クリスマス
うーん……ホワイトクリスマスに程遠い現実
寒さはすごい
いや今年の寒さってつらい
例年こんなもんだっけ??てなりながら、11月まで暖かい日が多いなー?からの極寒って気分だから寒さが身に染みる。染みすぎる。
子どもの頃はクリスマスって、ワクワクドキドキしてたなぁー。
今もイルミネーションとかクリスマスのプレゼントとかが並んでるのを見るとテンションは上がるよね。
なんかあのキラキラした感じ。
そして寒空の下、ケーキやチキンを売る人々。
お疲れ様です。風邪ひかないでね。
ちゃんと着込んでね。暖かい靴下とかタイツとかレギンスとか着るんだよ?って、思っちゃう。
そして結構薄着ってかその薄い上着で大丈夫?うそ足出てるよ!?っていう子どもたちね。
年がら年中半袖半ズボンのやついたな〜。
もう冬休みなのかな?
宿題とか真っ先に終わらせるか後からするかコツコツタイプかで別れてたよね。
わたしは宿題の範囲が判明した瞬間から取り掛かってさっさと終わらせてしまう人。
学習習慣としては全く意味のなさないタイプ。
一応ね、書き初めとかは年始にしてたけどね。
ツインズも一気に終わらすタイプだったな〜、確か。
なんか終わってないって気分が楽しく遊べないのよね。
「ただいまー」
『おかえりメリクリイブ』
「あ、メリクリイブ」
こんな寒い日は!鍋!!
が、クリスマス仕様でした。実はこれも毎年。
今年は大根おろしアートで、鍋のど真ん中に大根おろしでできたクリスマスツリー。
そして雪だるま。
これに火をつけたらみぞれ鍋になるやつね。おいしいよね。
去年はざく切りキャベツが真ん中に三角錐の形に盛ってて、周りを豚バラで巻かれてたのよ。
それもまたいい感じにツリーに見えるんだからすごいよね。
「今年は大根おろしアートだねー」
「楽しかったよ」
「おろすのすげぇ疲れたけど」
大根おろしを絞って使うから沢山いるんだよね、確か。
まぁね、大根は消化にもいいから。
沢山食べよう。
そしてDWのクリスマスがあるのか確認しにいこ!
『おぉ〜……さっむ』
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そう寒い。だって雪がすごい!!
雪が!!積もってる!!
雪国かな!?
あまりもの寒さにギルドにとりあえず避難。
するとアールさん含めみんなさむさむと震えてる。
「こんにちは、寒いですねー」
「あぁ、イロハさん」
「毎年こんな感じなんですか?」
「いいえ、初めてなんですこんなに積もったのが……」
わお。
とりあえず一旦師匠のところに行こうかな。
ギルドの扉前はは雪かきされた形跡があるんだけど、師匠と薬爺のところがわからないからね。
ツインズも引き連れて進むけど、ちょっと急ぎめ。
なんてったってわたし達も寒い。
「うわ扉前半分埋まってるやん」
『やべぇ』
「え、スコップとかないけど…あ!わたしは閃いたぞ!?」
「姉の閃」
出来るはず。いやできて欲しい。じゃなきゃ雪かきコースだ。それもスコップ作るところからだよ。土魔法で。
でもその要領を雪とか氷に当てはめるわけですよ。
「ててーん!雪ゴーレム!!」
まんま雪だるま。
著作権の兼ね合いでありのままの雪だるまはやめておいたわ。
怒られるからね。ははは。
「あー、なるほど?」
「雪かきしてもらう?」
「あ、そうなるのか」
じゃあ頼みまーすと声をかけたら、ずもももと雪の中に消えていった。
うそやろ……?雪と一体化しに行ったのかな??
「……ん?」
『お?』
『おー!』
扉前の雪が動いたと思ったら……大きめの雪ゴーレムと小さめの雪ゴーレムができました。わお。
元々50センチくらいのサイズだったんだけどな?
