167:報酬ガチャ20連
「では早速、パーツからだな」
「ブン。そうですね」
俺は運営からの報酬の箱を開き、その中に入っていた10個のパーツの設計図がランダムに入っている端末を起動する。
そして早速、手に入れたパーツの名称が表示される。
≪設計図:ボクシンググローブを回収しました≫
≪設計図:カジキジャベリンを回収しました≫
≪設計図:ガントレットRを回収しました≫
≪設計図:トロールアームLを回収しました≫
≪設計図:エクステンドアイビーを回収しました≫
≪設計図:ケラアームRを回収しました≫
≪設計図:ショットガンを回収しました≫
≪設計図:スパロウボディを回収しました≫
≪設計図:オークレッグを回収しました≫
≪設計図:デイムビーウィングを回収しました≫
「んー……当たりは……あるのか?」
「詳細を見てみなければ分からないかと」
ランダム……ランダムではあるが、レコードボックスのように偏りは感じられるな。
でなければ名前からして格闘系であろう武装が……。
「ブブ。トビィ、ガントレットは武器ではなく防具の類かと」
「あ、はい」
ああうん、武器はボクシンググローブくらいか。
他のゲームだとガントレット填めて殴ることは時々あったから、素で間違えた。
それはそれとして、一つずつ見て行こう。
長くなりすぎるので、詳細は使えそうなものだけを後でまとめてだが。
「ボクシンググローブ。掴めないのが地味にな」
「トビィのこれまでを考えると確かに問題かもしれませんね」
そのボクシンググローブは……まあ、使えない。
殴るのは補助できるが、ボクシンググローブを填めていると掴むのに支障が出るのが地味にな、うん。
「カジキジャベリン。サーディンダートと同じネタ武器……でもないか」
「カジキの姿をした投槍のようです」
カジキジャベリン。
使えなくはないが……『昴』と言う強すぎるライバルが居るからな、使う機会はなさそうだ。
「ガントレットR。右手用の小手であって、それ以上でもそれ以下でもない、と」
「ブン。それはそうでしょう」
ガントレットRもそのままか。
「トロールアームL。熊と人間の中間みたいで、サイズも中々だな」
「ブン。そうですね」
トロールアームLは元が元だけに結構なパワーと耐久度がありそうだ。
パンプキンアームLが壊れた時のサブくらいには使えそうな気もする。
「エクステンドアイビー。これは……当たりっぽいか」
「パンプキンアームLを含む一部パーツを強化するためだけにある武装のようです」
エクステンドアイビーの見た目は蔓の塊。
フレーバーテキストによれば、パンプキンアームLのような蔓状の部位を持つパーツと同一のマテリアルで作成することによって、蔓の量をおおよそ二倍に増やす事が出来るようだ。
パンプキンアームLを常用している俺にとっては当たりのパーツと言えるだろう。
「ケラアームR。へぇ、壁を掘れるのか」
「ブン。ただ、破損の可能性もあるようですね」
ケラアームRはケラ種の土を掘るのに適した右腕を模した腕。
坑道の本来なら破壊不可能な壁を破壊し、ゴーレムが入れる空間を作る事が出来るようになるようだ。
が、壁を破壊した際に素材に関係なく一定確率で壊れるので、そこは注意が必要なようだ。
なお、この破損はシールドも無視して発生する。
「ショットガン。要らね」
「ブブ。フッセ、ネル、リツ、ハンネ。全員持っているでしょうし……流石に使い道がありませんね」
ショットガンはそのままなので使い道無し。
今回一番のハズレだろう。
「スパロウボディは……隠密に補正がかかるのか」
「使い道はありますね」
スパロウボディは小さめの胴体だが、後付けのカラーリングの影響を受けず、常に茶色と白と黒のカラーになる。
そして、魔物からは認識されづらくなるらしい。
