異世界アルティシア
シルドが近づくと、村の人たちは警戒しだした。山賊という驚異は去ったが、それとは別に謎の男が現れたのだ。しかも、数の差をモノともしないほどの。たがら、その反応は仕方のないものだった。
現状、誤解を解くのは難しいが、シルドは今回手を打っていた。
「お母さん!お父さん!」
声を上げて、茂みの中から出てきたのはレイナだった。続けてレイアも後に続いた。二人は、ある男女の元に走っていき、そのまま抱きついた。たぶん、両親だろう。タイミング良く二人が顔を出したので、シルドは話し始めた。
「皆さんはじめまして、俺の名前はシルド。今回は森の中で、出会ったレイアさんとレイナさんに、山賊の退治を依頼されたのできました」
シルドの話を聞いて村人達はなるほどと納得した。善意で助けたならば、シルドは怪し過ぎた。だから、村人達は警戒する。だが、今回の様に依頼という形にすれば、報酬の為に助けたという事になり、そつちの方が村人達は受け入れやすかった。
「見ての通り依頼は、無事に完了したので報酬をいただきたます。この村の代表の方はいらっしゃいますか?」
「はい、私です。一応この村の長をしております」
と言って出てきたのは、年配のじいさん。いかにも、村長っぽい顔をしていた。……村長っぽい顔ってなんだよ。
「まずは、助けていただきありがとうございます。村のもの達を代表して、お礼を申し上げます。そして、報酬の件ですが、いかんせんここは田舎の村です。あなた様の腕に見あった物を、支払えるかどうか……」
それを聞いてシルドは感心した。依頼はレイア達が勝手にお願いしたのだ、当然レイア達が支払うのが普通だ。だが、村長はそんな事は一言も言わなかった。この人の長としての器の大きさが伺える。
「報酬は落ち着いた場所で話しましょう。それより、村の再建を早く始めた方がいいのでは?」
「おお、ありがとうございます。では、村のものに指示を出しますので、お話は私の家でいたしましょう」
そう言うと、村長は近くの村人にいくつか話をすると、シルドを自分の家に案内した。
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村長に家に招待された。そして、今俺と村長はテーブル越しに向かい合って座り、報酬の事について話しはじめた。
「では、村長さん、報酬についてなんですが、十分な物が用意出来ないならば、他の物で代用していただきたい」
「他の物ですか?」
「はい、そうです。それで代用となるものですが、それは情報です」
「情報ですか?」
「はい。俺は、旅をしながら、魔物についての研究をしていました。危険な事も多くあった為、記憶が混濁している可能性があるんです。だから、私が質問するのでそれに答えれるものは、答えていただきたい」
(…嘘は言ってない。ちょっと言い方を変えただけだ)
「はぁ、本当にそれだけでよろしいのですか」
「ああ、そうだ。駄目なのか?」
「いえいえ、そんな事はありません。私でよければお答えします」
それから俺は、村長に質問をしていった。
そして、得ることが出来たのは以下のとおりだ。
まず、この世界はアルティシアというらしい。
次に種族についてだ。
人族・獣人族・精霊族・竜人族・天人族・魔人族の六種族だ。
また、それぞれの種族が国を築いたりしている。
人族は主に四つの大国がある。
獣人族は二つ。
精霊族・竜人族・天人族・魔人族は一つだ。
そして、いつくつかの小国がある。
昔は各種族で戦争をしていたらしいが、今は行ってないらしい。
けど、まだ小競り合いは続いているようだ。だから、いつまた戦争が始まってもおかしくないらしい。
ちなみに、西側が人族・獣人族・精霊族の国があり、北側には竜人族が、東側には魔人族の国がある。
そして、南側には………。
「…神魔の森」
「はい、そうです。ご存知の通り、まだこの森についてはよく分かっておりません。年に何人もの調査隊が出ておりますが、帰ってきた者はいないそうです。やはり、世界で最も危険な場所といことですね」
「……ちなみに、どのくらい危険か分かりますか?」
「私が聞いた話では、子供でも倒せるゴブリンがBランク級あるとかないとか」
(やべぇじゃんその森!てか、Bランク級ってどんくらいか分からんが、結構上じゃねか?)
「他に何かございますか?」
「あ…ああ、他には……」
こうして俺は、二年間知りたかった事を村長に質問していった。その質問は夜まで続いた。




