ゴブリンスレイヤーに愛をこめて7
俺は、[枝]を使い奇襲をかける。ゴブリンのプラーナの壁を破壊した。不意打ちを受けて、クリティカルヒットしたようだ。
俺は、すぐさま[雷玉]を【使用】し、部隊の先頭にいるゴブリンに攻撃を加える。
轟音を伴う2線が走り、ゴブリンは焼死した。
数10回と激闘を繰り返し、数を3割ほど削ったところで、俺はプラーナの壁を8割ほど消耗していた。
「数が多い!このままでは押し切られるぞ」
俺は自分自身を鼓舞するように、言い聞かせた。
まだ、部隊の頭は叩けていない。攻撃用アイテムの大半を消費して、残りも半数以下になってしまった。
そうこうしているうちに、俺はゴブリンどもに囲まれてしまった。
「まっ!まずい!」
それぞれの攻撃は大きな脅威ではない。しかし、数が俺の力を上回っている。全体攻撃系のアイテムを持っていれば、全く違ったのだろうが……。
ゴブリンの弓兵が、俺にちくちくとダメージを与えつつ、死を覚悟で前衛が、3方から攻めてくる。
死を覚悟した兵士ほど、厄介なものはいない。
「たく!バランスの良い部隊だな」
戦士、弓兵、魔術師、奇術師、祈祷師。攻防そして補助が優れている。
俺は、なるべく大きな音を立てて、仲間を集めているつもりではいるが、村の若者もそれぞれの戦闘で、手一杯なのだろう。
俺は、電子情報に『眼』を切り替えているが、先読みも数が多いと効果が薄い。ただ
慣れていないということもあるが……。
前面のゴブリンを、腕で刺殺し、背後を[枝]で串刺しにする。背面は、アイテムを使用して、止めるが、隙は当然できる。
「もう少し、[枝]が強ければな」
アイテムの限界を迎えるタイミングで、俺は後悔した。
武器スキルの成長の仕方などわからないし、今が限界なのかもしれない。
そして、ついに俺は部隊の隊長であろう大型のゴブリン(最初はトロルかと思っていた)に、[雷仁玉]を【使用】して、アイテムを切らした。
さすがの隊長格だけある。
マナの壁がはがれプラーナの壁も5割ほど削れたが、まだ砕くことができない。黄玉属性の効果で、麻痺状態に陥ってくれたのが、唯一の救いである。
「くそっ!やれないか!」
俺は、引き続き腕で刺突をしながら、前面のゴブリンを刺殺したところで、側面からの攻撃をよけることができずに、ついにプラーナの壁が後1割にまで落ち込んだ。
「くっ!」
俺は、死を覚悟した。
たく、古龍よ。悪い、約束守れそうにないな……。
しかし、俺は眼をつぶることなく、最後まで戦い続ける。




