依頼達成
水妖さんはポーション飲まずに頭から被ってたよ、バシャバシャと。
まるで化粧水かな?という感じでお肌にぺたぺたしてるし……もしかしてお肌つるつるなるとか…ある?
さて、なんで水妖さんがいるのに水枯れたのかって話ですよ。
管理できない状況になった?
じーっと見てみるけど、別に怪我してるとかは無いんだけどなぁ?
――ぐぎゅるるるるる――
「……盛大な腹の虫だねぇ」
『誰の音?』
――ぎゅるるる――
「……水妖さん?」
ポリポリと頭かいてバツの悪そうな……人間くさい動作するねぇ……。
んー、なんかあった……かなぁ……
ツインズは持ってないし、販売しきったところだし。
「あ、これしかないや」
『酒じゃん』
「あ、でも目が喜んでるよ水妖さんの」
そう、持ってるのはミード。
あとは加工前のナッツがあるから軽くファイヤで焼いておこうかね。
空きっ腹にお酒はどうかと思うんだ。
うーん、あ、あとレーズンあったわ。
「はいどうぞー」
おぉ、わかりやすく喜んでる。
どっから取り出したのかお猪口みたいなものに手酌して……くいっと……。
そんな感じで飲むものだったかなミードって……。
日本酒に見えてきたよ?
『うわっ』
急にぺっかー!と光が!!
水妖さんから後光さしてる!!
神々しいぞ!?
あのセリフを言わなければならない気がしてしまう……。
めがっめがぁぁあああってやつ。
「あぁ!すごい!魔力に満ち溢れてます!」
シスターの言葉にはっとして魔力を確認すると確かに魔力満タン!て感じ。
え?渡したのってミードよね?魔力回復用ポーションとかじゃないよね!?
そもそも色違うから間違うはずがないんだけど!!
気がついたら既にミードは飲み干され、渡したツマミも空っぽ。早くない?
で、水妖さんはぺこりとお辞儀して井戸にひゅるんっと戻っていきましたとさ。
「……えぇ?」
『……え、解決?』
「まさかの?」
何かが住み着いてたって、別に悪いものでもなんでもなく、元から住み着いてた水妖さんを見間違い、解決するには酒を提供すりゃ良かったと……?
とりあえず水はさっきウォーターフォールでなみなみと注いだばかりだし……あ、いまはお風呂ぐらいなんじゃ?と確認しに行ったら、しっかりひんやりしたお水になっていた。
うーん、不思議。
とりあえずシスターに許可を貰って小瓶に適当にくんで帰るよ。
――浄化された水 教会にある井戸水 聖なる力の及ぶ土地の湧き水――
湧いてないけど?わたし魔法で上からダバダバ注いだけど?ツッコミどころしかない……。
……念の為ね、検証しよう。
ツインズにも許可を得て、教会から離れた所で再びウォーターフォールをして、その水を汲んでもらって
――水 魔法ウォーターフォールで出された水 僅かに魔力を含むが影響なし 飲水としても使用可能――
あ、やっぱり違うんだ??
ただ飲水として使えるのなら今後冒険に出てもそこら辺は困らなくていいかもね。
水分補給は大事だからねぇ。
町はずれまで来てしまってるので、ギルドに戻りながら買い物もしていく。
どんどん買い物してローブにぽいぽーい。
今度の販売用の品々に化けて貰わなきゃだからねぇ……。
で、ギルドでクエスト達成をお知らせ。
何がいたのか?どうやって解決したのか?などなどの聞き取り調査がなされましたよ。
「というわけで、お酒とかお供えしたらいいんでしょうね、多分」
「はぁ……そんなことが……」
「シスターはもう大丈夫って言ってたけど、また折を見て様子を見に行こうとは思ってますけどね」
いやぶっちゃけ浄化された水が目当てではあるんですけどね?
そんなのはお口チャックしておきます。
さて、クエスト達成のお金は銀行にお預けですよ。
お、有限異空間収納カバン売れてるねぇ…。
やっぱり作るべきだよね。
師匠のとこ行くとしましょうかねー。
ギルドを出てとりあえず3人で串焼き。
からの少しでも製品制作しようかということになり、一旦生産部屋に。
そこでローブの中身をツインズに託し、わたしは師匠のところへ。
機織り機借りて、有限異空間収納のサコッシュを作ろうかと思います。
サコッシュって、糸の自然な色でも違和感ないだろうというのもひとつなんだけど、そこに小さく刺繍をしようかと……。
まぁそこもひとつの実験です。
「エヌさーん」
「解決したか?謎は」
「調べて教会行って枯れた井戸水復活させてきましたよー」
「……ん?」
「ん?」
「枯れてたのか?」
「枯れてました、なんか水妖さんお腹がすいてたみたいで、手持ちのミードあげたらめっちゃ喜んでました。そしたら復活した?みたいで」
「……イロハ、ちょっと一緒に来い」
「あ、はいっうえっ!?」
「口閉じろ、舌噛むぞ」
そんなセリフ言われることになるなんて思わなかったですが!?
そもそも師匠はなぜわたしを小脇に抱えてるんですかね!?と思った瞬間ふわっと風を感じて、視界は上空。
空やないかーい!!
「っ!?」
「行くぞ」
ヒュっと風きり音が耳を掠めて……っつーかさむ!!!
風が冷たい!上空寒い!!
魔力纏えば寒さは減ると言われて慌てて魔力を纏うイメージ……あ、確かにちょっとまし。
でも寒いし。そんなべらぼうに高い場所じゃないのに寒い。
さむさむと手をすり合わせてたら、見覚えのある建物。
さっきまでいた教会じゃん。
お、シスター気づいて……なんか青ざめておるが大丈夫かな。