仕込みの量よ
仕込みの量よ
急に起こるワールドクエスト。
掲示板をすぐさま確認してくれたツインズによると、仕掛けがあったのでは?と。
発動条件が揃った場合のみ発生する仕組みになっていたので、たまたま今日この時間。
「あ、動画あんじゃん」
そこには、大量のモンスター引き連れて走ってるパーティ。
楽しそうだな?顔笑ってるし。
かと思ったら、後ろのお正月モンスター達が急に合体していき……
『おぉー……』
どこの戦隊モノのロボットかな?という感じに変身。
餅とかしめ縄とかだけど……
あ、武器持ってる。……いや、ちがうな?餅?餅が鞭のように伸びて…わぁべたべたしてる~。
「やっかいそうだね~」
『あの餅にひっついたら動きが鈍くなるな』
「焼いちゃえばいいのかな?」
「あ~…魔法使いの人いなさそうだし、試してみるか」
じゃあ向かいましょうか~と扉に足を向けた瞬間、バーンと戸が開いて誰かが入ってきた。
「イロハ、さっきの善哉の準備しておけ、大量に。これ材料」
「あ、はい」
「バフかからないように作れよ」
「あ、あぁ、はい」
ずいっとエヌさんから渡された大量の小豆が入っただろう袋を受け取って…?
エヌさんの後ろにも同じように袋を抱えた…魔法騎士団が…?
どんどん私の横に袋を積んでいくねぇ…?
「…わたし和菓子屋さんになったのかな?餅屋?」
『仕事でもこんな量仕込まねぇよ』
とりあえずローブに小豆袋をせっせと収納。
ツインズのバンダナにも収納されていく。
何にせよ早いとこ小豆洗ったりはせねばなるまいよ?と生産部屋に。
いやまぁバフなしでってことは、魔法のオーブンに材料ドーン、スイッチポチーなんだけど、なんとなく洗いたいよね。
生産部屋借りる時に、お代は既に頂いておりますっていい笑顔で言われたけど…
魔法騎士団の元団長、わたしの師匠はかなりの甘党で、この善哉に余程の衝撃を受けたらしい。
和菓子好きかぁ…薬爺も好きそうだったしなぁ…
「おぉ、ここの部屋じゃったか」
ひょこっと現れた薬爺は、ほれ追加じゃとニコニコしながら蜂蜜を大量に置いていった…。
そしてアルファさんとベータさんまで現れて、はい入れ物よと。
「いやまじで和菓子屋さんの女将かな?」
大きめのボウルに洗ったあずきと水と蜂蜜を入れて、魔法のオーブンにイン!
からの、魔力を流すとー?
「てってれー」
『便利すぎる』
そのボウルの中に完成した美味しそうな炊いた小豆…炊いてないけど…
それをアルファさんとベータさんが持ってきた大きめのバットにうつす。
を、繰り返す。
「これさーあ?水分量変えたらあんこのかたさ変わるよね?」
『たぶんな』
「ちょっとしっかり目のやつ作るからさ、あんぱん作らない?」
『任せろ』
本音を言うと、あんバターフランスパン食べたい。
と、呟いたらバター見つけたらすぐ作ろうという話になった。
乳製品あるからね、絶対どっかにあるんだよ。
意識して探してないからわからないだけでね。
あんぱん用のあんこを作って、再び善哉用のちょっとゆるめのあんこを量産。
バットといってもちょっと深めだし、重ねられるから1番いい形。
ボウルは重ねられないし、鍋は邪魔だしね…。
時間があればこし餡とかさ…?
個人的には白あんが好きだからそういうの作りたいよね〜。
どうやら大量の小豆を消費してる間にワールドクエストは終わったようで、アナウンスが流れてる。
今回は不参加になっちゃったな〜…いや?ある意味参加してるのか…いまのこの状況。
大量の小豆袋を消費し終わり、ツインズによるパン生地も完成したのであんこを包んで再びオーブンに。
まぁそのあんぱんの量よ。
『悪い…』
「気持ちは分かる」
大量に無心で仕込んでた流れで感覚がバグったので、これまたすごい量のパン生地があってだな…?
自分たちも食べるしこれは包もう!!!!と。
せっせと包んで天板に並べて魔力流して焼いたヤツを片っ端から冷ましながら次々また包んで…
「餃子包みより難しい…」
『餃子食いてぇ』
「正月らしからぬ料理だがあり。皮買えば作れるよ?」
『ログアウトしたら買いに行こ』
で、パンも無事に焼き終わりローブに収納。
え?しっかり味見したよ?3人で分けて。
美味いに決まってるじゃん?
グラノーラバーももちろん携帯食として最高だけど、気づいたのよ。
調理パンって、いいよねって…。