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ゴブリン討伐

――


 ゴブリンの襲撃により、若い衆が2名死亡したことが明らかになり、次の日は村全体が喪に服していた。


 犠牲もあったが、大量のゴブリンを討伐することができ、襲撃の頻度が減るだろうと期待された。


 夜はすぐに訪れ、多くの若い衆は、仲間の死もあり、今夜は闘いを望んでいない。


 俺は、普段と変わらずに、職務を全うしている。


「お前も今日は休んでいろ」


 俺は、隣で歩く煙火に話しかけた。


「いいや。皆が休んでるからこそ、おいらが警戒を代わりにやらないと」


 俺は、隣にいる少年にはわからないように、ほくそ笑んだ。


「まったく……。気を抜くなよ」


 煙火は笑った。


「へへ、おいらは気を抜かないぜ。それより、兄貴のほうこそ気をつけろよ」


 俺は、うんざりしながら。


「兄貴ってのは、やめろ」


 煙火は、それを気にしない。


「兄貴は、兄貴だ」


 俺は、このやり取りが数回行われていることに気が付き、訂正するのをあきらめた。


 煙火は、俺のことを憧れのまなざしで見てくる。俺よりも素の能力は高いといっても、それは変わらなかった。少しこそばゆい感じがした。


 俺は、誇らしさを隠して、警戒に当たった。


 そして、数分が立つころだろうか。俺は、周りの空気の異様さに気が付いた。


「煙火、警戒を強めろ」


 煙火は、一瞬不思議な顔をしたが、俺の言葉に従った。


 そして、程なく、その勘は的中した。


 俺は熱感知に視線を切り替えて、前方を確認する。なんと、子供ぐらいの背丈の熱源が、30体以上隠れていた。


「前方にゴブリンがいる……」


 煙火は、驚きを隠せないでいた。


「昨日、あんなに倒したのに……」


 ゴブリンの特性として、旺盛な繁殖力がある。この村の付近にある巣は、どれだけの大きさがあるのだろうか?


「あの木の左下を狙って【狐火】をうて」


 煙火は、俺の指示通り、魔術を発動させた。

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