第9話 これぞ天使のツインテ!
そんなことをしていると、突然生徒会室のドアを叩く音が聞こえた。
「失礼しまーす。立花会長いますか……」
状況を説明するならば、そう。この部屋に入ってこようとした女子生徒は動きを止めてしまった。
あれ? 死んでないよね?
「おーい。大丈夫ですかー?」
私が謎の女子高生に肩をポンポンしながら話しかける。そうしたら、彼女は再び動き出した。
これ、何て言う超能力ですか。
「す、すみません! いえ、あまりにもびっくりしたので」
そういうと、彼女は果鈴ちゃんの方を見た。
「え? 私にびっくりしたのか。ごめんなさい」
「いえ、謝らなくてもいいんですよ! ただ……」
謎の女子高生よ。何故そこで止めるの。続きが気になるよ。
そうだなぁ。例を挙げるとするなら、テレビでよくある『果たしてこの後、二人は一体どうなるのか…!? 次回も見逃さないでね!』くらいには気になる。
「ただ?」
「立花会長って今までクールなイメージしかなかったんですけど、今の立花会長を見ていると、何だか可愛い天使みたいだなぁって思って」
謎の女子高生がそういうと、果鈴ちゃんは顔が真っ赤になっていた。果鈴ちゃんって照れるんだ。可愛いよ。可愛いよ果鈴ちゃん。
でも、確かに今の果鈴ちゃんの格好はさながら天使みたいだ。白いワンピースで再チャレンジだねこれは。この子と私の趣味は案外似たものがあるのかもしれない。
「ああ、申し遅れました! 私、一年の佐々木茜と申しますです! クラス委員長をやってます!」
「だから見た覚えがあったのね。で、茜ちゃんは何をしに来たの?」
二人とも何かしらの面識はあるみたい。果鈴ちゃんが会ったことがあるなら、私もあっても良さそうなんだけど。覚えてないだけなのかな。
「え、えっとですね。書類の提出に来ました」
茜ちゃんがそういうと、果鈴ちゃんが茜ちゃんの方へと歩いていった。
「ああ、この書類ね。ありがとね」
委員会の作成資料みたいだけど、私そんなのあるって知らないよ? おかしいなぁ。
「い、いえ! 当然のことをしているだけなので」
「ううん。その当然のことが出来ない人もいるのよ?」
果鈴ちゃんがその時に一瞬だけ私の方を見た気がする。え? 私、何かしたっけ?
「では、失礼しますね。ありがとうございました」
「はい。またね」
少し緊張がほぐれていたのか、茜ちゃんは笑顔で生徒会室を出た。
ああ、いいですなぁ。
「おい、顔が緩々になってるぞ。だらしないなぁ、女子のくせに」
「あー、そんなこと言うんですか? 果鈴ちゃんだって言い方変えれば『男の娘』じゃないですか!」
私がそういうと、果鈴ちゃんは固まった。やっぱり面白い人だ。この人は。