社長のこだわり
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ツインズと合流する前にギルドで薬草採取とツインズに言われたクエストを受注してから門の外。
「いろは!」
「あ、お迎えありがとー」
モンスターは今までのものプラス、ということで。
新しいモンスターを求めて町から離れます。
見渡す限り草原、というか牧草地のような…?
「あれあれ、ゼブル」
お、どれどれ?と顔を上げたら確かにいた。
シマウマ柄の牛。
「……脳がバグるわ〜」
『それな』
ちょっとこれは…
いや牛だから白と黒とかの柄もいるけど、大胆ね!
そして攻撃は突進。
闘牛やないかい。
「ヒラヒラした動くものに突進するし、パワー推しだから檻もキツイんじゃないかな」
「念の為檻に挑戦してみる?」
「一回やってみよう!」
という訳で、いつもの感覚で檻に閉じ込めてみたものの……
「うぅーわ、暴れられたらだめだわ」
1回2回の突撃なら耐えられたけど、やっぱり難しい。
多少強度を増してみたものの、暴れられたら途中でバーン!
とりあえずぬかるみにハマってもらって、考えた。
ぬかるみからドーン!と土の槍。
「うん、グロい」
『同感』
倒せたので良しとしましょう。
グロいって言っても、ドロップしたのは牛の肉だし、解体しなくていいだけマシかもしれないけどね。
しかしこれは檻じゃ厳しいのもでてくるね。
サイズ的にも難しいのが出てくるだろうし、戦闘練習にはいいかな。
あと目当てはもうひとつ。
「こっちの方によくいるって」
「どうやったら楽かな」
「木の近くだから火はなし」
目当てのものを見つけて、隠れながら相談中。
今回これこそ!とおもっているのが、ブンブン飛び回っているピンクアベイユ。
その名の通り、ピンク色の蜂。
目当てはリューシュと言われる蜂の巣!
要するにはちみつ採取をしたいんですよ。
まぁね?アベイユってミツバチって意味らしいんだけどさ、サイズがでかい。
恒例かな?基本的にでかくなるのかな?
手のひらサイズのミツバチとか刺されたらどんだけ腫れるのよっていうね。
しかもピンク色。よく目立つことで、とても見つかりやすくて助かりますけども。
で、どうやって倒してみようか。
サイズは置いといて、強さはそこまで。
ただし数の暴力ですよ。
なんてったってミツバチさん。
「目の細かい虫かごをイメージしてみた結果」
『あー、いけそう』
ブンブン飛び回ってる範囲を囲むくらい……2メートル四方かな?で、囲む!!
「めっちゃ怒ってる!めっちゃ怒ってるよ!」
「とりあえず凍らせてみたら?」
「水だと折角のハチミツがダメになりそうだし」
「凍らせるのね!よしきた!……って凍らせる?」
氷投げつけるんじゃなくて、凍らせる。
ううーむ、どうすれば?
氷の女王の気分を出すために雪だるま出しておこうか、ははは。
「ありのままの自分を愛するのはわかった」
「青いドレス仕立てた方がいいんじゃない?」
「あんな体型しっかりでるドレス着る勇気がでないわ」
吹雪をイメージして吹き付けたら凍るかなぁ…。
吹雪、雪の結晶、ええと氷の小さいのだと雹とか霰かぁ。
ええと、確か霰の方が小さいんだっけ。
でもそれよりも小さいというか、雪を作りたい。
雪は水蒸気を凍らせたらいいかな。
湿度…あるよね、たぶん。
森の中の方がひんやりしてるし、そこら辺までこだわってそうだからいけるかな。
そもそもよ?
氷の塊出す時に多分その場の空気は冷えてると思うの。
それを広範囲で出すと考え、そしてそれをあの氷の女王のように指先からぶわっと!
「こうか!?」
『さっむ』
「さむ!」
自分で出したけどコントロール..下手くそで思ったより広範囲が凍った……。ごめんて。
コントロール難しすぎるんだよ、ほんと…。
「あ、でも成功したかも」
土の檻を崩してみたら、ピンクアベイユは南無三。
そして現れたのは……
「これあれやん」
黄色いクマの大好物だけど、そのままあのツボに入ってるの。
どこかにいるのか…
幻聴かな?はちみつ食べたいなぁって声が聞こえる気がする…よ?
「これ生はちみつとおもう?」
「どうだろ、少し置いたらわかるんじゃない?」
「生はちみつなら結晶化してくるし」
じゃあしはらく様子みようかな。
あとはわたしの魔法コントロールが課題です。
折角なので、このまま吹雪のコントロール練習だ!!
……と、いうわけで、あのあとゼブル5体とピンクアベイユの群れを3つほど吹雪で凍らせてみた。
ピンクアベイユに関しては、檻に入れ損ねたやつをツインズが仕留めてくれたし、ゼブルはなんと、牛乳をドロップしたやつがいた。
『!?』
3人で二度見した。
ゴトン!てあの牧場にあるようなあの…銀色のやつ。
コンビニのアイコンにもなってるやつ。
あれが草原に存在するの。
控えめに言っても絵面が変。
ただ、鑑定によるととても美味しい殺菌済みのミルクらしい。
あとハチミツもなんと花の種類があった。
鑑定によると、レンゲとアカシア。なんと定番!!安心の味!
あと、ラベンダー!
これはすごく香りが良くてびっくりした。
是非とも紅茶に入れていただきたい。
そしてもうひとつはリンゴ!
これもすごくフルーティーな香りがしてヨーグルトに合いそう。
「……社長のこだわりを感じる」
『食に対してね』
その気になれば現実世界と変わらない食生活が送れるだろうし、それを目標にしてる気がする。
ありがたくその恩恵にあずかろう。




