表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/40

13 再び

連日多くの方に寄って頂き、また読んで頂けた方々本当にありがとうございます。


今後ともよろしくお願いいたします。

 楽しい夕食は瞬く間に終わり、早めにお風呂に入ることにした。

「ランちゃん」

「どうされたのじゃ?」

「今からお風呂に入るからおいで」

「お風呂? とは何なのです?」

「まぁ良いからおいで」

 私の家のお風呂はソフィーの家のとは違いだいぶ狭い。

 けれど、一緒に入るのが小さな龍神様なので、何の問題もない。

『それどころかランちゃんは「広いですな」と言っていた』

『そら、そうでしょうね』


「ランちゃん、ここにおいで」

 私の膝の上に来てもらい…、というか飛んでいたので捕まえた。

 そして、いっぱいの泡で洗った。

「うぎぁー、何をするのじゃ主人ぃ〜」

「お風呂に入ったら体を洗わないと」

「いやいや、我は召喚された眷属故、よごれぬ・・・」

「まぁ、そんな事は良い・か・ら」

「助けてぇ〜」

 

「…よし。終わったよ」

 びちょびちょになった龍神様…。

「うう〜、酷いのじゃ」

「まぁまぁ、そう言わずに」

 その後私も体を洗い何日ぶりかのお風呂に入った。

「ふぃ〜、生き返るわぁ〜。ランちゃんおいで〜」

 私は桶にお湯を入れその中にランちゃんを入れた。

「暖かいですじゃ」

「そうでしょう。これがお風呂だよ」

「明日も一緒に入ろうね」

「……あ、はい」

「なに? 私とは一緒にお風呂に入れないと言うの?」

「いえ、そんな事はないですよ。しかし、あの洗われるのは…」

「じゃあ、優しく洗ってあげるから一緒に入ろうね〜」

「お手柔らかに頼むのじゃ、主人〜」

「はいはい」


 入浴後しばらくして眠気が襲ってきた。

 昨日寝てないから当然だと思う。

「ごめん、ランちゃん」

「どうなさいましたか?」

「流石に眠くなってきたから今日はもう寝るね」

 ランちゃんは、ゆっくり休んでくださいと言ってくれた。

 ベッドに倒れ込む様に横になると、瞬く間に眠気が強く襲ってきて眠りについた。



〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜


『うん? 誰か・・いるの? あれ、は…。ロニオさん? もう一人は………。誰だろう…』

 ロニオさんに似た人が誰かと話しているのが朧げな(おぼろげな)がら見える。

『相手は誰だろう…。う〜ん、わからないな』

 その後どうなったのかは覚えていない、覚えていないどころか、徐々にさっきまで見ていた物まで薄れていく様に消えていくのがわかった。

『あれ、さっき何を見ていたんだっけ』

 徐々に意識が戻る感覚、朝が近づいているのだと確信する。

 それは同時にさっきのは夢だったのだと。

 夢を見たのは覚えている、けどどんな夢だったかまでは既に、私の頭には残っていなかった。


「うう〜、はぁ〜」

 よく寝たな、と考えながらゆっくりと目を開ける。


「え?」


 ここ最近何回も『え?』っという言葉を口にしていたが、今回の「え?」は飛び切り驚いた。


『え? え? どこ? てか……。』


「天井たかぁーーーーー!!」


 私が目を覚ました所はまたまた自分の家ではなかった。

「はぁっ!」

 思わず叫んでしまった事に恥ずかしくなる。

 飛び起き周りを見渡すと2度目の衝撃を受けた。


「ひーろっ!! 何ここ?」


 あきらかに私の家では考えられないくらい大きい部屋の、これまた私の想像を超える大きいベッドの上に私はいた。

 周りの家具も高級そうな物がズラリと揃っていた。

 天井にはこれまた豪華なシャンデリア……。

『ほへぇ〜、シャンデリアって本当に実在する物なのね』

『……あっ! そうだ、ランちゃん?』

『うう〜ん…あるじ〜……。』

「ダメだ、寝てるな」

 姿は見えないが、私の中にしっかりと感じる〝龍神様〟の存在。

『とりあえず、昨日の出来事は夢ではなかったみたいね』

「さて、次はどんな驚きが待っているのか、な!!」


《その時だった》なんて…。


[コンコンコン]ドアをノックする音が聞こえた。

『え? 誰?』

「は、はーい。……あっ、ヤバ、この格好…。まっ・・て…」

 そんな声も届く事なく、ドアは開かれた。

 そしてそこに立っていたのは。

「ソフィー!!」

「…マユミ。マユミ〜!!」

 入ってきたのはソフィーだった。

 入ってくるなり、私の元へ駆け寄り抱きついてきた。

「マユミ〜、良かった。マユミ〜、本当に良かったですわ」

「ソフィー、そんな大袈裟な…」

