プロローグ
初めて書きます、趣味範囲にはなるかと思いますが、暇潰しに読んでいただければ幸いです。
更新はかなりゆっくりとで予定しております。
何千年何万年も何度も時を繰り返していく中で、ずっと脳裏から離れないことがある。
彼のことだ。
彼は私であり、私は彼でもある。
元々一つであった私達は、よりこの世界の素晴らしさを知るために2人になって生を受けた。
長く短い人生で人の愛、悲しみ、憎しみ、様々な理、それらを知るたび、その度に私と彼は出会った。
そして会うたび私達は互いを知っていた。
魔王に支配された時でさえ私と彼は出会っていた。
私の言う彼は時代が変わるたびに死に、新たな時代が始まるたび生まれた。
これは彼の仕事である。
私は彼を看取り、彼が生まれるまでこの世界を見守るのが仕事。
だが、
『もう、本当のお別れだな』
彼の言葉だ。
何百年何千年何万年と転生して必ず出会っているのに何故?私はそれを問うた。
『俺とお前は確かにこの世界の素晴らしさを生けるものの美しさ、儚さ、愛しさを知ることが出来た、だがその半面、俺は知りすぎた。だから自分を許せなくなった。』
知りすぎた?
彼が何を言っているのか、私には分からなかった。
唖然とする私に彼は笑いかけた。
『時期にわかる。俺はもうすぐ死ぬ。
新しい時代が来るからだ。
だが死んだ時、お前の手を心を煩わす者を残していく。煩わす者は必ずこの世界を滅ぼそうとするだろう。だからお前に止めて欲しい』
煩わす、止める、それは、
私は彼の目を真っ直ぐみる
その煩わす者…おそらく、彼自身いや自身であり自身ではない。
『相変わらず察しが良いな。煩わす者は俺自身であり俺自身ではない。俺の心の破片が作り出す、恐らく第二魔王または世界を歪める者』
…私に君を殺せと
重い口を開く私に彼はまた笑いかけた。
『ああ、そうなる…すまないな…お前に迷惑をかけてばかりで…』
いや、そんな事はない。
君の頼みだ、必ずやり遂げるさ。
私はそう言い、静かに瞼を閉じる。
『ありがとう』
目を開け、彼を見ればその目には涙があった。
『この世界を、頼む』
ざぁと風が吹き、彼の体が光を放つ。
そしてその姿が砂の様に消える。
何度も彼と別れているはずなのに、彼の縋るその一言が表情が今でも焼きついて離れない。
約束は果たそう、必ず私が護ってみせる。
この世界を、すべての命の輝きを。
prologue end