でも扉前の雪はなくなったわ。すご。
「エヌさーん?」
「あ?イロハか。扉前どうし……た、って、それか。なるほど。」
わたしとツインズ、そして雪ゴーレムが並んでたので瞬時に理解した模様。
よし、と手のひらをぎゅっと握って……
「あ、ツバメ」
「魔法騎士団に飛ばす」
そうだ、手紙みたいなやつ。
できる限り雪ゴーレム作って雪かき協力してもらえと言われたので、了承。
ポンポンと雪ゴーレムを作って解き放つ。
もうね、さぁゆくがよい!!みたいなノリ。
あと……
「双子、」
『うっす』
「……この金であったかいものを作れる材料を買ってきてくれ、こんなに寒くては街のみんなも凍えてしまう。量はできる限り大量に。」
「それは……」
『炊き出しっすね、行ってきます』
「あとで手伝うねー!」
さ、別行動いきますよー。
きっとツインズのことだからっていうか、炊き出しと言えば豚汁だと思うのよ。
街を歩きながら雪ゴーレム作って、アルファさんとベータさんのとこに。
師匠も一緒です。
「いるか?」
「おぉー寒いだろ、入んな。お嬢ちゃんも久しぶりだね」
「はい、なかなか来れずすみません」
「気にしなさんな、噂はよく耳に届くさ、まぁ今も……不思議なことしてるねぇ」
ここら辺はあんま雪ないな?と思ったけど、金属を溶かすために熔炉があるからか。
ただ小さい雪ゴーレムはつくって屋根の上とかに投げ飛ばしておくと雪を上手くおろしてくれるからね。
「で?エヌの要件は?」
「街のみんなに暖かいものを配りたい。そのために必要なものを伝えに来た、イロハが」
「……わたしかい!」
いやまぁわかるけどね?
ツインズに一応汁物だよね?って確認したからね。
単純な鍋ならすぐ作れるらしい。すごいね。
寸胴鍋を2つ……いや、3つ?
とりあえず頼んで、そもそもよ。
味噌は??
え、わたし豚汁と思い込んでたけど、みそ。
ツインズにも味噌は??て聞いたわ。
ないからポトフのつもりだけど?て言われたわ。
大豆見つけたけど魔法のオーブンで成功するとも言えないからなぁ……。
なんかてっきり豚汁と思い込んでた。
危ないわ。
まぁポトフなら塩だけでも全然美味しいしね。
お肉あれば良いだしでるからなぁ。
でっかい鍋は本当に嘘やん??て言いたくなるレベルで素早く完成して師匠のローブに吸い込まれていったわ。
すごー。
「どこでします?」
「そうだな、…広場で、だな。」
雪ゴーレムを作って適当に撒き散らしてるけど……
たまに勘違いして壊されてるっぽいな?
それもすぐ周りに止められてるのか続くこともなさそう。
そして見てしまった。
雪ゴーレムが屋根の雪とかを雪だるまにしてそっと広場に置いているのを……。
これ、雪像祭りできるやつ。
……え、なんか雪像つくるべき?
「あー、さむさむさむ。とりあえずここに…窯作るか。」
イメージ土間。終わったら崩せばいいと思えば土魔法の便利さたるや。
魔法って素晴らしい……。
大きい鍋を置くと想定したサイズでどーん。
ちゃんと空気の流れを想定してあるのでね!
火魔法で着火して、鍋に水魔法で水を入れ沸かします。
そこに戻ってきたツインズと分担して材料を切る。キル。斬る。ん?
「にんじーん、じゃがいもー、たまねぎー」
「きゃべつー、ブロッコリー」
「そしてこれ、豚バラブロック!!」
はい、最高。美味いに決まってる。
あーでもそしたらそのうちベーコンとか作りたいなー。
絶対美味いもんね。
それを鍋に入れて塩で味付け。
あとやってみたかった事をしようじゃないか。
「あ、それ」
「ふっふっふー」
「石焼き芋すんの?」
そう。ここの赤子か?てサイズの芋を入れると考えて土魔法で作った入れ物に、これまた土魔法で作った小石をじゃらじゃら。
そしてそれを抱きかかえる火によって極限まで熱くなったゴーレム。
絵面よ。赤子抱いてる聖母か?てぐらいの眼差ししてるように感じるけど、それ芋だからね?
