ゴブリンスレイヤーに愛をこめて4
大人たちは、大人たちの都合がある。しかし、子供は、子供の都合がある。俺は、少し考えた。
「この村にアイテム屋はいるか?」
「あ、アイテム屋ですか?雑貨屋に少々のアイテムはございますが……」
「明日、案内してくれ」
村長は了承した。今夜は、2部隊が殲滅したこともあり、あれ以来ゴブリンの襲撃は無かった。そして、村の若者たちは、ゴブリン討伐の計画を立てていた。俺は、それには参加しないで、眠りについた。
――
「ここが雑貨屋か……」
藁の家であった。中には、老婆がいた。街のあの店とは違うな。
俺は、老婆にアイテムを見せてもらった。
[雷玉]と[雷仁玉]を補充し、[鳳凰の腕輪][鳳凰玉]という現地特産の魔道具を中型魔石と交換した。結構な出費に相当する。
[鳳凰の腕輪]:紅玉属性の効果増加50%
:紅玉属性のマナ消費量20%削減【隠し効果】
[鳳凰玉] :紅玉属性の攻撃。攻撃力(中)
:紅玉属性の攻撃範囲拡大(中)【隠し効果】
雑貨屋から出ると、俺は部屋にこもった。その日は夜間もゴブリンは出ない可能性が高いとのことで、無給にし、暇をもらった。
そして、部屋の中で、俺は右手に[鳳凰の腕輪]を持ち、左手に[鳳凰玉]を持った。
俺は、手持ちの魔石をすべて自分の目の前に散らばるように置いた。
そして、俺は右手に意識を集中した。
鳳凰の腕輪は、紅い鉱石により作られており、真ん中に魔石があしらわれている。
続いて、左手の鳳凰玉と魔石に集中をうつした。
玉は、溶けてなくなり、鳳凰の腕輪は、さらに赤みを増した。そして、魔石の周囲に黒い文様が刻まれ始めた。それに伴い、目の前に散らばっている魔石が、一つまた一つと消えていく。
文様が完成し、魔石の中身まで禍々しく文様が迫り、鉱石が真っ赤に染まり、その腕輪に一線の黒い線が引かれ、文様と最後につながった。黒の線の周りに金の線が加わり、ぐるぐると回転しながらヘビのように、金のとぐろを巻く。
そして、俺は息も絶え絶えになりながら、その腕輪を右腕からはなした。完全にマナの枯渇により、意識を失った。
そして、夜が明ける。村人の予想通り、今夜の襲撃は無かった。