社長!?
社長!?
とある週末のDW運営部
「おーおー、ケツァルコアトル怒ってんねー」
まぁ怒ってる、怒ってるけど、やになっちゃうわー!!!という状態なので怒りMAXではないが…
ガチギレになると殺意振りまきドスの効いた声で言葉少なく戦闘モードまっしぐら。
殺戮現場になりかわる。
流石に非情か?とも声が上がったが、最終がそうなるだけで、発見段階などによって怒りモードを数種類用意していた。
今回はまだマイルドな方だ。
まぁ進行具合によってモードは変わることもあるのだが…
「ガチギレしますかね?」
「どうかなー…あれ?」
「お?エヌ動くね?」
「シスターからのタレコミだからなぁ」
どう動くのかと見守っていると、迷いなくギルドに向かうエヌに合流していく住民達。
どこの映画だよってくらいかっこよく合流していき、問答無用で例の3人組を確保した。
運営部でもおもしれぇやつ…と、なりがちな3人組。
住民の動向を確認していると、なかなかの頻度で3人組、もとい、そのうちの一人が一緒に出てくるのだ。
「まぁこうなるか」
「そうですね、…まぁおもしろって、えー!!!!」
「しゃちょー!!!!!」
『社長がエヌにみつかってるー!!!!』
『なんだってー!?』
画面には捕獲された社長とその側に無表情の秘書
公式で出ていた、現実でもよく見るあの整ったお顔は封印され、めっちゃ犬だけど。
二足歩行の犬のペア。
変更理由は問い合わせ殺到につき、これはそのままでは様子見に行けないという判断。
内容としては、まぁまぁ…「あのイケメンはゲームしてたら会えますか!?」が、多いといえば多いが、中には「あのイケメンの名前、生年月日、身長体重、趣味、好きな物、結婚してるのか、彼女いるのか、いないですよねだってわたしが彼女になりますから」ということを何百文字に込めた?というものなどなど。
激しいな!?となったのは、会社の受付で「私彼女よ、逢いに来てあげたからすぐ降りてきて顔を見せて」と、居座った者も。
もちろん、警備員急行からの警察へ。
そしてそれはセットでよくいる秘書にも及んでいる。そんな秘書の顔は現在諦めモードの顔だな?
回収に行くか!?と、思ったけどイベント巻き込まれなのでここで無理やり回収するのは…と、あぁだこうだと話しつつ
「これ今すぐ回収したらダメなやつだな」
「とりあえず見守りで。じゃないとモードが変更で難易度上がりそう。」
「手の空いてるやついるー?向こうで待機!」
急に慌ただしく動き出す社内
GM用ではなく、私服警察のようにしれっとプレイヤーに紛れる形で手の空いた社員はダイブしていく。
そしてしれーっと掃除や炊き出しに混ざって様子を見るのだ。
『めっちゃ掃除してますね』
『掃除スキルめちゃくちゃ高い』
『的確すぎて…』
『自分の家を思い出してなんか傷をえぐられてる気分です…』
と、社長コンビの無駄のない掃除スキルに感心と落ち込みモードの掃除部隊と
『やばい、たのしい、この生地のツルもち感たのしい』
『すごい量作ると達成感が半端ないですね』
『社食作ってくれるおばちゃん達、めちゃくちゃありがとうございます』
『刻む野菜をよこせぇーなんでも刻んでやるぅ』
料理経験者と料理に目覚めそうな人、あとストレス発散をしてるのか無心で野菜を刻む人
『おーい、掃除部隊休憩に入ったみたいだから社長回収しろ〜』
現実からの声に、後ろ髪引かれつつ社長のところに集合!
からの、平身低頭。
「なんだ、もう来たのか」
「すみません、本当に、あの仕事がですね」
「少しくらい居なくても回るだろう」
じわじわ感じる圧と反応楽しまれてる感じ。
自分たちが作り上げたキャラだと思うと、…イイネ!
と、ニマニマしているのが複数名。
「悦に入ってないで帰ってこい」
そこに颯爽とハリセンで頭をはたいていく人。
愉快な職場だよ!
なんとか許しをもらって無事に回収。
やれやれという表情も、素敵…となってるところに次はピコピコハンマーでピッコーン!と音が鳴り響く。
ぞろぞろと、現実に戻ってきた社員と社長たち。
「たまたま近くにいたのが良くなかったな」
DWの世界はベータテストは勿論だが、その前に社員たちも中で動き回りバグチェックをしているため、ある程度の住民と顔見知りになっている。
社長は特にあちこち顔を出し、持ち前のコミュニケーションスキルをフル活用して関わってたため、一部の住民には同じ住民だと思われてるところもある。
冒険者なら頻繁に見かけなくても、どっかダンジョンとか行ってるんだろうと思ってくれているらしい。
「しかし、あの姿も変えないといけないかも知れませんね」
目立つ行動をしたため、勘のいい人や探りを入れる人はいるものだ。
現実を探るのはご法度と言えども、するやつはする。
アバター変更だー!と一部の社員は、各々が考えたペアキャラのいかにこれが相応しいかを議論し始め、それぞれが仕事に戻って行った。




