18 古の時代
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〝龍神〟ランドロス
古の時代、まだ人族が存在せぬ時代に〝龍神〝ランドロスは龍の王としてこの地に君臨していた。
この世界は5つの地形に分かれており、それぞれ異なった地形、環境のもと成り立っていた。
灼熱の火山からなら山岳地帯
果てしなく続く恵の宝庫大海
天をも貫く広大な宙天空
広く深く続く深淵の森大樹海
雷鳴轟く未開の境地新天地
その中の山岳地帯にランドロスは配下の龍と共に過ごしていた。
五つの世界を統べる王や支配者達はそれぞれ不可侵条約を結んでいて、一切の攻撃、侵略を許さないとされていた。
しかし、大樹海を支配する王堕蛇神だけは違った。
「なぜ俺だけ…なぜ俺だけこんな……」
激昂した、堕蛇神は不可侵条約を一方的に破棄し、新天地へ配下と共に進撃を開始するのだった
新天地の支配者たる雷麟天は基本的に温厚な性格で堕蛇神が侵攻してもあまり気にも留めていなかった。また雷麟天には配下という者がおらず、新天地は実質彼のみの聖域でもあった。
堕蛇神は何度も攻撃を仕掛けるが、雷麟天には全く届かない。
何故なら雷の如き速さで駆け巡る雷麟天には彼等の攻撃など止まって見えていたのだ。
そんな一方的な戦いが何年も続いた頃、龍神ランドロスはこれ以上は見て見ぬふりは出来ないと、配下を連れて新天地へと向かった。
しかしそこで目にした物は、堕蛇神と雷麟天との戦いで荒れ果てた地と、堕蛇神配下全ての骸が所狭しと転がっている光景であった。
「何という惨劇だ!」
依然として攻撃をやめない堕蛇神とそれを、交し続ける雷麟天。
決着など、つくはずもなかったのだ。
「もうやめろ! お前達! 周りを見てみろ!」
「うるさいぞ、誰だ俺の邪魔をする奴は」
「我だ龍神だ!」
「龍神だと!」
堕蛇神が一瞬龍神の方へ首を向ける。
「ふん! 何をしに来た!」
「お前達の戦いを止めに来た」
「止める、だと!?」
「雷麟天よ、お主も戦いを止めるのだ」
「ぼくは…っと、ぼくは最初から戦ってないんだけどね、堕蛇神が、しつこいんだもん」
「だと言っているぞ、堕蛇神よ」
「うるさいぞ、今更終われるわけがないだろうが、周りを見てみろ、我の配下は皆こいつにやられたんだぞ」
「人聞きの悪いこと言わないでよ! 君の配下は全部ここで発生してる雷撃でやられただけでぼくには関係ないよ」
長年の戦いで疲労した者達が雷撃の餌食となり生き絶えたのだと雷麟天は話す。
「堕蛇神よ、お前は我らが決めた不可侵条約を一方的に破棄したのだ、配下をなくしたお前には酷かもしれんが我もお前を止めねばならん」
「止めるのは良いけどさ龍神さん、ぼくを巻き込まないでくれる?」
「お前達、決して手を出すなよ」
「しかし龍神様!」
「頼むから我のいう事を聞いてくれ!」
「…はっ、畏まりました」
「ねぇ、ぼくの言葉無視しないでくれる! あと、君達早くここから出ていってもらえるかな!?」
「断る」
「この戦いが終わるまでは我も帰れぬ」
堕蛇神と龍神が返答する。
「ちっ! めんどくさ! なら仕方がないよね!」
雷麟天はこの地に他の生物が多くいる事が気に入らない性格でまた堕蛇神、龍神の言葉を聞きさらに苛立ちを隠せないでいた。
「おい! お前達良い加減しろよ、ぼくが下手に出ていれば、次から次へとこの地に足を踏み入れあまつさえ、ぼくの地をこんなにも荒らした! その報い受けてもらうからな」
そういうと、今まで鳴っていた雷鳴が静寂へと変わった、しかしそれは雷麟天の攻撃の序章だった。
彼を中心に雷鳴が鳴り響き2本の角に集まり出したのだ。
「くっ! 止めろ、雷麟天!」
「うるさい、龍神! お前が来たせいで余計この地が荒れたんじゃないか、その報いをお前の配下に味あわせてやる!」
