201:フロア9.5 琥珀とミスリル
「さて何を見ていくか……」
フロア9.5に着いた俺は、フロア7・8・9で得たマテリアルと設計図の中から気になるものだけを見ていく事にする。
確認を絞った理由は、即時利用可能でないものは今見ても仕方がないと言うのもあるし、フロア9のミュルミドンバルカンを奪ってからの暴れの結果として、大量のアント、ミュルミドン、アイビーの設計図が手元にあり、見切れないと言うのもある。
いやうん、本当に多い。
アントとミュルミドンに至っては、全身のパーツが一揃いあるぐらいだし。
まあ、武装、特殊弾、アドオンには欠けがありそうだが。
「まあまずはマテリアルからだな」
『ブン。分かりました』
それはそれとして確認をしていこう。
まずは琥珀・電撃とミスリル・電撃のマテリアル二つからだ。
△△△△△
琥珀・電撃
種別:マテリアル
分類:生物系
天然樹脂の化石。
と言うにはあまりにも強固である物質。
ゴーレムに用いた場合、軽量かつ強固な物体である上に、物理学的には説明のつかない運動性能の向上が見られる。
高温環境では溶解する可能性があるため、該当環境での運用には注意が必要。
電撃属性を有しており、攻撃に用いれば電撃による追加ダメージを与えられ、防御に用いれば電撃に対する防御を高める事が出来る。
▽▽▽▽▽
△△△△△
ミスリル・電撃
種別:マテリアル
分類:幻想系
魔法銀、あるいは精霊銀とも呼ばれる、現実には存在しないとされていた物質。
銀に似た輝きを有するが、鋼よりも堅く、軽い。
物理学的には説明がつかない力が秘められており、その力によって様々な性質を得ているようだ。
電撃属性を有しており、攻撃に用いれば電撃による追加ダメージを与えられ、防御に用いれば電撃に対する防御を高める事が出来る。
▽▽▽▽▽
「あー……思った以上に琥珀がヤバいな。ミスリルもヤバいが」
『ブン。どちらも優秀なマテリアルのようです。それで思った以上に、ですか?』
「ああ、高熱環境では使えないとあるが、それでもゴーレムの運動性能が上がると言うのは大きい。それでいて強度は鋼以上なんだから、俺みたいに相手の攻撃は基本的に避けるタイプにとっては最終装備候補の類になる……かもしれない」
『ブン。なるほど』
琥珀・電撃はどうやら思った以上に優秀なマテリアルだったようだ。
それにしても、なんで琥珀にこんな作用があるんだ?
分類が生物系なのは、元が樹脂であって、鉱物では無いからで済む話だが、能力の方の説明は付かないと思うんだが。
んー、パワーストーン関係の話か?
あるいはオカルト、ファンタジー、固形化した魄で固魄であり、琥珀である、とでも言うつもりか?
とりあえず数を増やして、全身をこれで構成してみたいという欲もあるな。
どれだけ運動性能が上がるか試してみたい。
『ところでミスリルへの感想は?』
「ねんがんの ミスリルを てにいれたぞ。と言うネタは出すが……まあ、ある意味一般的なミスリルって感じだな」
ミスリル・電撃は流石に現在発見され、報告されているマテリアルの最高峰だけあって、シンプルに優秀である。
しかし、シンプルに優秀であるからこそ、感想が出てこないタイプでもある。
「えーと、現状の数は……」
なお、それぞれの所有数は、琥珀・電撃が16個、ミスリル・電撃が6個となっている。
使うなら大切に使う事になるだろう。
ちなみに鋼は全身を優に作れるぐらいに貯まっている。
だいたいフロア9が原因だ。
「さて次は……とりあえずはアドオン『シールド増強』だな」
『ブン。こちらですね』
では次。
△△△△△
シールド増強
種別:アドオン
称号:頑強な
適用したゴーレムがシールドを得た時、得るシールドの量を+3%する。
≪作成には特定物質:緋炭石が100個必要です≫
▽▽▽▽▽
「うん、地味。常時確定で機能すると言ってもいいアドオンだから、困ったら付けていい奴だけど」
『ブン。シンプルで使い勝手がいいアドオンとも言えます』
アドオン『シールド増強』はイエロートロールから回収したアドオンだったか。
まあ、他に付けるアドオンがないなら、と言う奴だな。
シールドの有効性と展開時間を考えたら、常に効果を発揮しているようなものだし。
「他のアドオンや特殊弾にいいものは見られないし……だったら武装でいいか」
ではここからはパーツの設計図だな。
まずは……トリカブトヘッドでも見てみるか。
△△△△△
トリカブトヘッド
種別:パーツ
部位:頭部
対応:物理-生物-外部-DoT
トリカブトの花を模して造られたゴーレムの頭部。
独特の形状を有する花弁を模して造られた頭部は、フードのように顔を隠しつつも、視界を阻害しない。
だが、有毒性も模しているため、用いる際には注意が必要だろう。
≪作成には同一のマテリアルが10個必要です≫
▽▽▽▽▽
「これは……毒対策をしないと自殺になる奴だな? さては」
『ブブ。毒が相手を選ぶとは限りませんからね。そう考えておく方が無難でしょう』
トリカブトヘッドはぶっちゃけるとデザインは割と好みだ。
本当にフードを被ったような頭部になっていて、いい感じに視線を読み取られるのを防いでくれそうである。
問題は毒だが……化学原理なら先日手に入れたアドオン『化学DoT無効』で無効化できるが、生物原理だろうなぁ、たぶん。
残念ながらお蔵入りと言う奴になりそうだ。
「次はポケットアリーナだな。コイツは……ヤバいな」
『ブン。ヤバいですね』
では次、という事で俺が見たのはポケットアリーナの設計図。
そして、その内容を見て、俺は思わず呟いてしまった。
「ああ。これがあれば、第三坑道・アルメコウでもキーパーとの戦闘が出来る」
これは第三坑道・アルメコウ以降でキーパー戦をやりたい場合には必須となる武装である、と。




