鳳凰族との出会い6
喜びの連投!
――
冒険者の館は、ざわついた。
正確には、冒険者の館の裏手にある、戦利品の査定所での出来事である。
上半身裸の男が、セイバーラガーの首を5体担ぎ上げて現れたからだ。
今だかつてないことである。一人の冒険者が、セイバーラガーを5体も討伐してきたのだ。通常、様々な職業を5体用意して、はじめて対等に戦えるレベルなのだ。
「き、金貨5枚になります」
世界の通貨は、魔石と貨幣になる。金貨は小型の魔石500個に相当する。
「いただこう」
俺は、金貨を受け取ると、ランクアップだどうのという説明を無視して、冒険者の館をでた。
当然、『花鳥風月』に向かっている。
ただ、俺は途中で気づく。
俺は、裸体だ。
俺は、服屋に寄ることにした。
「いらっしゃい。あらかわいい子」
鳳凰族にも、こんな奴がいるんだな。キラキラしているが、青髭のおかまだ。
そう、おっさんだ。
俺はおっさんラバーではない。女が好きだ。女が好きなんだぁあぁああ!
男は、俺の体をべたべた触りながら、朱色を主体とした上着に、黒い帯、濃く黒みがかった藍色の袴、黒の小手、青の羽織を選んで、強引に購入させた。そこそこな値段であった。金貨4枚が消えた。
[四龍装具]:【物理耐性(中)】【魔術耐性(中)】【戦術効果増加(中)】【魔術効果増加(中)】
【耐久自動修復】
:【龍脈】討伐のたびにマナ回復(小)【隠し効果】
効果は折り紙付きだった。
俺は、しぶしぶ残りの金貨1枚を握りしめて、『花鳥風月』についた。
「いらっしゃい。お兄さん似合ってるじゃない」
店主は、少し笑って見せた。
「ああ」
俺は少し照れ臭かった。
女の艶やかさとはすばらしいと感じた。俺は、おっさんラバーではないことを改めて感じた。
早速、棚に並んでいるアイテムの数々を吟味することにした。
[雷玉]:対象に黄玉属性の雷撃を与える。攻撃力(小)
:雷撃を2度与える【隠し効果】
[雷人玉]:対象に黄玉属性の雷撃を与える。攻撃力(中)
:雷撃を2度与える【隠し効果】
[雷仁玉]:対象に黄玉属性の雷撃を与える。攻撃力(大)
:雷撃を2度与える【隠し効果】
俺は、さっそく黄玉属性セットを10個づつ買った。
「お兄さん。買い方が独特だね」
店主は、少し笑いながら、アイテムを分けて梱包してくれた。
「アイテム士は、ある意味万能職だからな。まあ、世間的には中々理解されないのだが……。冒険に遊び心を入れることができる。今回は黄玉属性で、少し暴れてこようかな」
「ふふふ。遊び心のある男は素敵よ」
店主は、ウインクして、包装されたアイテムを、渡してきた。わざわざ肌と肌が触れるように……。
俺、ドキリとなった。
俺は、そそくさと店を出ることにした。
ああ、また寄ろう。




