181:坑道予測と悩み
本日は二話更新です。
こちらは二話目です。
「まあ、まずは予定通りだな。鋼・拒絶でナックルダスター、パンプキンアームL、エクステンドアイビーだ」
『ブン。分かりました』
俺はゴーレムの構成を弄り始める。
まずはナックルダスター、パンプキンアームL、エクステンドアイビーを構成するマテリアルを鋼・拒絶に変更。
これで念願と言ってもいい鋼製の武器を俺も手にしたことになるわけだ。
なお、これで鋼・拒絶の数は残り2個である。
「後は……フェアリーパウダーを鉄製で作っておくか」
『ブーン? フェアリーパウダーですか? ナマコノワタではなく』
続けてフェアリーパウダーを鉄製で作成。
グレネードホルダーの横に袋を吊り下げておく。
これで不安定ではあるが、バフによる強化を行えると共に、詰み一歩手前の状況でもワンチャンスはあることになるだろう。
「ナマコノワタはなぁ……作りたくはあるが、使い捨てである以上はまだ早いと思うんだよな」
『ブブ。もう少し詳しくお願いします』
「そうだなぁ……」
詰み状況の打開についてはナマコノワタも使える武装であるのは確かだ。
なにせワープ能力だからな、弱いはずがない。
だが、まだ早い。
「上手く説明出来ているかは微妙だが、この先の3フロア……フロア4・5・6でナマコノワタを利用しないと突破できないような状態なら、第三坑道・アルメコウ全体の突破は不可能。であれば、ナマコノワタは作成せず、必要となるような状況に陥ったら素直にイグジッターで脱出する。これでいいと思うんだよな」
『ブーン。であるから、今はまだ作らないと』
「そういう事だな。逆にフロア7以降なら、ナマコノワタは有効活用するつもりだ。特にフロア10はキーパーも居るはずだし、キーパーに見つかった時の対策としてほぼ必須なるだろうしな」
『ブン。分かりました。そういう事なら、作らないでいいと思います』
とまあ、こんなわけで、ナマコノワタはまだ作らないでおく。
作成に必要なマテリアルも決して軽いとは言えない武装でもあるしな。
では、特殊弾の補給と言う調整も完了したので、一度構成を確認しておこう。
△△△△△
トビィ
称号:『越禍のマレディクタス』
燃料:91/100
アドオン:広域攻撃耐性
アドオン:オートコレクター
頭部:デイムビーヘッド(鉄):魔力-魔術-境界-防御(特殊弾『シールド発生』鉄4、特殊弾『シールド発生』金1)
胴体:デイムビーボディ(鉄):電撃-生物-外部-DoT(特殊弾『神経過敏(痛覚)』1)
右腕:デイムビーアームR(鉄):侵食-化学-外部-特効
左腕:パンプキンアームL(鋼・拒絶):侵食-物理-内部-拘束(特殊弾『影縄縛り』3)
脚部:デイムビーレッグ(鉄):物理-化学-内部-強化
武装:ナックルダスター(鋼・拒絶):電撃-化学-外部-強化
武装:シャープネイル(鉄・侵食):氷結-魔術-境界-強化
武装:グレネードホルダー(鉄):侵食-化学-外部-遮蔽(特殊弾『煙幕発生』10)
武装:サーディンダート(肉):魔力-魔術-外部-拘束(特殊弾『睡眠』10)
武装:ヒールバンテージ(鉄):魔力-魔術-外部-回復(特殊弾『シールド回復』3)
武装:デイムビーウィング(鉄):電撃-化学-内部-移動
武装:イグジッター(鉄):時空-魔術-境界-脱出(特殊弾『緊急脱出弾』1)
武装:フェアリーパウダー(鉄):魔力-物理-外部-強化
武装:エクステンドアイビー-パンプキンアームL:侵食-物理-内部-拘束
武装:プラヌライの騎士武装『昴』(鉄・侵食250):(制限なし)-法則-異界-(制限なし)
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「よし、問題ないな。じゃ、改めて坑道予測も見ておくか」
『ブン。そうですね』
さて、ゴーレムの構成変更が無事に完了したところで、続けて坑道予測の確認だ。
「次の現地ラボはフロア6.5」
さきほどフロア4・5・6を抜けられなければ、と言う話をした通り、次の現地ラボまでは3フロア抜ける必要がある。
ちなみにフロア6.5の次の現地ラボはフロア9.5で、最深部直前の調整場所という事になる。
「出現する魔物は……明らかになっているのもあれば、???もあり、か。まあ、仕方がないな」
『ブン。まだまだ未知の魔物は多いですから』
出現する魔物の欄は半分くらいは???だ。
なお、次のフロア4に出現する魔物はラット、ゴブリン、???、???となっているので、???のどちらかが難敵枠になるのだろう。
そして、ラットとゴブリンが同時出現すると言う時点で、質よりも量と言うフロアになりそうであるし、パンプキンアームとグレネードの利用は大切になりそうだ。
「魔物の色は、フロア4は緑一色、フロア5が緑と黄緑、フロア6が黄緑一色だったな」
『ブン。その通りです。そして、ライムからは魔物が部屋の中で待たず、坑道内を徘徊するようになります』
出現する魔物の色は以前見た配信通りのはず。
そしてフロア5からはミスリルが出るとも聞いている。
「……」
『トビィ?』
んー、フロア5は飛ばした方が安全だと思っていたが……フロア4でグリーンのランクの魔物と戦闘し、手早く処理が出来るのなら、フロア5からミスリル探しをするのもありか?
こう言うのは試行回数を重ねてナンボと言う奴だしな。
坑道内での一時強化を重ねる意味でも、処理が出来るなら手だろう。
「いや、行ってみて、殴ってみてからだな。結論を出すにはまだ早い」
『ブン。そうですか』
なお、坑道の構造についての情報は珍しく開示されていて、氷結属性の坑道であり、谷や水辺類も無しと言う、実にシンプルな構造になっているようだ。
では、確認も終わったところで、実際に向かおう。
と言う訳で俺はエレベーターに乗って、フロア4へと降りていく。
「分かってはいたが……寒いな」
『ブン。ですが、そう感じるだけです。ゴーレムに並かつ物理的な冷たさは関係ありません』
そう、フロア4は全面が綺麗に切り揃えられ、磨き上げられ、飾り気が一切ない、全てが氷で出来た空間。
俺はゴーレムらしく口元から白い気体を出すことなく、少し滑る床へ降りた。