ゴブリン討伐2
狙いは正確。草むらを貫通しての【狐火】であったが、威力は十分焼殺させるほどあり、ゴブリンは燃え、周囲のゴブリンにも延焼した。
ゴブリンたちはいきなりの襲撃に、驚きを隠せないでいる。
「ギーギー」
彼らの断末魔が再び響きわたる。
俺の[雷玉]の効果が、前衛のゴブリンを襲ったのだ。
彼らは、バラバラになり始めた。
煙火の【狐火】は、俺の指示通り、一体一体確実に焼殺していく。
そして、10体ほど倒したところで、風向きが変わった。
彼らが、一斉の俺たちに突撃してきたのだ。そして、そのゴブリンたちは、何やら得体のしれないものを担いでいた。
「煙火、伏せろ!」
煙火の【狐火】が着弾したタイミングで、そのゴブリンは、強烈な轟音とともに、大気を震わせ、爆発したのだ。
彼らの担いでいるものは、樽であり、そこには火薬が詰まっているようだ。
煙火は、爆風で大きくノックバックしてしまった。
俺は、足を踏ん張らせて態勢を固定している。
「奴ら、自爆で村を焼くつもりだ!」
そこから、延焼により、次々にゴブリンたちは爆発した。
まもなく、轟音により、若い衆が駆けつけてくる。
そして、30体のゴブリンはすべて討伐された。
――
その夜、俺は煙火の家族と食事を共にした。
煙火の家族は、両親亡き後に、叔父が引き取ったらしく、叔父夫婦とその子供と食事をとる。煙火は、少し緊張しながら、俺を家に案内してくれ、俺も含めて6人で食事をした。
「煙火がいつもお世話になっております」
叔父が申し訳なさそうに挨拶してくる。
「煙火は、いつもゼノさんのお話しばかりなんですよ」
叔母は、嬉しそうに話している。
「うるさいな。おばさん、今はいいだろ」
煙火は、照れている。
「煙火ちゃんは、恥ずかしがり屋さんなのです」
煙火と同い年のいとこである冬鶏が、ほくほくした顔で喜んでいた。
「ゼノさん。こちらも食べてください」
煙火の年上のいとこの蝶鶏が、にこやかに俺にご飯を進めてくる。
今日の食事は、混ぜご飯であった。キノコのそれは、塩気の効いた黒い液体の『醤油』というもので味付けられており、やはり米の甘みとマッチする。キノコも栄養価が高い、独特の風味を米にしみこませている。
魚の塩焼きは、串にささり、囲炉裏で焼かれ、皮の焦げが、パリっとよい音をかなでる。中のホクホク感は、まさに極上で、身はパサパサしない程度に、口の中で崩れる柔らかさである。
俺はその味を堪能しながら、煙火が感じのいい親戚に引き取られたことを知ることができ、非常にうれしく思った。




