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小さな英雄2


 俺は、自分以外の成長に、自分が関われたことに高い達成感を感じた。


 そして、俺は煙火のもとへ辿り着いた瞬間に、足と背中を射抜かれた。


「ぐふっ!」


 煙火は、俺に駆け寄った。


「くっ!くそ!」


 煙火は、吠えた。


「大丈夫だ!それよりこれを使え!」


 俺は、煙火に腕輪を渡した。


「これは?」


 煙火は驚いた。俺は身振りで、腕輪をはめるように伝える。


「小僧。いや、煙火。そいつが、お前の新たな力だ。道具に溺れるな。しかし、人の進化において道具は、一番の友だった。そして、お前の壁にそいつは梯子をかける。そこから見える世界から、お前が何を思うのか。これが終わったら聞かせてくれ」


 煙火は、決して猪突猛進(ちょとつもうしん)ではない。利口でもあった。俺の言葉から、ともに生き残ろうとしている事を読み取った。


 腕輪が煙火のマナを吸い赤く燃え上がる。


「【狐火】!」


 煙火の掌から、直径50cmほどの炎の塊が直線に発射される。


 迫っていたゴブリンは、一瞬驚きの表情となるも、着弾と同時に、マナとプラーナの壁がはじけて、燃え盛った。更に、燃え盛った炎は、隣接するゴブリンにも延焼し、マナの壁を消し飛ばし、プラーナの壁を削る。紅玉属性の効果である火傷状態にした。


 突然の魔術に、ゴブリンたちはひるんだ。


 そのひるみを見つつ。俺は、マナによる自己修復と、[枝]により、火傷状態のゴブリンの始末に移る。


「こ、これは!」


 煙火は、自分の力に驚いた。今までと同じように打った。腕輪の力は劇的に、煙火の魔術を力強く後押しした。


「道具に溺れるな。しかし、道具を侮るな。そして、そのアイテムを使いこなし、高めるのは、お前のここだ」


 俺は、自己修復も、そこそこに立ち上がり、煙火の心臓の部分を親指でさした。


「おいらの気持……」


「行くぞ!今の俺とお前なら、倒せぬものなどいない!」


 煙火は、強くうなずいた。


 俺は、左手を天に掲げる。


 【鳳凰陣】


 紅玉属性の効果を倍増させ、水玉属性の効果を半減させる。


 煙火の【狐火】は更に火力を増し、延焼範囲も増加したことにより、ゴブリンをかなりのスピードで掃討(そうとう)できるようになる。


 戦士職以外の上級職を中心に、俺は[枝]を放ち、煙火へのバッドステータスをつけられないようにする。

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