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鳳凰族との出会い4

――


 翌朝、俺は冒険者ギルドに向かった。


 冒険者カードはあるが、今それがどういう状態なのか知りたかったからだ。


「いらっしゃい!」


 受付の女の子は、ガテン系のサバサバ女子。冒険者のほとんどは、荒くれものだから、どの種族でも、どの土地でもこんなものだ。


 俺は、カードを渡して、今現在のランクなどを確かめる。


「随分古いカードですね。うちでも古参しか持ってませんね」


 俺は驚いた。


「そんなばかな。最近俺は更新したばかりだぞ」


「?」


 受付嬢は首を傾げた。


「最近?これ50年前のカードですよ?パーティーメンバーもすでに高齢とのことで、解約されていますね。ああ、それにあなた死亡登録かかってますよ」


「えっ?」


 俺は呆然した。


「アンデッドの登録は、ご遠慮してるんですけどね。ただ、たまにこういうケースもあるので、今回は見逃しますけどね。では、更新の手続きに移行します」


 俺は言われるがままに、受付嬢の指示に従った。


 今のカードは、スキャンが便利だとのこと、魔導技術の発達による賜物らしい。俺は、一昔前の人間になった気分だ。いや、事実俺は、穴倉にこもっているうちに、時代から取り残されてしまったようだ。


 更新手続きは、首筋にコードを彫る形で一瞬のうちに終わった。痛みもない。


「アイテム士なんて、かなり昔の初級職じゃないですか。これはこれでレトロ感半端ないですね。今じゃ、その過程は飛ばして魔術師や奇術師とかになれますからね。スキルを覚えたいときは、錬金術師になればいいのですが、あまり冒険者ギルドで獲得している人は見たことがないですね」


 馬鹿にしているわけではないが、非常に稀有なものを見る目である。


「そうなのか。おじさん、参ったな」


 俺は乾いた笑いを作る。


「私はレトロなもの好きですよ。今だに魔導洗濯機買わずに、手洗いしてますから。[混合洗濯板]っていうアイテムですが、かわいいですよ」


 [混合洗濯板]は、それこそ俺が冒険者になったころは、かなり重宝されていたアイテムだった。見た目洗濯板なのだが、洗いと乾燥ができる優れものだった。冒険の中では野宿もあったので、その時に大活躍だった。


 かわいいという表現は独特だが……。


「そうかい。また寄るよ。ああ、このクエストだけ受けてくかな?」


 俺は、手ごろそうなクエストを選択した。セイバーラガーの討伐だ。


「わかりました。では、パーティー候補を選びますか?」


「いやいい。この土地は初めてだからね。俺には知り合いもいないし」


「え!セイバーラガーですよ!」


 セイバーラガーは、確かに中級以上のクエストに登場する魔物だ。パーティーを組んで討伐するケースも多いが、勇者メンバーは、単騎で勝利することができる。俺は、試練の賜物で、そのレベルには達していると自己判断した。


「そうだね。じゃあ。君が付いてきてくれるかい?」


 受付嬢は、眉毛を上げて見せた。


「おじさま。冗談はそこまでにしてください!」


 はっきりものを言う女の子だ。まあこれくらいではないと受付嬢は務まらないし、この子は、かなり温和なほうであろう。


「そうか、残念だ。まあ、心配しないでくれ」


 俺は、そう言って、また何か言おうとしている彼女の言葉をさえぎって、建物の外にでた。


「さて、東か……」


 俺はスタスタと歩き始めた。

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