蜂の手元に新たな赤と黄の三角錐が現れる。
そして、橙、紫の二色と合わせて、四つの三角錐を横並びにしてくる。
きっと、青と緑を破壊していたら、ここで一緒に並べていたに違いない。
「お生憎様。詳しいネタバレは踏んでねえよ。討伐光景も見つからなかったしな」
「ふふふ。そうか。人間と言うのはやはり仲が良くないのだな。私には何度か敗北の記憶もあるのだが……なっ!」
虹蜂が睡眠で落ちた黄緑の三角錐を踏みつけて破壊しつつ、四つの三角錐から光を放つ。
横並びの発射は横に二重推進で飛べば避け切れるが、それでは虹蜂に近づく事が何時までも出来ないし、背後から迫る青と緑に追いつかれる。
上に飛べば近づけるが、次手で対空射撃をされてお終い。
伏せれば、それこそ次で檻のように撃たれる。
特殊弾『煙幕発生』は虹蜂相手では貴重な防御手段であると判明したので、可能な限り防御したい。
なので俺の選択は相手の狙いが正確であると理解した上で、パンプキンアームとエクステンドアイビーを盾のようにし、黄色の三角錐の攻撃だけを真正面から受けるように直進する事だった。
「痺れるが……」
結果はシールドゲージの20%が削れる程度のダメージと、帯電なるDoTと行動阻害を兼ね合わせ得た状態異常の付与。
おかげで左腕が痺れて動きが悪くなった上に、シールドが継続して削れていく。
やはり蜂らしく有毒ではあったか。
後、黄色が帯電という事は、他の三角錐は別の状態異常の可能性が高いな。
琥珀・電撃に影響が出そうな赤と……拒絶属性っぽい色はよく分からないな。
まあいい、それよりもだ。
「動けないほどじゃないな!」
「くくくっ、私を直接殴るか。流石にこれは初めての経験だ」
攻撃を真正面から受け止めつつも接近したことで、俺は虹蜂の目の前にいた。
だから俺は虹蜂の腹を殴り飛ばした。
「だが一つ言っておく」
「っ!?」
直後、俺は脇腹を蹴り飛ばされ、吹き飛ばされると共にシールドが消し飛び、おまけに漏洩なる新たな状態異常にもかかっている。
原因は明白。
「私は近接戦闘も別に問題なく行えるぞ」
虹蜂の足のつま先、その少し先の空間には黄緑色の三角錐が、虹蜂との距離を保つように飛んでいた。
どうやら、あの黄緑色の三角錐によって、俺は貫かれたらしい。
そして、いつの間にか虹蜂の四つの手ともう片方の足、そして背後にも、同じように三角錐が飛んでいて、片足立ちの虹蜂は慣れた様子で構えを取る。
これが虹蜂の近接戦闘態勢であるようだ。
「そうかい。そりゃあ、楽しみだ」
対する俺も新たなシールドを発生させ、シールドを張り直すまでの間にわき腹と左腕に生じたDoTによる損傷を隠すように構えた。




