202:フロア9.5 ポケットアリーナ
「いやこれは本当に重要と言うか、いいのが出たな」
さて、早速だがポケットアリーナの詳細からである。
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ポケットアリーナ
種別:パーツ
部位:武装
対応:魔力-魔術-境界-強化
使用者と敵対者が居る部屋に設置する事で、室内の生存者がどちらか一方の陣営になるまで、部屋への進入、脱出、干渉を行えないようにする装置。
効果終了後、装置は消滅する。
なお、使用者側の陣営には無様な戦いを見せないだけの心意気が必要である。
≪作成には同一のマテリアルが50個必要です≫
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『作りますか?』
「ああ、作っておく。ナマコノワタによる転移だけじゃなくて、特殊弾『緊急脱出弾』による脱出も阻害されるかもしれないが、レッドキーパーと遭遇した時に横やり無しで戦える可能性は持っておきたい」
ポケットアリーナの効果は簡単に言えば、戦闘が続く限り部屋を封鎖すると言うものだ。
使い道については相手の逃走防止、増援の防止、この辺りがメインとなるだろう。
注意書きについては少々気になるところだが……まあ、使った以上は逃げ回るだけじゃなくて、ちゃんと攻撃をしろ、ぐらいのもので、俺ならそこまで気にするものでも無いだろう。
デメリットは当然ながら、こちらも逃げられなくなることだが……大したデメリットではないな。
レッドキーパーとの戦闘中に他の部屋からやってくるオレンジのランクの魔物に対応することの難しさを考えたら、本当にデメリットでも何でもない。
「気になるのは召喚や生成に対してポケットアリーナがどう働くかだが……」
『ブーン。召喚は防げるかもしれませんが、生成は厳しい気がします。起点が違いますから』
「ま、そうだろうな。で、この点については相手次第と言うある意味で当たり前の話か」
後、取り巻きを生成出来る能力を持った魔物が相手では、対策にならない可能性が高いと言うのは覚えておこう。
最悪、一方的に押し潰されるとかあり得そうだ。
「そろそろ次だな」
『ブン。分かりました』
では次。
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ミュルミドンバルカン
種別:パーツ
部位:武装
対応:物理-物理-外部-ダメージ
蟻人間が持つバルカン砲を模して造られた大型銃器。
装弾数144発。
圧倒的な装弾数、威力、連射速度を誇るが、それと引き換えに反動は極めて大きく、装弾のための燃料も大量に必要で、一度連射を終えると長い冷却期間を設ける必要がある。
使いこなすためには相応の技術と準備が必要になるだろう。
≪作成には同一のマテリアルが30個必要です≫
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「144……1グロスか。そんなに撃ってたのか、アレ。そりゃあ反動でシールドも削れるはずだ」
『ブン。しかも、その数の弾をたった20秒ほどで撃ち尽くいましたから。ちなみに現実のバルカン砲はこれの10倍以上の連射速度があります』
「ゲームに合わせた弱体化って事か。あれで……」
ミュルミドンバルカンはフロア9で大活躍したとも言える武装である。
そして、その性能はこちらが使っても変わらないようだ。
えーと、144発を20秒だから、1秒につき7.2発。
認識加速込みでもこれを捌くのは無理で、シールドで受けようとしてもあっという間に溶ける。
だから、俺が受ける側だとしたら、やはり逃げるしかないな。
『ブン。随分と弱体化されています。リロードの度に1分ほどの冷却期間も必要ですから』
「現実もこういう部分では負けてないと言えるのかもな」
『かもしれませんね』
で、フロア9で散々扱った身としてはフッセに売るのはいいとして、他のプレイヤーに売るのはどうかと少し思わなくもない。
俺みたいな素人が扱ってもとんでもない強さだったからな……PvPで相手が使ってきた時の事を考えると、せめて対抗策の一つくらいは思いついてから、余所へは売りたいところだ。
「次は……ミュルミドンレッグでいいか」
『ブン。どのパーツも大きくは変わりませんしね』
では次。
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ミュルミドンレッグ
種別:パーツ
部位:脚部
対応:火炎-魔術-内部-付与
蟻人間の脚部を模して造られたゴーレムの脚。
重厚な装甲と地面をしっかりと掴む力を併せ持ち、使用者に安定した戦いを提供する事だろう。
≪作成には同一のマテリアルが10個必要です≫
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「ミュルミドンのパーツはどれもしっかりとしていて、安定している感じだな」
『ブン。そうですね』
ミュルミドンのパーツは体については一通り揃っている。
で、ざっと見た限りでは、デザインはデイムビーに似ているが、デイムビーのよりも耐久性や出力に優れている感じだろうか。
代わりに機動力は若干落ちるようだが、プレビューを見た感じでは……脚についてはこっちの方が好みかもしれないな。
地面をしっかりと掴める分だけ、殴るのにもよさそうな気がする。
「後はこれか」
では次。
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アイビーワイヤー
種別:パーツ
部位:武装
対応:物理-物理-外部-移動
アイビー種そのものを模して造られた特殊な武装。
蔓のようなワイヤーは十分な強度を持つと同時に、接触物によく絡まり、滑らない。
使い道は多岐に渡るだろう。
≪作成には同一のマテリアルが10個必要です≫
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「シンプルだからこそ色々と使えるって感じだな」
『ブン。そうですね』
アイビーワイヤー。
これそのものは極々シンプルな長いワイヤーと言う感じで、パンプキンアームLを愛用している俺が使うかと言われたら怪しい。
が、ところどころにある葉っぱが鉤爪のようになって、色々なところに引っかかるようだし、使い勝手そのものは悪くなさそうである。
「さて、見るべきものはこれくらいだな。となれば次は坑道予測の確認。それからゴーレムの構成変更だな」
『ブーン。念入りですね』
「そりゃあな。ここまで来たら万全を期して挑む。それこそレッドキーパーだって倒すつもりぐらいには準備をするぞ」
『ブン。分かりました』
では、フロア10、第三坑道・アルメコウのラストフロアに挑むための準備をしていくとしよう。




