表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Different world  作者: なつこっこ。
21/110

工房主

時間はまだ15時前だから一応3時間は遊べる。

さっきも会いに行ったところだけど、まずは薬爺さんの行こうかと歩き始める。

薬草育てられるなら、それがいいよね。いやまてまて、家がない。育てる場所がない。

でも聞いておいてできるなら家買うか借りてから?いや土地?

そもそも薬爺さんの前に図書館で調べようかと踵を返そうとしたら…



「悩んでおるのう?」



声に気が付いて顔を上げれば、薬爺さんとエヌさんがお店の前で立話をしているところだった。て言っても、エヌさんは塀の上でくつろいでいるけど。

考えながら歩いていた結果、もうお店の前まで来てしまっていたらしい。



「こんにちは」


「はい、こんにちは、お悩みかな?」


「えーと、薬草について聞きたいなぁって。でも先に図書館で調べてからのほうがいいかなって思って、戻ろうとしていたところです。」


「そうかい。だがちょうどいい。お願いがあるんじゃ」



こいこいと手招きされたので近寄ると、猫の姿のエヌさんが尻尾で頭をぺしぺしとゆるくたたいている。

しっかり聞けよとでも言いたいのかもしれない。

そこらへんは社会人だししっかりしているつもりなのだけど…。でもこの世界だと年齢という概念も違うのかもしれない。そうしたら私はまだまだひよっこもいいところかもしれない。



「いいかな?」


「はい、私にできることなら」


「ここにいって、ベータにこの手紙を渡してくれんかの」


「いいですよ」


「そいつは職人じゃ、武器の手入れ方法も聞いておいで」



薬爺さんからのお願いは完全に私が喜ぶものだった。

ありがとうございます!!と手紙を大事に受け取ると、エヌさんが、ほらいくぞと歩き出してしまった。



「案内するなんざ珍しいのう。ほれ、ついていきなさい」


「ありがとうございます!また来ますねー!」



エヌさんは先々いかず、ちょっと先で待ってくれている。

今は猫だけど、こういうところがイケメンですね。惚れるわ。

特に会話があるわけではないけど、猫と散歩しているのはなんか特別な気がしてとても楽しい。

子供のころに野良猫追いかけて迷子になったことを思い出す。確か5歳だった。ツインズも5歳の時に同じことして迷子になったから覚えている。

はたからみたら、ただ綺麗な猫を追いかけて歩き続けている人にみえるようで、プレイヤーはこちらをみてたまに笑っている。うん、まぁ初期の服に初期の弓を持って追いかけてるしね。嘲笑が含まれている気がするけど気にしない。


街の南東の位置に、ベータさんの工房はあった。

中からいろんな音がしていて、賑やかそうだ。

エヌさんは相変わらずするっとお店に入って、ベルを尻尾で連打している。

これいつもしてるのかーと器用に動く尻尾を見つめていると、はいはいはいはい!!と奥からガタイのいい髭の生えたおにーさんと2階からつなぎ姿の女性が走ってきた。



「エヌ!連打やめろ!」


「やっぱりエヌね、連打しないでって」


「こうでもしないと聞こえんだろう」



ふんっとベルを鳴らしていた台から降り、扉に向かってしまう。



「俺は帰る。ここにいては耳が痛くなるからな。いろは、夜にまた会おう」


「あ、はーい。ありがとうございました、また夜にー」



ひらひらーと見送れば、役目は終わったとばかりにささっと店から遠ざかってしまった。

残された二人をみれば、目が真ん丸に見開かれている。乾きますよ、目。



「あの、ベータさんは…」


「あ、あぁ俺だ」



返事をしたのは、ガタイのいい、というか完全マッチョのおされ髭のおにーさん。

まるでその筋肉、しゅわちゃん…おっと失礼。良い筋肉です。ぴたっとした白いTシャツにつなぎという格好が似合う。

おねーさんは、アルファさんといい、ベータさんの姉なのだとか。なかなかにナイスバデー。褐色のお肌が輝いてますね。こちらも同じ服を着ているから、この工房で働く二人のユニフォームなのかもしれない。

姉弟か、うちと一緒だ。まぁうちの弟は双子だけど。



「これ、薬爺さんから預かりました」



渡された手紙に何が書かれていたのかわからないけど、ベータさんがどうやらここで耐久値の修理だとかいろいろ作る際のコツを教えてやると言ったので、そういう内容が書かれていたのかもしれない。

薬爺さん、ありがとう。

いろいろ作れると言っても、いま何が欲しいという明確なものもないなら、ひとまず弓の耐久値を戻そうかということになった。

さっき目を見開いていた理由を問うと、エヌさんが道案内してきたことに対しての驚きらしい。珍しいこともあるもんだ!と。

そうなんですかーとしか、返せず話はすぐに終わってしまったが…。


今使っているのは、和弓に近いもので弦をしっかり張り替えていけば、ある程度は長持ちするらしい。

弦に使うのは、モンスターのアレニエというものが攻撃に出してくる糸を使うらしい。

…もしや蜘蛛かな?おう…気持ち悪いね…。


ランクFならクエストにも出ているだろうと言われたので、要チェックだ。

そのうち改造とかでクロスボウにできたら、威力と命中率あがるかなぁ…。魔法が使えるようになるまでどれぐらいかかるかわからないし、そもそもこういうゲームって魔法禁止エリアとかがあって敵を倒すのに不利な状態を課せられたりしそうなイメージがあるから、物理攻撃もないと不安で仕方ない。

なければそれでいいんだけど。


今回はアレニエの糸を購入して使わせてもらう。

言われた通り、しっかり綺麗に弦を張ると武器ステータスで耐久値が9割ほど戻っていた。

特殊な矢に関しては、素材とかもあるので図書館でみてみたら?とのこと。

やっぱりまた図書館で調べものしなきゃわからないことがたくさんありすぎる。

一度習うか、独学で編み出してしまえば、ギルドの生産部屋でできることが増えるかもしれないらしい。

ただし、金属を溶かして~となると、ここの姉弟のお店に来ないと窯がないとのこと。

いつでも貸してやるよ!と言われたので、ありがたく使わせてもらう時が来たら頼もう。

明日のログインで果物みつけたら、持って来よう。お礼は大切だし。


結局、お店の中を見学させてもらったり話を聞いているうちに3時間近く経ってしまった。

あわてて長居してすみません!また来ますとお店を後にしてログアウト。


よかった、ツインズも今ログアウトしたとこらしかったので、お好み焼きを作ります。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