203:フロア9.5 スチールゴーレム
「先ずは坑道予測だな。属性は……物理、要するに無属性か。で。ただの坑道でもある、と」
『ブン。そのようですね。魔物の出現予測は五種類分あります』
俺は坑道予測を見て行く。
属性も構造も問題はなさそうなので、好きに組んでいいだろう。
そして魔物の予測はキーパーが居るためか五種類分。
しっかりと見て、対策を考えていかないとな。
「えーと、ホーネットか」
一種類目、ホーネット。
蜂型の魔物で、尾部の針で刺されれば毒によるダメージと拘束を受けることになる。
イエローからは針からショットガンのように毒液も飛ばせるようだし、フロア10に出て来るオレンジのランクのホーネットも当然同じような事をしてくるだろう。
まあ、耐久は低めだし、処理はそこまで難しくはないだろう。
『ブーン。デイムビーも居ますね』
二種類目、デイムビー。
蜂人間の魔物で、空を飛びながら大型の武器や狙撃銃による攻撃をしてくる魔物。
追い詰められると、一発逆転を狙って針による強烈な攻撃を仕掛けてくるので、最後まで油断はできない。
ただ、武器を奪う事が出来れば、処理はそこまで難しくはない。
「ミュルミドンも居るな。と言うか、蜂系に偏ってないか? これ」
『ブン。偏っているのは否定できませんね』
三種類目、ミュルミドン。
蟻人間の魔物で、重武装、大型武装による攻撃をしてくる魔物だが、蟻モチーフだからなのか数も多い気がする。
しかし、武器を奪えると他の魔物も含めて殲滅が楽になるし、そういう意味では嫌な相手ではないな。
「で、残り二種類は???だが、片方はレッドキーパーだな」
『ブン。そうなりますね』
四種類目と五種類目は未確認の魔物なので、現状では不明。
だが片方は各坑道の最深部に必ず存在しているキーパーだろう。
えーと、空き時間にちょっと調べたところによれば、第三坑道・アルメコウでもキーパーはα、β、γの三種類からランダムに選出された一体が出現。
ただ、赤のランクであることを踏まえてもなお強いらしく、今朝の時点では討伐報告は上がっていない、だったかな。
まあ、表に出て来てないだけで、誰かは既に倒しているだろうけど。
で、これらの情報に合わせて幾つか別にも情報があるので、それを踏まえてゴーレムの構築を考える必要がある、と。
「武装の追加と補充と言う意味では、とりあえずポケットアリーナとナマコノワタは確定でいいとしてだ」
『ブブ。トビィ、戦う気ですか?』
「積極的に戦う気まではない。が、キーパーに関しては見つかったらその時点で逃げる選択肢はないとも思ってる。だからまあ、戦えるようにするための準備だけはしておかないとな」
とりあえず数に余裕があるマテリアルでポケットアリーナとナマコノワタは作成。
ポケットアリーナを使って戦うか、ナマコノワタを使って逃げるかは状況次第だが、とりあえずレッドキーパー……赤キパと戦えるようにはしておく。
「全身を純粋な鋼製にするのは一応可能だな」
『ブン。可能です。鋼・電撃がとても多くありますし、鋼・拒絶もパンプキンアームLとエクステンドアイビーを一度分解すれば確保できますので』
ゴーレム本体に使うマテリアルを鉄から鋼に乗り換えるのは確定。
フロア7以降の戦闘から考えるに、鉄製でも戦うことは出来るが、時間はかかるし、攻撃を受けてしまった時の耐久性にも問題があるからな。
で、折角だから使う設計図についても調整するか。
「頭と両腕はそのままでいいとして……胴体はヴァンパイアボディ、脚部はミュルミドンレッグに変えるか」
『ブーン、理由は?』
「胴体の方は弱点は増えるが、シールド貫通攻撃も増えそうだから。脚部はデイムビーレッグよりもいい感じに殴れそうだからだな」
