ゴブリンスレイヤーに愛をこめて3
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「ギーギー、ギ、ギー!」
ゴブリンだ。熱源で確認したところ10体はいる。そして、遠くからもゴブリンの襲来の警告が伝えられた。俺は、15体いる旨をもらった発煙筒で伝える。
「小僧、見ていろ。これが闘いだ」
俺は、瞬時にゴブリンの小隊の隊長格と思われる、鉄兜を被った中型に迫り、変形させた右腕を突き出した。プラーナの障壁は破壊することができなかったが、その攻撃で3割は削ることができた。
「ぐがっ!」
ゴブリンはノックバックした。
そして、[雷玉]を【使用】
副官であろう多くの装飾品を身に着けているゴブリンを対象に、雷を加えた。
轟音とともに雷線が2つ走り、副官の半身を黒こげに焼いた。
そして、俺はとどめの刺突により、副官は脳漿をぶちまけて絶命した。
多くのゴブリンが、この事態に動揺している。
隊長格は、冷静であった。
「ぐおおおおぉぉぉおぉ!」
集団の冷静を促した。ゴブリンたちの同様は、すぐに治まり、それぞれ抜刀した。
俺は、そのタイミグで[雷仁玉]を隊長格に対して【使用】した。
先ほどとは比べものにならないほどの雷鳴が、大地を震わした。
2線のそれは、1線目で隊長格の半身を焼きはらい。2線目で炭化するほどの炎を構成した。効果にはないが、たまたま周りのゴブリンも巻き込み、部隊は再び混乱した。
頭を失った集団など、羊の群れに等しかった。
次々に[枝]と刺突、[雷玉]を使いつつ、15体のゴブリンを殲滅した。
副官から中型の魔石、その他からも小型の魔石を入手した。そして、弓やナイフ、胸当てなどを戦利品として入手した。
「これが闘いだ。小僧、今のままでは死ぬぞ」
煙火は黙ってしまった。
「いくぞ」
俺は、煙火の腕を強引に引っ張り村に連れて帰った。
――
「いや~助かりました。これは、お礼です」
俺は1日目の報酬を受け取った。
「俺たちは、まとまってやっと追い払ったのに、あんたは一人で15体か。いや~街の冒険者は強いな」
俺は、身を清めてから、米を再びもらって食っている。
食料は貴重らしく、俺以外は少量しか食べていない。
「先ほど、煙火という少年にあった」
村長は申し訳なさそうな顔をした。
「ああ、またあの悪ガキですか。あとでこっぴどく言っておきます」
「いや、それはいい。あの小僧も難儀なことだ」
「ええ、家族を殺されてます。父親も戦士でして、数年前に死んでます。村の子供の中では、強いのですが、実践はまだ無理でしょう」
「賢明な判断だな」
「ええ、かわいそうな子ですが、我々は守らなければならない」
村長たち大人は、子供たちの身を案じている。しかし、子供にはその気持ちは、自分たちが大人になって経験を積まなければ芽生えないものである。