 ソフィーは、泣きながら私にしがみついたまま離れなかった。

[コンコンコン]またドアをノックする音がした。

「…はーい」

 次に入ってきたのは何と、アリエラ様だった。

「良かった、本当に良かったです」

『え? 何? どうしたの、皆んな??』

 入ってきたアリエラ様もまた涙ぐんでいて、私の元へゆっくり来てソフィーと共に抱き寄せてくれた。


『へえ? どゆこと?』


 どのくらい時間が経っただろうか、アリエラ様はすぐに落ち着かれていたが、ソフィーが落ち着くまで時間がかかった為、何も言わず私達を包んでくれていた。

 その後、ソフィーもようやく落ち着き、王女とは思えない程顔をぐちゃぐちゃにした顔で私を見る。

「マユミ、お体は大丈夫なのですか?」

「え? 体? からだ…は大丈夫だけど?」

「そうですか…」

「どうしたの? ソフィー」

「……どうしたの!? ではありませんわ、4日も目覚めなかったら誰だって心配もしますわよ!」


「…4日!? わたし、4日も寝てたの?」


「はい、そうですわ。あの晩休まれてから4日間眠り続けていましたのよ。あまりにも起きないから心配になって王宮内にある医療団に、診てもらっていたのよ。それでも原因がわからないから本当に心配しましたのよ」


「4日ですか…」


[コンコンコン]三度(みたび)ドアをノックする音がした。

 私の代わりにアリエラ様の侍女さんが返事をし、白衣を着た人が入ってきた。

『医者か何かかな』

「こちらは、この王宮医療団のリーダーをされている方です」

「あ、初めまして。この度はすいませんでした」

「いえ、私は何もしていません。むしろどこも悪い所がなかった為、どうにも出来なかったのが本音です」

「…おそらく、ただ寝ていただけだと思います」

「そうみたいですね。では、最後に診察だけさせて頂きますね」

 そういうと、簡単な診察をされた。

 こちらの世界の診察は体に手をかざし魔力を流して悪い所がないか診ていくというものらしい。

 後から聞いた話しだが、この世界で医者になれる人は聖属性魔法が使える者のみだそうだ。

 持っていない者が成れるのは助手までで、医者と助手では国内での評価、経済的にも、段違いだそうだ。


「はい、良いですよ。どこも問題ありません」

「良かったですわ」

 ホッとするソフィーを見ていると本当に心配されてたんだと実感する。

『あとで、ちゃんと説明しなきゃな』


[コンコンコン]四度目のノックがし、今度はすぐにドアが開かれた。

 そこには、豪華な衣装を着た中年の男性が立っていた。

 たくさんのお付きを連れて。

 その男性が現れるとソフィー、アリエラ様以外の人間は彼の方を見て膝をつき(こえべ)を垂れた。

『もしかして……』

「お父様」

「あなた」


『ですよねぇ〜!』


 ソフィーが〝お父さん〟と言い、アリエラ様が〝あなた〟と言う人物はこの世界で一人、国王様その人しか居ないのだ。

「あなた、マユミが今さっき目を覚ましました」

「その様だな、してどこか悪いところでもあったのか?」

「いえ、エルヴィン王。特に問題ございません」

「そうか、なら良かった。我が娘を助けてくれた恩人だ、くれぐれも丁重(ていちょう)にな」

「もちろんで御座います」

「マユミとやら!」

「あ、はい!」

「とりあえず、目が覚めて良かった。何か体調が悪くなったら言って欲しい」

「はい、ありがとうございます」

「それと、遅くなってしまったが娘を助けてくれてありがとう、感謝する」

 頭を下げる王に、皆が響めく(どよめく)

「お、おやめ下さい国王様。私は当たり前のことをしたまでに御座います」

「そうか、ソフィア良い友を見つけたな」

「はい、お父様。マユミは素晴らしい方ですわ」

「では、マユミ。ゆるりと過ごしてくれ」

「はい、重ね重ねありがとうございます」

 王様が出て行くと、部屋の緊張感も解かれるのがわかった。


 しかし、その直後また新たな緊張が走る事になる。

「ふあぁ〜。主人よ、何やら周りが騒々しいですが何かありましたかな」

『げ! 龍神様このタイミングはヤバいって!!』

 私の中から出てきた龍神様は向こうの世界よりも大きく、ゴールデンレトリーバー位の大きさだった。

「な、んで? そんなに大きいのよ!!」

「おそらくこの世界に充満する魔素量が関係しているのだと思いますぞ」

「また、難しい話を……」

「まぁこれ以上は小さくなれんようですな」

「はぁ〜」

 恐る恐る、周りを見ると……。


『ですよねぇ〜!!』


皆んなの口が半開きのまま硬直していたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