『ブン。なるほど』
と言う訳で、構成変更。
胴と脚は更新だ。
デイムビーボディの針が使えなくなるのは色々と支障が出そうに思えるが、相手のランクがオレンジ以上で、数も多そうだから、ヴァンパイアボディに変えても問題はないだろう。
インベントリの枠は問題無いしな。
「後は……シャープネイルとナックルダスターは琥珀・電撃製に変更して、特殊弾の補給だな」
『ブブ。属性が被りますが、いいのですか?』
「ナックルダスターを鋼・拒絶製のままにしたせいで自爆、と言う未来が何となく見えたからな……スペック的にも琥珀の方が上だし、変えておく」
『ブブ……なるほど。という事はミスリル・電撃も出番なしですね』
「まあ、そうなるな」
さらに細かいところも弄っていき、補給できる特殊弾は補給しておく。
結果、こんな感じになった。
△△△△△
トビィ
称号:『越禍のマレディクタス』
燃料:99/100
アドオン:広域攻撃耐性
アドオン:オートコレクター
頭部:デイムビーヘッド(鋼):魔力-魔術-境界-防御(特殊弾『シールド発生』鉄4)
胴体:ヴァンパイアボディ(鋼):侵食-生物-内部-回復
右腕:デイムビーアームR(鋼):侵食-化学-外部-特効
左腕:パンプキンアームL(鋼):侵食-物理-内部-拘束(特殊弾『影縄縛り』3)
脚部:ミュルミドンレッグ(鋼):火炎-魔術-内部-付与
武装:ナックルダスター(琥珀・電撃):電撃-化学-外部-強化
武装:シャープネイル(琥珀・電撃):氷結-魔術-境界-強化
武装:グレネードホルダー(鉄):侵食-化学-外部-遮蔽(特殊弾『煙幕発生』10)
武装:サーディンダート(肉):魔力-魔術-外部-拘束(特殊弾『睡眠』10)
武装:ヒールバンテージ(鉄):魔力-魔術-外部-回復(特殊弾『シールド回復』3)
武装:デイムビーウィング(鉄):電撃-化学-内部-移動
武装:イグジッター(鉄):時空-魔術-境界-脱出(特殊弾『緊急脱出弾』1)
武装:フェアリーパウダー(鉄):魔力-物理-外部-強化
武装:ナマコノワタ(銅):魔力-魔術-内部-離脱
武装:フェイクウォール(岩):物理-物理-外部-遮蔽
武装:ポケットアリーナ(真鍮):魔力-魔術-境界-強化
武装:エクステンドアイビー-パンプキンアームL:侵食-物理-内部-拘束
武装:プラヌライの騎士武装『昴』(鉄・侵食250):(制限なし)-法則-異界-(制限なし)
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≪条件を満たしたとして称号『スチール』が与えられます≫
「流石に体が重くなってきたようにも思えるが……まあ、これぐらいならまだ何とかだな」
『胸部装甲は大丈夫ですか? デイムビーの時より厚みを増しているようですが』
「ん? んー……まあ、核を守るためだろし、出力も上がっているから、許容範囲内ってところだな」
『ブン。なるほど』
更新完了。
体を軽く動かしてみた感じ、増した重量から予測していたよりも速さが出る感じだな。
たぶんだが、琥珀・電撃製の装備の影響だろう。
緋炭石とマテリアルの貯蓄も十分であるし、この分ならフロア10でもそれなりに戦えそうだ。
称号はスルーで。
「お前を鋼製に変えるのは帰ってからだ。流石に数が足りない」
『ブブ。また『昴』ですか』
なお、『昴』も自分を更新しろと騒いでいる気がするが、柄を軽く叩いて黙らせておく。
どんなに早くても、『昴』の更新は明日以降、鋼・電撃を集めて、十分な数になってからである。
「さて、フロア10に向かうぞ」
『ブン。分かりました』
そして俺はフロア10に向かって降り始めた。
07/07誤字訂正
07/09誤字訂正




