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01 日常

「はぁ〜、帰ろう」

 その日仕事が終わったのは夜中の1時。

 何時間、いや何日ぶりかの呟き。

「うっ、流石にこれはヤバいかも」

 人は自分の体臭というのはあまり気づかないものなのだが……

 流石にわかるこの不快感。

「はぁ〜、女捨ててるわね」

 私、佐伯真由美25歳一応女。

 彼氏いない歴年齢、小中高と極々普通の学校に行き、極々普通の会社に就職したのだが、そこがあまりにも酷い世に言うブラック企業。

 ブラック企業にもいろいろあると思うが、私一応女よ。

 女の私に何日前に家を出たかわからない程、働かせるか!!?

 もちろん女の職員は他にもいる、男性ももちろんいる。

 しかしここは墓場ですか⁉︎と言わんがばかりの状況。

 もうね、みんなの目がヤバいの。

 あと、匂いがヤバい。

 もう慣れたけどさ、慣れたよ、慣れたけどさ‼︎

 変な臭いが蔓延してる。

 ある人は、半目でヘラヘラと笑いながらパソコン画面を見てるし。

 ある人は、常に足で床をコンコンコンコンしながら、「クソが、クソが」と呟いている。

 またある人は酒を飲み、泣きながら仕事してる。

 女性職員も、そこらの男と変わらない。

意識があるのかさえわからない程白目を剥きながら仕事をしてる人、服なんて意味をなしてないほど、はだけていて「うあぁ〜」と唸り頭をボリボリかいている人。

 まだ私は、マシな方かもね臭いだけで、と心の声が聞こえる。

 そして少し離れたところから聞こえる艶かし女性の声。

「また始まった」

 別にみんなが思うような事はしていない、ただただパソコンに食い入るようにその血走った目を向け仕事をしているだけだ。

 ただ、ある頂点を超えると快楽に変わるらしい。

 以前聞いてもいないのに、話してくれた事がある。

 そして……

「はぁ〜、はぁ〜」

 その女性を見る男が1人。

 こっちもか……

「うへぇ〜」ニヤニヤする男。

 ぶるっ!!「キモっ!! 早く帰ろう」


「うぅ〜、悲しすぎる。知ってる、知ってるわよ臭いことくらい。」

 家に着くなりそんな愚痴が勝手に出る。

「はぁ〜」今日何度目かのため息。

 わかっていたわかっていたがそんなにか。

 どうやって帰ったかって? タクシーですが何か?

 だって、電車なんて走ってないし、歩いて帰れる距離でも無いし、じゃあタクシーで帰るしか無いよね。

 タクシーに乗り込んですぐ「うぐ!!」

 あからさまに嫌な顔をされた、『はい、はい、ごめんなさいね』心の中で呟く。

「少し窓を開けますね」と言い、窓を全開にする運転手。

 もうね、髪ボサボサよ……何日もお風呂入ってないからサラサラでもないけどね。

「はっはっはぁ〜」もう呆れるしかない。

 お釣りはいらないからお金を払いそそくさと家の中へ。

 後ろで、ゲホゲホ言ってる運転手が居たが知ったことじゃない、原因は私だけど。

 そんなこんなで、愚痴も出たところで何日ぶりかのお風呂ならぬシャワーを浴びる。

 お風呂につかりたかったけど、この世からさよならしそうだったので諦めた。

「ふぅ〜気持ちいい〜」

 服もそこそこで、冷蔵庫から栄養ドリンクだけを持ちベッドへ雪崩れ込む。

 栄養ドリンクを飲むと直ぐに強い眠気が襲ってくる。

 私はそれに逆らうことなく、眠りについた。

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