これは……第三坑道・アルメコウの終盤で逃げる時に使う選択肢自体はありそうだな。
「オークレッグ。ハズレその2」
「ブブ。もう持っていますからね……」
オークレッグは被りなのでスルー。
「デイムビーウィング。これも当たりっぽいな」
「ブン。ただ、燃費は良くないでしょう」
デイムビーウィングの見た目はデイムビーの翅そのままだ。
が、中身としては起動中だけ重力異常の影響を免れ、任意の方向に向かって飛ぶ事が出来るスラスターである。
その性能はデイムビーレッグ以上であり、使い勝手次第だがケットシーテイルを外す事も出来るだろう。
よって、これは当たりでいいだろう。
「ま、全体的には当たりか」
「ブン。そうですね」
とりあえずエクステンドアイビー、デイムビーウィング、この二つは大当たり。
ケラアームR、トロールアームL、スパロウボディ、カジキジャベリンも当たりと言えるだろう。
よって、当たり六つで、半分以上当たりとなるので、これは大当たりと言えるだろう。
「さて次だな。特殊弾とアドオン……まとめて開けるか」
「ブン。分かりました」
では次は特殊弾とアドオンだな。
まとめて見てみよう。
≪設計図:特殊弾『火炎属性付与』を回収しました≫
≪設計図:特殊弾『毒』を回収しました≫
≪設計図:特殊弾『攻撃力低下』を回収しました≫
≪設計図:特殊弾『侵食弾』を回収しました≫
≪設計図:特殊弾『沼地作成』を回収しました≫
≪設計図:アドオン『静止時敵感知』を回収しました≫
≪設計図:アドオン『空中打撃強化』を回収しました≫
≪設計図:アドオン『投擲強化』を回収しました≫
≪設計図:アドオン『化学DoT無効』を回収しました≫
≪設計図:アドオン『パーツ破損直後攻撃強化』を回収しました≫
「特殊弾は……まあ、名称通りだな。対応するパーツがあれば、だな」
特殊弾については特に何もなし。
まあ、持っておいて損はないものなので、集めておこう。
「ブーン。アドオンはどうですか?」
「そうだなぁ」
アドオン『静止時敵感知』は移動をしていない間だけ、周囲の魔物の位置が分かるようだ。
その対象にはスパロウ種やカメレオン種のような魔物も含まれている。
が、肝心の分かる範囲が半径3メートルとなると……使い道は限られそうだ。
アドオン『空中打撃強化』は自分の体が坑道の壁、地面、天井のいずれにも触れていない時にだけ打撃による攻撃を強化するというもの。
ただの打撃強化よりも強化率は上だが……これもまた使い道は限られるな。
アドオン『投擲強化』は自分の体から離れた武装の本体が相手に当たった時のダメージを増やすと言うもので、サーディンダート、グレネードホルダー、『昴』などが対象になる。
なお、何故かは分からないが、自分の体から離れて1秒以上経過しないと、投擲判定にならないようだ。
いや本当になんでだ?
アドオン『化学DoT無効』は名称そのまま。
化学原理に基づくDoTを無効化できる。
具体的には酸、燃焼、毒の一部になるようで、使い勝手は悪くない方だろう。
アドオン『パーツ破損直後攻撃強化』は……問題児だな。
パーツが破損した直後に放った攻撃の威力を爆発的に上げられるようだが、条件があまりにも厳しすぎる。
いや、ケラアームRで壁掘りをして、それで壊れたら……とかのように、任意で自壊させられるならワンチャンあるか?
なんにせよ、専用構築必須の癖の強いアドオンなので、俺が使う事はなさそうだ。
「ま、どれも機会を見てだな」
「ブーン。そうですか」
とりあえずこれで一通り見はしたな。
使うかどうかは今後次第だ。
「じゃ、次はもう一つの報酬だな」
「ブン。そうですね」
俺は開発からの報酬を開ける。
入っていたのは……白紙の設計図一枚だけだった。