鳳凰族との出会い3
店内は、そこまで大きくはなく、店先はコモンアイテムになり、奥に進むほどレアリティが増していく。
店主は、店の奥におり、何やら刺繍をしているようだ。
若い美女。赤みの入った黒髪で、羽根は金と緑と赤がそれぞれバランスよく生えている。眼はやや吊り上がっており、細目。鼻筋が通っており、顔の整い方は今まで見たことがないくらい綺麗だ。
細身の体に、ちょうどいいサイズの胸が谷間を形成している。肩が出そうな着こなしであり、より胸の間にエロスを感じる。香のいい香りがした。
女は刺繍を続けつつ、目線を俺に向けた。
「いらっしゃい」
鈴の音が鳴ったような高く通る声。
俺は、会釈だけし、女も気になったが、ひとまず魔王を倒す為の土台を築くことにした。
[仙人蕩]:自己回復(小)
:戦術効果増加(小)【隠し効果】
[鬼心丸] :能力増加(中)。効果終了後、能力低下(中)
:効果1ランク増加。【隠し効果】
この2つのアイテムを購入することにした。店主までの道にある商品を見ていたら、持ち運び用のストレージボックスが売られていた。
そのアイテムをじっくり見ていたところ。
「兄さん、それいいでしょ?」
店主が声をかけてきた。
「ああ、素晴らしいアイテムだ。まあ、少し俺の予算には合わないがな」
「そうでしょ。兄さんお目が高いね。まあ、まけないけどね」
彼女は存外話しやすい娘のようだ。舌をペロリと出して笑っている。
俺は、眉を上げて見せてから、魔石を渡して、アイテムを受け取った。
柔らかな手で包むように、アイテムを渡されるので、変に意識してしまう。それに、いい匂い。
「兄さんはこの街にどれくらい滞在するの?」
俺は、自分でも考えていなかった質問をされ、少々戸惑った。
「しばらくいるよ。また来る」
俺はそう言って、背中を向けて店を出た。
「まいど。待ってるよ」
俺は、ここにはこれから随分用ができるなと思いながら、帰路に就いた。自然と足取りは軽く、残った魔石で、屋台でコカトリスの唐揚げと霊酒を購入して帰った。
中はホクホクで、肉汁をたっぷり閉じ込めた唐揚げが、サクりと大きな音を奏でる。毒性の魔物の肉であり、やや毒による舌への麻痺がおこる。ピリピリと来るそれは、刺激的で脂っこい揚げ物とあう。
今夜の霊酒は、その名の通り、浮遊するのではないかと思うくらい、よい塩梅で酔いが回る。やはり、外の世界はいいな。この世界は、誰のものでもない。朝起きて懸命に自分の役割を全うして、夜うまい飯を食って寝る。そんな庶民が豊かに生きることができる世界にしなければならない。
俺は、気持のいい状態で、布団へと潜りこんだ。




