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ログアウトして、ストレッチ。
ううーん、寝てるだけってやっぱり身体がかたまるよねー。
しかも寝返りをしてる訳じゃないから余計に凝り固まるというか…。
ぐっぐっと体の筋を伸ばす。パキッて音が…。
良くないんだろうけど、パキッとなるとスッキリした感じがするよね。
リビングに向かいながらご飯なにしようか考える。
現実世界では動いてないのと、ゲームの中で食べてるから感覚が……。
ヘルシー蒸し野菜にしておこう。なんとなく。
セイロださなきゃーと台所の上の棚をオープン。
上の棚は届くけど、その中の更に上側に置いてあるから思いっきり伸びないと届かない!あ、やばい足がつる。
……セーフ。伸ばさなきゃ。
あと水分補給もしっかりしなきゃ駄目だね。不健康な感じ。
『おはよ』
うおっびっくりした。
肩ビクッてしちゃったよ…。
おはよってことは仮眠でもしてたのかな?目がシパシパしてるし……そしてわたしはなんか聞かなきゃいけないことがあった気がしてるんだけど…?
「あ!思い出した!」
『え?』
「えーと、なんかプレイヤーが住民追っかけ回してんの、どうしたらいいかなー」
そうそう、思い出した。
エヌさん追っかけ回されてうんざりしてたからね。
エヌさんのことは言わず、イケメン住人追っかけてると伝えておいた。
どうするべきかな?なにか出来ると思う?と、聞いたら、GMコールして聞いてみたら?とのこと。
確かに、判断はわたしがすることじゃない気もするしね。解決!
じゃあ蒸し野菜しよ〜と。再び背伸びしようとしたら、どれ?と取ってくれた。助かるぅ。
背の高い人がいるから脚立とか無いんだよね、家に。
蒸し野菜は大体の野菜がいけるから好き。
野菜室にあるもの達と、なんかヘルシーに…鶏ムネ発見。一緒に蒸しちゃおう。
今回は人参、じゃがいもがひとつあったからそれもいれて、なすとブロッコリー、玉ねぎもいれておこう。
鶏ムネ肉は適当なサイズに削いでおいたらいいかな。
ちょっとピリ辛で食べたくなったからコチュジャンタレ作って、ヘルシーだと罪悪感少なく食べられるからいいよね。
あとで鍋たくさんの野菜スープでも作ろうかな……。
さて、再び戻って噴水広場。
恒例のストレッチ。
ググーっと伸びたり、前屈したり、体を捻ったり…
住人はそろそろ「またやってるな」みたいな感じみたいだけど、プレイヤーは「何してんだこいつ」みたいな目で見てきてる。
人の視線って、わかりやすいよね。
目は口ほどに物を言うっての、実感してる……。
ただ、大事だと思うよ…?
「よし!GMコール」
――はいどうも、GMです。どうされましたか?――
目の前に急に人。
さすがにびっくりした。
思いっきり肩跳ねたからね!
噂通りの黒スーツにサングラス。今回は男性、かな?オールバック。
周りの人もちょっと驚いてるし。あ、それはGMコール急にしたからかな。
驚かせて失礼って言われたけど、呼んだのわたしですし、むしろ驚いてごめんなさいだわ。
――ご要件は?――
「ええと、こないだプレイヤーが住人を追っかけ回してるのを見かけて、その住人が迷惑だとうんざりしていたのを知ってしまったので、なにか対策とかたてられないかなぁ?と思って相談したくてコールさせてもらいました。」
――ほう、詳しくお伺いします――
まぁどうぞ、と近くのベンチに座るよう促されたので座ったら、いまからの会話は録画されてます、と。
電話じゃないから、録画。映像から全て残るらしい。
どこにカメラが?と思ったら、なんか小さい球体が飛んでるので、これかな?カメラなのかな?
品質向上のため〜ってやつなので問題無し。
とりあえず見かけた日時と状況を伝えたら、その場でスーツの内ポケットからタブレットが出てきたわけですが、どう考えてもそのポケット以上でしょこれ。
いやツッコミはしないけど!
あの青いネコ型ロボットのポケットから出てくるピンクのドアのようだったよ……。
ということは、あのスーツ実は四次元ポケット……?
むしろGMは実在する人…?
……わからないから考えるのやめよ。
あのタブレットの中に全てのログが見られるシステムとかがあるんだろうなぁ…。
――あぁ、これですね。この方を追いかけてる?――
「あ、そうです。エヌさんって方なんですけど、まぁその……すごくうんざりしてましたし、外出が不便だっておっしゃってて」
そのままログを一緒にみていると、まぁなかなかのしつこさで追いかけっこをされていたようで。
ローブを深く被って街の中をあっちこっちに逃亡してるのもお構い無しに追いかけてるの、やってることがストーカーでは…。
――うーん…――
「これだけじゃなんとも言えないって感じですか?」
――いえ、ありがとうございます。こちらでできる対応を取ります。住民から反感を買う行動は最終的にどうなるか、というのが鍵になっていきますので。また、この追っている側の人達には注意を送ります。――
「あ、はい」
――大体はこれでおさまりますが、もし終わらないようでしたら遠慮なく騎士団へとこの方にお伝えください。では失礼します。――
ブゥンって消えた。
テレビが消えるように消えた。しかもブラウン管な感じね。
なんだろう…やっぱりファンタジーだねぇ。
『あ、いろは』
「レイちゃんライちゃん」
声に反応して振り返った先にいたツインズは装備が変わってました。
スキマ時間にせっせとクエストしてたんだって、すごいなー。
依頼達成報酬とかギルドに売ったりとか……。
機動力重視なのか防具としては少ないし軽いヤツだけどね、と教えてくれた。
なんだっけ、胸当て?みたいな。
まぁ速さを重視したら重たい鎧とかはしんどいもんね?と思ったけど、正直筋トレでどうとでもなるのではないか?と言われ出していると。
金属鎧の騎士を目指す、という人もいるようで、筋トレの日々なんだとか。
マッチョが金属鎧で猛ダッシュとかそれだけで強い!
で、あと困るのが金策。
確かに金属鎧作るのもお金かかりそうだもんね。
金属って、ここだとどうやって集めるんだろう……?
わたしは金属鎧着ないけど……。
金属だからこそできることがある気がするんだけど、また図書館コースだな。
そしてツインズに負けてられない!わたしもやるか!ということで、外に出る準備を開始。
弓の耐久値チェック、矢の準備、カゴ持って、先にギルド。
で、掲示板の納品クエストの薬草とポーションを受注。
ツインズとはここで別れて、いざ!