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Different world  作者: なつこっこ。
56/110

ふたつめの街

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「改めてみても、はじめの街とあんまり変わらない?」



そう、街の様子が2つ目となれば変化するのかと思いきや、そんなことはなく。

有名な土管兄弟のゲームだと2面は砂漠だからそんな感じかなって……。

ちがったわ。そりゃね、道ひとつで繋がるだけだからね。6時間程度で。今回はもう少しかかったけど。


門番にギルドの場所を聞いておいたので、とりあえず向かってみる。

うーん、なんて聞くのが正解なのか。

住民に混ざってプレイヤーもそれなりにいるので、ここら辺は攻略するのに苦労は無い様子。

ここが見つかったのもかなり早かったしね。



「攻略組はどこまで進んでるのかな?」


「なんか4つ目?とかだったかな」


「ただ、他のゲームより旨味がないとか」



新しい素材とかは見つかるから、そういう意味では旨味があっても、その素材を生かせるかどうかになってくるらしい。

なんてったって、魔法使いになれるというのが最近発覚したようなものだからね。



「ギルドも似たような見た目」


「たしかに」


「あと、強制イベントだけど」



と、話し出した内容によると、どうやら私たちの強制イベントは中々の内容があり、ある意味当たりらしい。

……ある意味、なのでね。お察し。

掲示板でツインズが書いたら、そんな盛り沢山なことある?と言われたとか。

事実なんだよ…。

どこにツッコミをいれるべきか?てなるぐらいだからね。


いやそりゃ賊にゴブリンからの商人は裏切りで賊でしたー!ついでに魔法騎士団空から参上!なんて、盛りすぎよ。本当に。

完全ランダムというけれども、なんかもう運営さーん?てなる。

……は!社長が糸を引いているのでは……。


ま、そんなことしないんだろうけど。


隣町に行く際の人数と強さ、そこにスキルなどの要素と友好度ってとこかな?だって。

ツインズとわたしで3人。そこに地道にレベル上げしてる2人と必死になってる魔法使い見習い。

そして騎士団と魔法騎士団と知り合いという要素。



「ランダムと言っても、そりゃそうなるよね。行けるけど頑張らなきゃね?ていう強さの敵と要素を掛け合わせたランダムってことか」


『たぶんね』



ギルドに入って、窓口に。

……なんて聞いたら?



「えーと……ここに来る途中に賊に襲われて、その賊を捕まえたんですけど、通りかかった魔法騎士団に運んでもらったんですが、手続きとかなにかいりますか?」


「……あぁ!あなた達なのね!えぇ、えぇ聞いているわ!こちらに来たら案内するように言われているの!魔法騎士団の庁舎があるのよ!そちらに向かっていただけるかしら!場所はここよ!この地図お渡しするわね!とてもすごい人達だって聞いているわ!ぜひここでも依頼を受けていただけるとうれしいわ!わたしはナーシャよ!よろしくね!」



なんだろう、このお嬢様のような受付嬢。

一息で言いきったのもすごいし、求めていた全てを得られたわ。

そして何よりお嬢様感を増量させているのが見た目。

金髪縦ロール!!こんな綺麗にできるのか!ってくらい綺麗な金髪縦ロール!!

王道のお嬢様ってこういうことかなっていうくらい。

ちょっとつり目で意志の強さを感じるけど、人懐っこい印象もあるのはこのマシンガントークだからかしら?



「どうかされまして?」


「あ、いえいえごめんなさい。髪型がよく似合っているから見とれちゃいました」


「まぁ!ありがとう!うれしいわ!自前ですの!わたしも自分によく似合っていると思っているわ!お母様も同じ髪質なのよ!」



改めて思うけど、この人たちは言ってしまえばゲームキャラ。

エヌさん含め、いままでここで出会った人すべてが、作られた人たちなのに、そう感じない理由が少しわかった気がする。


全ての人たちの、出生からの記憶が作り込まれているからだ。


この世界にいる、莫大な人の数の記憶をそれぞれがつくられている。

それを実現させたのがあの社長なのだろう。

会話がスムーズに続くのも、それだ。


昔は同じことしか答えないNPCに溢れたゲームが多かったらしいけれど、最近は会話パターンを複数用意したものが多かった。

主要のキャラにはもっと複雑なプログラムが組み込まれているようだけど、街の中の1人などの村人Aのような人は繰り返し話しかけたら同じ受け答えがループする仕様だった。

それでも昔よりは凄いわよーとばあ様が言ってたな。

受け答えだけで100通りくらい組み込まれてるんでしょう?わたしの子どもの頃なんて横スクロールとかよ、だったかな。

確かに、わたしが子どもの頃はそういうゲームでも、素晴らしい!と言われていた。


が、このゲームが人気なのがわかった。

そりゃあ全てのNPCと言われるキャラクターに出生からの作り込まれた記憶があるのなら当たり前だ。

ある程度のゲームとして、強制イベントなんかは存在するものの、自由度は高い。

それはやっぱりこの中で生きてる、からか。



「生きてる、ねぇ」


『あー……』



地図を片手に、ナーシャさんに言われたように魔法騎士団の庁舎に向かっている途中、周りの賑やかさを見ながら口から出てた。

個人的には生きている、と感じているけど、データでしか存在しえない人達であるのもまた事実。

しかし世の中同じような価値観もいれば、そうでないのもいることはわかりきっている。



「わたしは、生きてる人達だと思って接する」


『同意』



だってみんな生き生きしててキラキラしてるしね。

改めてすごい世界があったもんだ。



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