双子の武器
ログアウトしてから、かるくストレッチをして、外に出る。
街灯も多い住宅地だからかるくジョギングするには問題はない。
やっぱり少し太ったかしら、とややいつもより重たく感じる体に息が上がる。
これは明日はまずジムで泳いでからログインしようかなぁと悩みながら、だいたい5キロを目安に走る。
家に着いたらそのままお風呂に直行。
汗を洗い流す瞬間ってなんて爽快感なんだろうといつも思う。
「あー、さっぱりした」
本当はここでアイスを食べるしあわせを味わいたいけれど、我慢。
炭酸水で一息ついていると、ツインズが自室から出てきた。
どうやらどの武器がいいかいろいろ試していたらしい。
「うーん、一応俺は双剣かな」
「俺は槍が楽」
ということで、ライは双剣、レイは槍らしい。
ここは双子の神秘とはならないのが不思議だなと思う気もするが、それぞれの好きな色とかは微妙に違うからこんなものなのかもしれない。
それに二人とも同じ武器を使われたら、それこそ見分けがつかない!!となる可能性もある。
いやそれでモンスターが混乱したら有利に戦えるとかかもしれないけど…。
「あ、じゃあいらない弓ちょうだい」
「いいけど、狩るの?」
「うん、やってみようかなって」
ゲームの世界の醍醐味といえば、モンスターとの戦いもあるだろうから、楽しむためにもやってみたい。
そしてぷるるんのコア欲しいんだねーちゃん。あれないと始まらないんだ。
こういうとき、生産をしたい人は素材集めが大変なんだろうなぁと思う。まぁ買うこともできるんだけど、戦って手に入るならそっちを選びます。だってお金はどっちの世界でも大事でしょう。うん。
ログインしたらプレゼントしておいてくれるらしい。
武器の耐久度もあるから、まめに確認してね、とも言われた。
あぁそういうのもあるのか。でもそうか、カゴも丁寧に使えば長持ちって書いてたしそんなものなのかもしれない。武器ステータスでみられるという。うん、やってみよう。
ツインズはこのままもう一度ログインするといって自室に引っ込んでいったが、私はそうそうに寝てしまうことにした。
慣れないことをしたせいなのか、なんともだるい。とてもしんどい。学生のころの受験勉強を思い出すくらいには、頭を使った気がする。
それから、起きたらジムに行こう。お腹が気になる。ツインズのためにも綺麗なねーちゃんでいたいのだ。
最近のジムは24時間営業のところもあって非常に助かるなぁと布団に横になった。
起きてから早速ジムで泳いできた。
朝早い時間帯は人が少なくて快適だから、なるべく朝早くに行くようにしている。
更衣室も混んでくるとなかなかゆっくりもしていられない。
知り合いに会うこともないだろうと、いつもスッピンで向かってスッピンで帰ってくる。
たまに受付の人に声をかけられてどうでもいい話をふられるが、私は早く帰りたいんだ。
ので、笑顔ですみませんお腹すいたので~と言って帰ってくる。
ご飯一緒に!とか言うけど、どうみてもあなた仕事中でしょうが、とその言葉は聞こえないふりで帰る。
家に帰るとツインズはまだ寝ているようで、居間はガランとしていた。
ふむ、じゃあ私が朝ごはん作ろうかねと台所に向かう。
正直お腹がすいていればなんでも美味しい!と思う。
今日はー、お米食べようかな。あ、玄米にしようかなーでも時間がなー、雑穀米にしよう。うん。
炊飯器にいれてしまえば、あとは勝手に炊きあがる。スピード炊きで30分強!素敵!
これにー、昨日のカレーでもいいけどこれは昼ごはんに置いておこう。カレードリアとかおいしいよね。
あーでも、そんなに量もないから出汁足してカレーうどんかな。ネギあるし。
朝ごはんは、味噌汁と漬けておいた鯖の西京漬でも焼こうかなぁと冷蔵庫から取り出す。
味噌汁はシンプルなのも具沢山なのも好き。
けど、朝だしとりあえずお麩でいいかなー。
あ、合わせじゃなくて白味噌にしよう。うん。久しぶりに。
西京漬もそろそろ焼けて、米も炊ける頃ツインズが自室から出てきた。
眠そうな顔のまま洗面所に向かう。ありゃ遅くまで遊んだのかしら。
『おはよー』
「おはよう。朝ごはんできるよ、あ、お米炊けた」
今日の朝ごはんは完全和食だなぁ。
あと冷蔵庫にあった卵豆腐も出しておいた。賞味期限そろそろだったし。
『いただきます』
あー、白味噌の甘さがおいしい。
やさしい味がするよね、もちろん合わせも赤味噌もおいしいと思う。
暑い日はひや汁もおいしいなぁ。今度作ろう。
「今日もログインつづけるの?」
『する。けど運動してから』
「よいこと。私も朝から泳いできた」
やっぱり寝ているわけではないけど寝転がり続けている状態が体にしんどいのはツインズも一緒らしい。
それでいて頭を使っているから糖分ばかりが欲しくなるんだから困った。
『あ、空腹度に気をつけて』
「そんなんあるって言ってたね」
いつだったかそんなことを言われた記憶はうっすらとある。
なにやら空腹度を放置すると餓死して町に死に戻りするらしい。
死に戻りは、死んだら一番近くの行ったことのある町に強制的に飛ばされることだという。
町にはいろいろ屋台もあるから、なんか食べなね、と言われてしまった。
ゲームなのに、こういうところが非常に日常的というか面白い世界だなぁと感心してしまう。
「ごちそうさまでした」
『俺ら洗い物して運動してくる』
「そう?洗い物ありがとう、よろしくね」
それなら、と自室に引っ込みまた軽いストレッチをしてからログインすることにした。




