引渡し完了!
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引渡し完了したので、そのままフォールドさんとギルドの中にある喫茶スペースぽいところに移動。
テーブルと椅子があるだけ。
魔法騎士団はまだだけど、任せていいそうなのでそのままお願いすることに。
冒険者の知り合いはいないのでなんだか新鮮。
そりゃこの世界にも冒険者はいるよね。
「あ、改めまして、イロハです。で、弟のレイとライです。」
「ご丁寧に。弟さん達は魔法使いではないのだね。」
あ、ローブじゃないからそう判断したのかな?
魔法使いの冒険者は少ないから目立つのだとか。
見た目もローブでわかりやすかったし、ゴーレムを当たり前に使えるのは魔法使いだよと笑われた。斬新な使い方だね、と。斬新……なつもりはなかったけど。
魔法使いは、いない訳ではないが、彼等は別の国にいることが多いらしい。
魔法使いが過ごしやすいからね、あそこは。ということだが、どういうことなのか…
「あの国、ソルセルリーは魔力が多いんだよ」
ソルセルリー…が、国の名前で、フランス語だなとツインズが呟く。
魔法使いといえばイギリスのイメージだけども、英語だと魔法はマジックか。
イギリスだったっけ?幽霊にも住民票が出る国って。
あとはロンドンの駅は今や有名なあの映画の聖地だね。
どんどん豪華になってるとか?潤ったんだろうな、色々。
「魔力が多い、ていうことは、魔法が使いやすいってことになるんですか?」
「そうだね、本来魔力は自分の中に容量があって、増やすものなんだけども」
たしかに?
エヌさんに増やしたいなら使い切って回復しろって言われたから、自分の中の魔力しか使えないと思ってたけど、そういう訳でもないのかな…?
「魔法使いの素質はバッチリ、けど肝心の魔力は普通かちょっと多いくらい、増やすのも限界がある…ということはまぁあることなんだ。となると、外部から魔力を補填するんだよ。そんな必要のない人はソルセルリー以外で生活したり、旅をしたりって感じだから、少ないんだよね。」
「へぇ〜…どうやって補填するんですか?」
「これだね」
手のひらには握り込めるくらいのくすんだ灰色の石。
そこら辺に落ちてるよと言われても、あ?そうなの?ていいたくなるくらいのもの。
見ててね、と言われじっとその石を見つめてると、ゆっくり色が変わっていく。
灰色から白っぽく…。
『おお〜』
「こうやって、外部魔力を集めていれて満タンにすると透明になるんだよ。」
はい、と渡されたそれは、近くで見ても今はただの石。ちょっと白色。
ふーむ?魔力回復のポーションあるなと確認してから、何度か握って開いてをして、手のひらに魔力を集めてみる。
あぁでもこれは自分の魔力だな。
機織り機の要領でなんとかなりそう。
外部の魔力はよくわからない。エヌさんに教えてもらったらわかるかな…。
そもそも何となくモヤモヤとしたものがわかるだけで、見るにはどうすれば?
コンタクトみたいに魔力で視力強化とか?
『え?』
「ん?あ、透明になったー!」
うんうん考えてる間に白っぽかった石は綺麗な透明になってた!どんな原理!?
熱とかで色の変わる素材は知ってるけど、不思議〜!
「え!?透明!?早くない!?」
「自分の魔力を入れてみました」
「え、ええ〜すごい魔力量だね…結構入るんだけど、これ」
返した魔石をまじまじと見つめるフォールドさん。
そして先ほどまで何も無かった気がした頭部にピコピコ動く耳……!!
やっぱり猫かな……?あ、引っ込んだ。収納可能……
しかし、半分くらい魔力持ってかれてるなぁ…?
いろいろと作ったりなんだりしてるから増えてたのか、魔力。
「そもそも、どうやって外部の魔力を入れるのかが分からないんですけども…」
「勝手に集まるんだよ。自然に吸収するから、魔力が多いところだとそれが早いんだよね。だから、こういう魔石を集めてるんだ。まぁさっきみたいに魔力を入れることもできるけど、魔力が足りないから持ってるわけだしね。」
「どこで手に入れるんですか?」
「ダンジョンだね!ソルセルリーにあるダンジョンには、これをドロップするやつがいる。あとは売られてるけど、高いから…冒険者は頑張ってダンジョンに行くんだよ。小さいものは容量も少ないけど、初心者はそれで大丈夫だからね。」
ダンジョンがあるのか!
ツインズもそわっと反応してる。
近いうちにソルセルリー行けたらいいなぁ。楽しそう!
その前に、エヌさんに魔力の見方を教えてもらおう。
やりたいこと、行きたい場所が順調に増えてて楽しさしかない!
頑張ってお金貯めなきゃ!