第5話 鉄の馬
「ふう・・・
王を退いたとは言え、忙しいわい。」
ベルギリウス二世は、かつては王都と言われ、現在では州都と名を変えたアルティリアの領館・アルティア城の執務室で、緑茶を飲んだ。
机の上に置かれた、「強襲揚陸艦ファルティア」がいいアクセントになっている。
「さて・・・
婿殿から戴いた、DVDでも観て休憩するか・・・」
一息つこうとしたベルギリウス二世は、領館が騒がしくなったことに気付いた。
「何事だ!」
すると、州家老のバルディスが、報告を入れてくる。
「大変です!
隣国・ラビテリアが、襲撃を!」
「なんだと!?
ただちに、ファルティア領に連絡を入れよ!」
「ははッ!」
バルディスは、通信板を取り出す。
「ふ・・・
「鉄の馬」か。
報告では、どうやら「列車」に魔法砲台を搭載した兵器のようだな。」
ファルティアは、報告書を読んだ。
「では、「戦車隊」を投入するので?」
ティカが尋ねる。
「く・・・
くくく・・・
そんな無粋な兵器は使わんさ。
「馬」だろ?
先日、本星のファクトリア閣下が開発した兵器を投入すればいいさ。」
兎人の国・ラビテリアは、ファルティア連邦に新兵器「鉄の馬」を投入した。
「なんだ!?
以前とは違うぞ!?」
ラビテリア兵は、歩兵が持つ神波動銃と、神波動盾・・・
それに随伴する魔装騎士隊に、目を剥いていた。
だが・・・
「なんだアレは!?」
将軍が、仰天する。
「ファルティア軍、攻撃!」
騎馬隊である。
より正確に言うと、竜騎兵か。
しかし・・・
「全身金属だと~ッ!?」
そう。
ファルティアは、「本物」の「鉄の馬」を投入したのだ!
ファルティア:これが「鉄の馬」だ!