「第一話 目覚め」
俺は田村和人(三十一歳)。
世間一般的にいうとニートである。
昔から部屋に引きこもっていたがついに親に家を追い出されてしまった。
終わった。
これから行く当てもないし職もなければ金もなく。
当然友人と言える人もいない。
小学校から高校までの間家に帰ればずっとゲームをしているような人間で学校ではクソボッチ陰キャ野郎として教室の端っこで一人だというのがばれたくないがために顔を伏せて寝ているふりやバックをあさって忙しそうにしているふりをして生活をしていた。
きっとクラスのみんなは俺のことなんかどうでもよく気にもかけていなかった。
ちょくちょく俺の悪口が聞こえてはいたがいじめられはしなかった。
はあこれからどう生きていけばいいんだ。
神様もう一度子供の時から人生を歩ませてはくれないだろうか。
そう願った瞬間俺の意識は底のない暗闇へと消えていった。
(どこだここは?)
「おい!ガキ!起きろ!」
俺は誰かに怒鳴られているようだ。
って、俺を見てガキってどれだけオッサンなんだ?
「何ですか?というかここは?」
俺は気が付くと見ず知らずの森の湖の近くに倒れていた。
「お前なんでそんなところで寝てたんだ?」
声のする方を見るとそこには三十代半ばといった感じのガタイの良いコワモテ風の顔をしたおっさんがいた。
「すみませんがここってどこですか?」
「は?てめえ自分が何をしていたかもわからないのか?もしかしてお前ガキのくせして酒でも飲んで酔っ払っちまってんのか?知ってるか?ガキは酒を飲んじゃいけんないんだぞ。」
「知っとるわ!というかさっきからガキガキって。俺はガキじゃないしというか三十一歳だぞ!さけだってのんでもいいしというか俺がそんなにガキに見えるか!」
俺はその男にイラっとしてしまいかなりでかい声で叫んでしまった。
「お前その体で二十八歳って冗談にもほどがあるぞ。」
は?何言ってんだこのおっさんは。
俺は疑問に思い湖に顔を映してみた。
なんとそこには十歳ぐらいのガキの姿があったのだ。
「なんじゃこりゃあああ!!どうして俺がこんな子供の姿に身長もめっちゃ低いしめっちゃ顔幼いし。どうなってんだああ!!」
「何をさっきから騒いでんだ?」
「違うんですって!俺つい最近までこんな姿じゃなかったんですって。」
そうだあの時見た光!あの後俺は気を失って気が付くとここに!
「何なんだこいつ。ってあぶねえ!」
おっさんがそう叫ぶと一瞬で俺に駆け寄り俺を湖から離れさせるように後ろに投げ飛ばした。
「何しやがるおっさん!」
ギャオオオオオン!!
その瞬間湖からバカデカい竜みたいな魚が水しぶきを上げて現れたのだ。
「っち。おいガキ!あぶねえからもっと離れてな。」
どういう状況なんだ?
あんな怪物今まで見たことねえぞ。
「こんな時に出てくるとはな。おい怪物!俺が相手だ!」
ギュオオオン!!
あのおっさん何する気だ?
おっさんは腰に携えた剣を抜き怪物に向けて刃を構えた。
「炎の神よ!我が剣に力を!くらえ!火炎斬り!!!炎舞!!。」
本当に一瞬だった。
怪物はあのおっさんが放った一太刀で一瞬で真っ二つになり湖の中に沈んでいった。