小さな英雄3
煙火の強みは、その正確なコントロール力だ。
煙火の攻撃は、相手を違わず、着弾し、延焼する。
そして、煙火はこの戦にの中で、延焼もうまく使うように、狙う順番を調節していた。戦闘のセンスは、高い。
そして、前面のゴブリンを掃討しつくしたところで、煙火は少し前にでた。
俺は、その行動について予測していなかったので、少し焦ったが、煙火の思うようにさせようと考えた。
「兄貴!おいらは、おいらの強さを手に入れた。おいらは、兄貴に見てほしかったんだ。おいらが強くなったところを!【狐憑き】!」
煙火の周りに大きな炎柱が4本出現して、煙火に向かい収束し、大きな柱となる。
普通なら、骨も残らない位の火力であろう。
そして、柱は徐々に細くなり、そこには、紅玉属性の狐型のオーラを纏った煙火が現れた。
「行くぞゴブリン!」
初速からかなり早い爆発力で、ゴブリンの祈祷師に迫る。そして、煙火は、それに拳でストレートを叩きこむ。
炎を纏ったそのストレートは、祈祷師の顔面をつぶし、炎の塊が、その後方まで火の波が広がる。部隊長にその火の波にぶつかり、火傷状態になる。ただでさえ、半分くらいプラーナが削れているが、後2割ほどまでしか残っていない。
2本のしっぽのようなオーラを振り回し、側面の奇術師を焼き散らした。
そして、隊長格のゴブリンに向かい攻撃を加える。
「これで、最後だ!【狐拳】!」
しっぽも使い1度に3連撃を4回繰り返し、最後には、大型のゴブリンは、炭化した姿になり、体を崩した。
俺は、この煙火の成長を喜びつつ、煙火が取りこぼしたゴブリンたちに対して[枝]を放ち、駆除していた。
煙火は、【狐憑き】を解いた瞬間に、力なく倒れこんでしまった。どうやら、プラーナを多く消耗したらしい。
身体能力を上げつつ、普段生えていない尻尾にも意識を送り、攻撃の手段としていた。紅玉属性をいくら強化していたからといっても、あの強さである。今の俺が勝負しても、手数で圧倒されて、まけるだろう。
「よくやった」
俺は、討伐により得たマナで、自己修復を急がせてから、彼をおぶって村に帰還した。