近寄るな危険って立て看板しとこ。
でもこの土ゴーレム熱くしたやつ、近くにいるとあったかいな。
「……お皿忘れてましたね」
「あぁ、皿なら各騎士団から持ってこさせる」
人数もすごいので、石焼き芋ゴーレムも量産。
ネーミングセンス?ない。
サツマイモだけでなく、ジャガイモもね!
じゃがバタの美味さは保証しよう。
『土間増やして』
「あら、ハートに火をつけたか」
言われるままに土間を追加。
いま?広場の噴水前で料理番組よろしくな感じのキッチンスタジオになってる。
石焼き芋ゴーレムが焼けたやつを保温係と分担しはじめたのはちょっとびっくりした。かしこいな。
ツインズは簡単焼きパン作ってるみたい。
ポトフだけじゃねー。
「ね、ねぇねぇ、あれ作るから挑戦して」
『なに?』
「ナン」
タンドール窯ね!
ついでに長い棒ね!
ててーんとツインズにドヤっとお披露目しておいて。
もうね、ツインズの姉の無茶ぶりいつもの事よって感じの顔。
そしてまぁええけどなって顔。
優しい弟たちだなー。
「さ、そろそろ出来たので、はじめましょか」
「騎士団か列整理とか手伝ってくれるだろう、魔法騎士団は家から動けない人たちのところを回る予定だ」
「はい、お願いします!」
『炊き出し始めますよー!』
炊き出しとな?と現れたのは子どもたち。
というか石焼き芋ゴーレムを興味深そうに観察したり、雪ゴーレムと雪だるま作ってたからね。
届いた器にポトフとパンかナン。スプーンを添えて。
「あ、グレくん。」
「あ!いただきます!!」
ふーふーしてパンかじってポトフのジャガイモ口に入れてあふほふしながら……目がキラキラ!!これこれ!かわいい!!あー!かわいい!!
「んまー!!うまい!!めちゃうめ!!」
その一声を皮切りにあちこちで美味しいよーと声を上げてくれてる。
思わずツインズとニマーっと笑顔になっちゃうよね。
大鍋ひとつは魔法騎士団がそれごと持って配り回ってるらしい。
なんて器用な。まぁでもその方が量もあるから冷えにくくていいかもね。
住民とプレイヤーとが入り乱れてるな?
さっき百科事典さんがいるのみたからな。
石焼き芋ゴーレムを観察してたわ。
「わたしにも、ひとついただいてもよろしいかな?」
「あ、はいどうぞー」
なんかふくよかなおじいちゃん。
受け取って、ニコニコしながら食べてる。
ニット帽被って、ちょっとひげもじゃってる。
「ほっほ……うん、大変美味しくいただきました」
「ありがとうございますー」
「ふふふ、良い子の君たちにプレゼントをあげよう」
『え?』
「メリークリスマース」
『へ?あ、いない』
瞬きした間にいない。
これぞ瞬間。
いやいや、ん?あれ、イベントはじまってた??
しかも良い子って。
アラサーつかまえて良い子って。
ちょっとキュンです。
「なんかプレゼント?」
『ステータス関連は普通』
「ふーむ、じゃあローブの中かな?」
ローブの中に手を入れて出てきたのは、いかにもプレゼントですよー!という方法の施された大きめの箱。
「なんだろ」
『開けて』
「はいはい……、お、お?」
『おー?』
見覚えのある素材と、見たことの無い素材の詰め合わせセット的な。
うん、生産屋と思われてるね!
あながち間違いでは無いね!!
「なんか……あ、ミード減ってる」
『ちゃっかりしてるな』
「ま、いっか。メリクリだからねー」
――
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「ほほ、ミードが美味しそうでついつい……」
「だめだっての、窃盗ですよ」
「申し訳ないのう」
「もう……今日はイブだから、明日の朝にでも何らかの恩恵を出す形にしますよ」
「助かるわい」
「その変わり、今日はこれから子供にプレゼント配るの手伝ってもらいますからね」
「すまんの、社長殿」
「終わったらミードで乾杯しましょうか」