表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Scarlet Coal』-殴り魔は自らの欲を満たす  作者: 栗木下
1:第一坑道・レンウハク
20/619

20:ハンネ

本日四話目です。

「さて、こうして会えた以上はとりあえずフレンド登録しておきましょうか」

「そうだな。フレンド登録はしておくか」

 友人……ハンネに会えた俺はとりあえずフレンド登録をお互いにした。

 これで今後のメッセージのやり取りと、やるかは分からないがパーティを組んで一緒に坑道を潜るというのが簡単になっただろう。


「で、トビィ。私の相棒はこのユキヒョウのヘールなんだけど、そっちは?」

「俺はスズメバチのティガだ。サイズを弄ってあるけどな」

「ユーヒョッヒョオウゥ。よろしくなー」

「ブン。よろしくお願いします」

 ハンネのサポートAIはデフォルメされたユキヒョウの姿を持つヘールらしい。

 なお、何故ヘールが笑っているのかを聞いたところ……。


「さあ? 気が付いたらこうなっていたわ。この感じだとサポートAIの性格はランダムの類じゃないかしら?」

「ランダムねぇ。ティガは俺の要望を色々と聞いてくれるんだが……完全ランダムではないんじゃないか?」

「かもしれないわね。その辺はまあ、後で検証班の方で調べておくわ。みんな一体ずつは連れているわけだし」

「ま、好きにしてくれ。俺はそこまで興味ない」

 気が付いたらか。

 俺の知るハンネは割と腹黒と言うか、ほくそ笑んでいるというか、そういう性質を有しているイメージがある。

 なので、ヘールが常に笑っているのは、そういうハンネの性質を暗に表しているんじゃないかと思わなくもない。

 が、口には出さないでおこう。

 腹黒だしな。

 検証班とやらについては……どのゲームにも一定数は居るものだから、そちらも気にしない。

 ハンネがその手のに参加するのもいつものことだしな。


「後は……俺が第一坑道・レンウハクを探索した時の話をすればいいのか?」

「そうね。それをお願い」

 俺はハンネに第一坑道・レンウハクを探索した時の話をしていく。

 特に重要なのは……殴った時の感触からして、壁の向こうに何もない事、雑魚の魔物も含めて内臓までしっかりと作られている事、菫キパの内臓が引っこ抜けたことだろうか。


「内臓引っこ抜き……え、そんな事出来たの?」

「出来たぞ。と言うより、そうしないと、菫キパは不意打ちか、毛が無いところにしか攻撃が通用しなかった」

「流石は殴り魔……あれ、正着は何かしらの武器を作って、不意打ち後は地道に。一回目じゃなくて二回目以降での討伐推奨。と言う感じでしょうし……後、可能なら火のような属性攻撃。ブレス後ならよく燃えたでしょ。アレ」

「油まみれだったからな。良く滑った」

 で、ハンネに一通り話したところ、内臓抜きに驚かれた。

 どうやらハンネは魔物が内臓までしっかりと作られている事に気づいていなかったらしい。

 なので、そこら辺多少詳しく詰めたところ、内臓は体の内側にある時は存在しているが、体の外には出てこない、としか言いようがない仕様になっているらしい。

 具体的に言えば、剣や槍などで切断すると、切断面は肉一色になってしまい、内臓は確認できないそうだ。

 グロ対策か何かだろうか。


「ふふっ、でも内臓なんてものに早速気づくなんて、流石はトビィね。誘った甲斐があるというものね」

「そうかい。喜んでもらえて何よりだ」

「あ、私の感想と言うか調査報告はメッセージで送っておくから、暇なら読んでみて。面白いわよ。このゲーム」

 ハンネがヘールと同じような表情をして笑っている。

 やっぱりそっくりじゃないか。

 口には出さないが。

 調査報告は……まあ、後でさっくり読んでおくか。


「それでトビィ。この後はどうするの? 決闘坑道・コロマスン?」

「お前もそれか。ティガにも言われたが、まだ行くには速い」

「じゃあ、第二坑道・ケンカラシ?」

「ああ。予定ではそのつもりだ。そっちは検証班への合流か?」

「ええ、そのつもりよ」

 さて、ハンネとのやり取りについては、今はこれぐらいでいいだろう。

 俺もハンネもまだスコ82を始めたばかりであり、知らないことばかりの上に装備も整っていない初心者だ。

 まずはそれぞれの力を高める必要がある事だろう。

 なので、俺もハンネも独自に行動することにする。


「ただ、ソロモードで潜ってもつまらないから、バーサスかカオスにはするかもな」

「そこでマルチにしない辺りが実にトビィよね」

「ゴーレムはまだ殴ってないからな。敵なら合法的に殴れる」

 バーサス、カオス、マルチと言うのは、坑道探索の別モードである。

 バーサスは自分以外にもう一人、誰か別のプレイヤーが同じ坑道に敵として現れ、倒せば相手が持っているマテリアルと緋炭石を奪い取れると同時に、相手の構成に含まれているパーツの設計図が得られるらしい。

 カオスはバーサスの多人数版で、最大八人まで同じ坑道に現れるらしく、バトルロイヤルに近い状態になるようだ。

 マルチは他プレイヤー三人まで、自分含めて計四人でパーティを組み、協力して坑道を探索するというものである。

 まあ、仲間には攻撃できないし、折角だから同好の士……サービス開始直後から奇襲有りの対人要素に踏み込んでくるような連中が集まっている可能性が高いモードを選んでみたいのだ。


「じゃ、お互いに頑張りましょうか」

「おう。お互いに楽しもうぜ」

 という訳で、俺はハンネと別れると、ラボに戻った。

明日からは一日一話12時更新の予定となっています。

今後もよろしくお願いします。


01/31誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 硬い生物型エネミーの倒し方のテンプレに尻子玉の抜き方が記された瞬間…… 尻子玉の抜き方のモーションデータ配ってくださいw
[一言] >ユーヒョッヒョオウゥ 凄い特徴的な鳴き方ですね。 >この感じだとサポートAIの性格はランダムの類じゃないかしら? サポートAIの性格リセマラが…… >後で検証班の方で調べておくわ …
[一言] 殴り魔って殴り魔法使いじゃなくて、切り裂き魔とか通り魔とかの親戚だったんだな(今更) あとコロマスンをコロスマンに絶対空目するマン(二敗)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