「止めるんだ! お前達今すぐここから離れるんだ!」
ランドロスの声に、飛び立つ配下達、しかし。
「ぼくが逃すわけがないだろう!」
雷麟天の豪雷が雨の如く、ランドロスの配下目掛けて降り注いだ。
「止めろぉ〜!」
《バリバリバリ》物凄い轟音と共にまた雨の如く降り注いだ雷は龍神の配下達に当たる前に消失したのだ。
「どういう事だ……」
「龍神よ、間に合うたかのぉ〜!?」
「その声は亀甲神か?」
「左様、貴様らは本当に若いのぉ〜」
「なぜお前がここにいる?」
「な〜に、爺の気まぐれじゃよ」
『あの爺の出現は予想外だったが助かった!』
「あのさぁ爺さん、邪魔しないでくれないかな?」
「ほっほっほ〜、さぁ〜どうする雷麟天よどんだけ早く動こうと、どんだけ早い攻撃しようと、儂には効かんぞ!」
「ちっ! やめたやめた、その代わり早くここから出て行ってよね」
「ほっほっほ、そう言うておるがどうするのじゃ? 龍神、そして堕蛇神よ!」
亀甲神の登場により全ての攻撃が無に消されてしまう為、雷麟天、そして堕蛇堕でさえ、手も足も出なくなってしまったのだ。
〝亀甲神〟大海を統べる王にして生きとし生ける者全ての攻撃を無に消す事が出来る唯一の神である。
しかし、その反面攻撃面は全くの無力で攻撃をしても全くダメージを与えられないという。
「我は戦いを止めに来た身だ、戦いがないのなら戦う必要はもうない」
「堕蛇神よお主はどうなのじゃ?」
「ふん、爺! どうせ、攻撃しても全て無に消しちまうんだろうが?」
「ほっほっほ、無論じゃとも」
「はん! そんな意味もない攻撃するつもりはない!」
「ほっほっほ、決まりじゃの、ところで堕蛇神よ何故不可侵条約を破棄してまでこんなところへ来たのじゃ?」
「ふん、お前らにはわかるまい!」
「言うてみない事にはわからんじゃろ」
「…………かったんじゃ」
「「え?」」
龍神と雷麟天が同時に返答する。
「だから……うら…かったんじゃ………」
「「へえ??」」
また重なった。
「だから〜、羨ましかったんじゃ!!」
「「「うん?」」」
今度は亀甲神も含めて、頭に疑問が浮かんだ。
「どういう事だ?」
「龍神、お前は空も飛べるし足もある、好きな所にすぐに行けるよな?」
「まぁ確かにな」
「亀甲神! 爺はあの広大な大海を独り占めだ、しかもその防御力は異常だ!」
「独り占めでは無いのだかのぉ〜」
「雷麟天、貴様のその速さも脅威だしな!」
「ふん!」
「それにあいつは、来てないみたいだかなあんな高く飛べる。………以上だ!」
「…以上じゃねぇ〜よ。だから何なんだよ」
「だから言っただろうが、羨ましいんだよ!」
「………じゃ、なにか? お前は俺達のそういう所が羨ましくて、不可侵条約を破ってまでこんな戦いを?」
「ああ!! 悪いかよ!」
「堕蛇神よ、我もお前が思うほど完璧な者ではないぞ、亀甲神の様に泳げないしな、その逆に亀甲神は飛ぶ事が出来ない、しかも……」
「そうじゃ、鷲は泳げるが飛べん。それに守るのみで攻める事ができん」
「雷麟天は飛ぶ事を泳ぐ事も出来んしな」
「ぼくはそんなことしなくて良いんだよ」
「お主は少しくらいなら泳げるじゃろうが!?」
「まぁ…確かにそうだが……」
「で、どうするんだ?」
「ふん……もう、やめてやる」
こうして、堕蛇神の些細な理由から始まった世界を揺るがし世界の王、支配者をも巻き込んだ戦いは呆気なく終わったのだった。
この戦争以来、二度と彼等が衝突する事はなかった。
それは、彼等が個々の地にてひっそりと暮らしたからではなく、そうしたくともできない理由が、あったからであった。
そして、時は流れ〝龍神〟ランドロスがこの地へと解き放たれたのだ。
「ふむ、龍神ちゃん! どういう事かな!?」