仕事です
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あぁ…仕事です。
朝のニュースでもDWのことを取り上げてて、人気が窺える。
あ、社長出てる。
後ろに秘書さんもいるわ。
そりゃこの2人がCMメインみたいなとこあるもんね。
SNSでもイケメン!ときゃあきゃあしてるのだとか。
なんだろう、たしかにキリッとしてるとイケメンだけど、ツインズのお菓子だー!とキラキラした顔を見たからか…。
通勤電車の中のモニターにも出てるし、すごいなー。
そしてこんだけ出てるのに意識しないと見てないものなんだな人間って…。
仕事は比較的スムーズに進んでるし、先週とかその前とかの忙しさから考えると余裕がある。
と、おもっていたら、内線で呼び出された先は社長室。
あっれーまだなんかありましたかねー?
「失礼します」
部屋に入るとみしらぬ年老いた夫婦。
どちらさまですかね?と社長を見ると、うんざりという顔そのもので、面倒事でしかない気配。
「こちら、岸くんのご両親」
「…あ、そうなんです、ね…?」
『なんで解雇したんですか!!』
おっとぉ…
とりあえず事の経緯をこと細かく説明したものの、その程度で!!と、お怒りモード。
いやまぁ守秘義務とかあるから詳細は言えないけども…。
「納得頂けませんか?」
するわけない!とぎゃあぎゃあ言うので、今回このまま雇用した場合は相手企業から取引中止からの損害賠償請求の可能性を提示して、その場合担当していた人にも請求がかかり、その金額を電卓叩いて提示。
『…』
黙った。
そりゃ生涯賃金でも足りないもの。
さて、ここで再び。ちらりと社長を見たら、頷いたので任せる。
「納得頂けませんか?どうしてもと言うなら、解雇取消の代わりに損害賠償請求させていただくことに」
「あーっとすみません、用事を思い出したので」
「そうですか、では今日来られたことは荷物の受け取りでよろしいですね?」
「あ、あぁ、そうだな、もう来ることは無いから荷物全てもってかえるよ」
「そうですか、郵送しようと思っていたのでとても助かります。お荷物すでにまとめています。受付でお渡し致しますので、お出口はあちらです。どうぞ。」
おお、一息で言いきった。
にっこりしてるけど、目が笑ってない。こわい。
まぁね、そりゃね。
ちなみに受付には岸がいるらしく、見かけた部署の人が社内アプリで連絡してきた。
受付嬢にウザ絡みとか何してんだアイツ……。
岸のご両親を受付に連れてくついでに、途中で部署の男手に来るよう連絡。
念の為ね。
「あ、神」
「あ、じゃないんですよ。お話は終わりましたのでお引取りを。」
は?という顔をしている本人と、苦虫かみ潰した顔してるご両親。
あきらめてください。
なんか言いかけた息子を必死に止める両親、の図。
が、目の前で繰り広げられております。迷惑。
ていうか、私の後ろには部署の男手がスタンバイしてるわけだけど、受け付けでスーツで立ってる私。
しかも本日はスカート。ブラウス。
後ろに男二人。
あれじゃん?35億。古い!だがしかし伝わるな、これ。
ちょっとBGMを鼻歌でふんふんしてみたら、後ろふたりが吹き出して慌てて咳払い。
笑ってはいけない!
あ、やっと帰ってったわー。
「ちょっと神さん!?笑かしに来ないでくださいよ!」
「いやだってもろそうだったじゃん。伝わったから笑ったんでしょー」
『だとしても!!』