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試練6


――


 次の扉の先は、先ほどより狭く、その者は、部屋の真ん中でたたずんでいた。


「よく来ましたね」


 美しく透き通った声が響く。


「ここは?」


「わたくしの工房ですわ」


「工房?」


 女性はゆっくりした口調になる。


「説明するより、貴方に感じていただきたいことがございますわ」


 彼女は、そう言って、何やらマナの塊を取り出した。そして、そのマナの塊が、繊細の糸のようなものに、ほぐされて、新たに形を象った。


 そこには、マナを大量に含んだ小刀があった。


「見えないから感じるのでしょ?マナを紡ぐ。貴方様の魔術を至高へと高め、主様の良き敵とならんことを……」


 マナの塊が、俺の目の前にいくつも出現した。


「糸をほぐし、球体をお作りください」


「球体?」


 俺は、彼女に言われるがままに、球体をイメージした。しかし、マナの塊は、ほぐれることが無く、逆に不安定になり、その形状を歪ませた。


 そして、ある程度歪むと、それは崩壊し、俺はその爆発に巻き込まれた。


 凄まじい轟音により、プラーナの壁は破壊され、俺は体の大部分を爆発により、失った。マナを枯渇させてしまうほどの、急速な消費が起こり、体の大部分が再生された。


 本来、欠損した部位は、もとには戻らないが、腕などはすでにアイテム化していることから、どうやら回復するようだった。


「どうですか?でも貴方様ならできますよ」


 俺は焦りながら、女性のほうを向いた。


「かなり危険じゃないか!」


「マナの結晶。魔石は、様々な特性を持っています。特に、この金の魔石は、金属を生成することにたけている代わりに、繊細なマナの伝達が必要になります。だから、魔術の勉学には、欠かせないものになりますわ」


 どうやら、魔術の訓練の一環のようだ。


「しかし、爆発するとは……」


「ええ、マナは繊細ですわ。そして、常に形質変化を起こしております。魔石という殻の中で、流れるそれを、繊細な密度で再構築するのです。魔石の外側が、石材や鉄のように硬いことを考えれば、物質として安定化させることが、可能である証拠。ただ、それは常人では、難しいだけです」


 俺は、今一度、魔石に向かった。


 硬化した外側が、徐々にほぐれるイメージを、頭の中で構成した。見えない分だけ、マナの動きには敏感である。徐々に、ほぐれて糸のように連なっているのは、分かった。


 硬化した外側を丁寧に、分離させ緑の光の糸のようにほぐすことに、成功した。


 しかし、中側は、まるで水のように、流動しており、一気に変わった性質を、とらえることができなくなり、俺は折角(せっかく)安定していた、その光の糸が、こんがらがり、マナの暴走とともに、再び爆発した。


――


 長い間眠っていた。


 回復に、十分時間を使わなければならない。


 身体の修復と魔石変化のためのマナを蓄えつつ、俺は再び目を覚ました。

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