試練8
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「お強いですね。それに、うまくマナの制御ができるようになりましたね」
俺は、不思議とコツをつかみ、魔石を改めて杯へと変化させた。
「主様も喜ばれます。ここまでよく努力をしてまいりました。これは、手向けです」
[デウカリオンの瞳]神の子の瞳:光情報以外を見る。
ピュラの願い:【英雄光臨】魔導生物を作る。【隠し効果】
俺の失われた眼が、新たな眼に変わった。
久しぶりの光は、まぶしかった。
そして、目の前に美女が立っていた。
「貴方様、久しぶりの光は、刺激がお強いでしょう。少々慣らしてから、次の扉に向かいなさいな」
俺は言葉に甘えて、魔石を物質にかえる訓練をしながら、少しの間休憩をした。
――
次の扉を開くと、大きな書斎のような部屋であった。
「来たか」
その書斎の真ん中の机に、白髪の混じったナイスミドルが座っていた。
「お前は?」
「人の姿では、わからぬか。竜になったほうがいいか?」
男は、薄く笑った。
「いや、いい。俺をこのようにして、お前は後悔がないのか?」
「ないな、まだまだひよっこよ」
俺には自信が付いた。しかし、その言葉は嘘ではない。
瞬間、俺の目の前に男が移動し、強烈な正拳を顔めがけて打ってきた。
俺は、微動だにしなかった。なぜなら男から殺気がなかったのだ。
「ほう」
男は楽しそうであった。
「殺すつもりのない攻撃に、反応はできないな」
男は、高らかに笑った。
「ははは!弱き者よ。これよりどうするか?」
俺に迷いはなかった。
「魔王を倒す。お前の尻拭いは、俺がする」
「ふふふ。殊勝な心がけよ」
男は、ほほ笑んだ。
「それが終われば、お前の望みをかなえてやる」
「うむ。ゼノ、その日を待とう」
[ゼノの仮面]ペルソナ・α:能力を強化。使用中は膨大なマナを消費。
ペルソナ・β:感知した戦術、魔術の術式を再現。【隠し効果】
ただれた、顔面の皮膚が復活し、多少若返った。体の機能は、20代前半のそれとなった。
そして、空間にマナが満ちる。様々な【陣術】が展開された。覚えろとの事であろう。
そして、最後に俺の足元に大きな陣ができた。
「行け、そして必ずや戻ってまいれ!」
俺は、古竜に一礼した。