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20/51

20 恐怖を緩和させて?


「うわぁーすごい!」


「人多いね……」


 ニ十分ほどエントランスで列に並び。


 ようやく遊園地内に入ることができた。


「なんかすごいですね! わくわくします!」


「だね。まずはどこに行く? マップここにあるけど」


「そうですね……まずは、定番の被り物を買いたいです!」


「なるほど。じゃああそこの店に入ろうか」


「はい!」


 すぐ近くにあった店に入る。


 ここも又、かなりの人で賑わっていた。


 人混みをかき分け、被り物コーナーに到着する。


「わぁぁ、いっぱいありますよ! 怜太さん!」


「だね。これは選ぶの結構迷いそうだな……」


「怜太さん怜太さん! これ、似合いますか?」


 沙希が猫耳の付いた、白い被り物を被る。


 そして猫の手を作り、ポージングを取った。



「にゃん♡」



「⁈」


 凄まじい破壊力。


 今すぐにでも写真に収めたいと、右手がうずく。


「ど、どうですか?」


「……す、すごく可愛いと思います」


「ふふっ。ありがとうございます。怜太さんって、照れてる時敬語になりますよね」


「えっそうなの⁈」


「気づいてなかったんですね。怜太さんって、やっぱりおちゃめな人です」


「そ、そうかも……」


「男の子ですけど、なんか可愛いですね」


「⁈ さ、沙希⁈ なんかテンションおかしくない⁈」


「ハイテンションですっ!」


 ふんす! と謎の言葉を発する沙希。


 ともかく、沙希が楽しそうなら何よりだ。


「怜太さんは……これなんかどうですか?」


「ちょっと被ってみるよ」


 沙希からネズミがモチーフになっている被り物を受け取る。


「あとこれも!」


「こ、これも?」


「はい! ぜひぜひ!」


「……わ、分かった」


 あと何故かサングラスも渡され、俺はすべてを身に纏った。


 くるりと沙希の方を向く。


「ど、どうかな?」


「す、すごくお似合いです! これで行きましょう!」


「いや、でもサングラ」


「これで行きましょう!」


「……わかったよ」


 というわけで、やけにハイテンションな沙希に勧められるがまま、被り物を装備した。


 一周回って少し楽しくなってきたことは、沙希には秘密だ。





    ▽





 その後。

 

 被り物プラスポップコーンを手に入れた俺たちは、アトラクションに乗ることにした。


 まさかの五十分待ち。

 

 待つことは得意ではないが、沙希のためなら我慢できる。


 それに、沙希と話していたら、あっという間だろう。


「楽しみですね、アトラクション」


「だね。沙希って、絶叫系とかイケるの?」


「うーん……あまり得意ではないですね」


「えっじゃあ大丈夫? これ、ここで二番目に怖いらしいけど」


「……へっ?」


 サーっと温度が引いていくのを感じる。


 さっきまで笑顔でポップコーンを食べていた沙希は、白い顔になった。


「……戻ろうか」


「い、いや! 大丈夫です!」


「で、でも」


「……怜太さんと一緒なので、たぶん大丈夫です」


 沙希が俺の服の袖をちょこんと掴んでくる。


「……そっか。怖かったら、いつでも言ってね」


「は、はい!」


 ……ほんとに大丈夫だろうか。


 少し心配だ。





「れ、怜太さぁん……」


「大丈夫だよ、沙希」


「で、でもぉ……」


 席に着いた俺と沙希。


 現在頂上に向かって、だんだんと上がっている最中だった。


 沙希が涙目で、俺のことを見てくる。


 どうやら本当に怖いらしい。



「……手、握ってもいいですか?」



「……うん、いいよ」


「ありがとうございます……」


 沙希の細くて柔らかい手が、俺の手に絡む。


 ひ弱な力だが、絶対に離したくないという意思を感じた。


「ひっ……!」


「お、落ちるッ!」


 俺からも強く握り返して、手を上げる。


 一瞬見える、遊園地の全貌。


 そしてすぐさま、浮遊感が襲ってきた。


「きゃぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁああああ‼」


 


にゃん

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― 新着の感想 ―
[一言] 作者の「にゃん」が破壊力抜群過ぎて思わずコメントしてしまいました。 もちろん、沙希ちゃんもかあええです。えぇなぁ。
[良い点] ふぁぁぁぁ が,語彙力がとけりゅゅう
[一言] 俺も一時期グレて、10円玉ネコババしてやったぜ
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