イケメン師匠
微かに聞こえてたような気のする声も防音まで足したのか全く聞こえず……。
しばし待つ……
「待たせたな」
このセリフ!
脳内であのお顔が出てくるけど目の前にはとてつもなく整った師匠!顔がいい!
「いいえ、みなさんは?」
「痺れてる」
「し、びれてる……」
救助に行くべきか?
と思ったら、ヨロヨロしながらオオサさんが現れたので問題なさそう?いやあるのか。
とりあえず回復魔法かけてみよう、うんうん。
「師匠、」
「……構わん、練習だ」
許可ゲットー。
しかし痺れを治すって感覚が分からないけど……。
痺れ、麻痺?うーん、まぁいいや。
杖!はい!
「ぁ……おぉ……やるなぁ!助かりました!」
「いいえー、出来て良かったです」
ちょっとみんなのとこ行ってくるわーと再び戻って行ったので、興味本位で聞いてみようか……。
「なんで怒ってたんです?」
「……酒酒うるさかったからな」
「あー……」
そういえば、久しぶりに作るって言ってたと薬爺が……。
その結果、またあのミードが飲めるぞー!となってテンションふりきった魔法使いたちが押し寄せてきて、プッチーンしたわけか。
なんかもう自業自得だね?
俺は酒屋じゃねぇと呟いていたのでよっぽどうるさかったんだろうね。
行くぞとさっさと庁舎を後にするから、追いかけながらいいんですか?と聞いたら、殺しても死なんとニヤリと笑ってた。
信頼してんのかなんなのか……。
ニヒルな笑顔がよくお似合いです師匠。
そそくさと師匠の家に入り、これなんですよ〜とゲットしたばかりの蓮シルクを見せる。
あぁこれかと言われたので馴染みのあるやつなんだろうな。
「これは、ここからシルクが取れるんだ」
「そんな気はしてたんですけど……どうやって」
「これは、なんか適当な大きさの入れ物に入れて、浄化された水と魔力でできる」
うん、わからん。
浄化された水とは?
適当な大きさの入れ物って、なんか専用のやつないの?
魔法のオーブン的なやつで魔法の瓶とかさぁ……。
とりあえず、そこら辺の水じゃダメなんだってのはわかった。
浄化ってことは、教会とか?
「……よし!ちょっと図書館で調べ物してきますね!」
「ふ、そうした方が学びは多い」
「あ、あとで機織り機お借りしたいです」
「構わん、いつでもこい」
男前だな本当に。
お礼を言ってさっさと図書館。
ねこになるべきか……いや面倒だな走ろう。
変なの来たら強めの静電気浴びてもらおう。
師匠の見て思ったのよ、程度を考えたらそれがよいんじゃないかと。
気分は電気ネズミですよ。
というわけで、よーくストレッチしまして、マラソンスタートです。
若干ローブで走りにくさはあるものの、まぁなんとかなるレベル。
マラソン選手とかでもないからほんとのんびりしたもんですよ。
そんなに広大な土地でもないからすぐ着くしね。
「こんにちは」
小さめの声で挨拶して、目当ての本を探しに。
あ、図書館入る前に息は整えたよ。
静かな空間で、ハァハァしてたら不審者?てなるし、響くしね、息の音って。
あとストーカーはいなかったのかな?たぶん。
走ってくる音もなかったし…?
もしかしてこの間みたいな暗殺者か?みたいな集団が速やかに拉致ってたりしてー!ははは!んなわけないか。
さてさて、浄化された水とは?
やっぱり浄化した水のこと。わかっとるっちゅーねん。
手に入れるにはー……典型的なのは教会の井戸水?になるのか。
教会ね、メモっとこ。
あとは作れるのかってとこだけど、聖なる光を浴びた水……?イコール浄化された水?ん?
聖なる光とは……?
えーと、次はこっちの本か。
聖なる光…とは?あー、回復魔法と同じ種類かな?
てことは、聖なる光を出せたら解決するのかな?
聖なる光はー……あぁ、杖に灯すことが出来る感じね。はいはい。
松明がわりになりそうなやつ。
やってみよっかな〜ってここでやったら怒られるやつだな……。
あとで!
あとはー……あ、家具の本あるかな。
作るよりインテリア的なやつが見たいな〜。
……でも時間そんなにないや。
今度!家買ってからでもいいや!
さ、教会に行きますよー……って、教会どこよ。
困った時は門番さんかギルド、うんギルド近いしギルドにしよ。
ってことで、ギルドで教会の場所を聞きに行ったら、クエスト受けるんですか?て言われた。
ん?と思ったら、教会から依頼が来てると。
へぇー?と詳細を聞いたら……
『枯れた井戸水を復活させろ?』
「そうなの……」
浄化された水を求めに行こうとしたら肝心の井戸水枯れ果ててるってなんでやねん。
原因究明がメインで、ギルド職員いわくたぶん何かが住み着いたのではないか?ということらしいので、ツインズ召喚。
パーティでクエスト受注して、いま歩きながら事情説明してるところ。
街中にある教会になにか住み着いたとか大変なことでは?と思ったら、ほぼ街の外?ていうぐらい離れたところにありました。
「結構はしっこだね?」
「あとさびれてるね」
「人の気配は……」
「……あー……る、あるね、少し」
『え?わかんの?』
ん?そういえばなんでわかったのわたし。
お?師匠に一歩近づいたか?