別離
「絶対に会いに行くから」
「連絡するね」
別れ際に君と交わした言葉は決して嘘ではない。
けれど、明日から始まる新しい生活の中で。
互いに知り合いも友人も新しくできて、今よりもずっと忙しい日々を送っているはずで。
だから、僕も君も今のままではいられなくて。
自由にできる時間なんて、そんなに無いのかもしれなくて。
そして何より、僕も君も面倒くさがりで、筆まめな人ではないから。
そもそも、密に連絡を取り合っているかさえ、わからなくて…
でも、それでも。
僕はずっと君と繋がっていたいと思う。
これから先、何かあった時。
例えば、結婚したり、子供ができたり。
そんな時は式にだって来て欲しいし、家族ぐるみでだって会いたい。
例え遠く離れていても、数年に一度でいい。
顔を合わせたい。
実現するのは難しいだろうし、僕のこんなわがままで君を縛りたくもないから。
僕は少し冗談っぽく君に言うんだ。
君と疎遠になりたくたいなぁ、って。
君がこの言葉をどう捉えるかはわからないけど。
君も、僕と同じように思ってくれると信じてる。
遠い遠い未来の話。
でも、いつかは必ずやってくる未来の話。
二人で温泉にでも浸かりながら、数十年前の青春時代に思いを馳せて、談笑できたなら。
どんなに幸せだろうか。
君の乗った電車を見送った後の、誰もいないホームで。
ふと、そんな事を思った。